多くの飲食店経営者は今までと違った施策を求められ、注目を集めているのが「動画の活用」です。コロナ禍でテイクアウト営業や感染症対策が取り上げられますが、動画を活用することで、対策との相乗効果が得られます。今回は個人店でもできる動画の活用事例を5つ紹介しますので、動画活用を検討されている経営者の方の参考になれば幸いです。
飲食業界の近況について
飲食業界は現在でも厳しい状況が続いており、ワクチンができたとしてもコロナ以前に戻るのは難しいと考えます。飲食店での食事に抵抗を持ってしまったお客様の感情は、簡単には無くならないからです。今まで飲食店を選ぶ理由は料理の美味しさやコストパフォーマンスでしたが、今ではソーシャルディスタンスが保たれているか、衛生管理を徹底しているかにシフトしています。
そういった変化に対応できない飲食店が多くあり、帝国データバンクによると2020年2月から10月まででコロナにより倒産した企業は600社に及び、業種別に見ると飲食店が86社と最も多くなっています。
ではどんな飲食店が生き残っているのかというと、「withコロナ」で状況を受け入れて、現状にあった施策を行っている飲食店です。その中でも注目を集めているのが動画を活用したPR活動です。動画によるPR活動を効果的に実施すると、お客様に安心感や信頼を与えられます。
そういった動画を活用して頑張っているお店を紹介していきます。
【最新動画活用事例】縦型ショート動画のショートムービーを活用したPR
「日本の伝統的な食文化『うなぎ』を全世界に発信する」ため、うなぎ量深の店舗・その周辺を舞台にした完全オリジナルの「ショートムービー」を制作し、2023年4月、SNSを中心に映像公開するという企画になります。飲食店✖️クリエイターがコラボし制作したショート動画として注目されたプロジェクトです。
【動画活用事例1】店内での徹底した感染症対策をアピール
今までの動画活用といえば、料理の美味しさや見た目のアピールがほとんどでしたが、コロナ禍では感染症対策を具体的に伝え、安心感を与える目的での利用が増えています。店舗に行かなければ、どんな対策をしているのか分からないですが、動画なら対策しているところを見せられます。
ここでは動画を使って、効果的に感染症対策をアピールしている動画活用の事例を紹介します。
星野リゾート|新ノーマルなビュッフェスタイル
ホテルに泊まる時の楽しみでもある食事の衛生管理を、お客さんに伝えることで安心して利用してもらうのが目的の動画となっています。
ポイントとしては、普段では見られない裏側を見せている点です。手洗いや体温の測定などをチェックリストで管理しているというのは、知らない人からしたら驚きであり安心材料になります。このように、動画では普段見ることがない裏側を見せ、興味が湧いたり安心させたりできる例となっています。
また裏側というのは、お店で働いている人しか見られない特別な場所です。その特別な場所を見ると、そのお店に対しての親近感がわき行ってみたいとなるわけです。動画ではお店の裏側を積極的に見せて、興味を持ってもらう手法はすぐにできて効果的です。
シズラー|店内の利用方法を説明することで衛生管理をアピール
https://www.youtube.com/watch?v=bOc58Bm0upA&feature=emb_logo
シズラーの動画では、店内の利用方法を説明することで、お客さんに安心感を与えています。
一見すると、めんどくさそうとも取られますが、他のお客さんもそういったお店のルールで衛生的に利用していると思うと、安心して食事ができます。
例えばサラダバーのエリアには手袋が用意されていて手袋をしてサラダをのせる、サラダをのせる皿が積み重なっているところでは、一番上を使わずに2枚目から使うなどです。他の人もこのルールでやっていると思うと安心ですよね。店舗の衛生管理の動画は、積極的に配信するというよりは、お店のホームページに載せて見てもらうのがメインとなりますが、ホームページに衛生管理の動画があったら、安心感を与えられます。
動画活用事例2有名店のシェフが教えるお家でできるお店の味レシピ♪
こちらで紹介している有名店シェフの動画ですが、単純接触効果という心理学の法則を活用しています。
単純接触効果とは、接触頻度を増やすことで相手との信頼関係を築きやすくなるといった心理学です。単純接触効果を利用して信頼関係を築くと、あのお店に行ってみたいという動機に、あのシェフの料理が食べてみたいという動機が追加され、来店する動機が多くなりお客さんが増える仕組みです。有名人じゃないしできないと思っている方もいるかもしれませんが、有名人である必要はありません。有名人じゃなくても単純に露出を増やし、見てもらう頻度を多くするだけで効果があります。
それでは、効果的に活用している2つの事例を紹介します。
LA BETTOLA da Ochiai|日本イタリア料理協会の名誉会長の料理動画
落合シェフが家庭でも作れるナポリタンを紹介している動画で、有名人ですが親近感を持たれる動画となっています。
主婦をターゲットにした動画で、家庭でも作れるメニューを紹介して、動画を見て作った主婦が落合シェフのファンになるといった仕組みです。ファンになった主婦が落合シェフの料理が食べてみたいとお店に行くわけです。一度動画を撮影しておけば、何百人、何千人と同じ動画を見てくれ、自動で集客してくれる優秀な営業マンとなってくれます。
ファンを増やすには、動画の本数も重要です。動画の本数が1本や2本だとターゲットの目にとまる可能性は低くなってしまうからです。継続的に動画を投稿してなるべく多くの人の目にとまる努力が必要です。
sio|楽しく簡単にできマネできる料理動画
sioの動画は、シェフの明るく面白いキャラを活かしていて、よりファンが付きやすい動画です。
家庭でもできる料理を、わかりやすく解説しながら楽しい雰囲気で作っているので視聴者も集まります。動画の最後に自分の料理を「うまい」と言いながら食べているところなど、とても楽しい雰囲気が出ています。
どちらの動画にも共通することですが、動画をあげてあるプラットフォームがYouTubeなので、お店のホームページ以外の集客媒体として活用できます。
動画活用事例3 テイクアウト+動画活用 の新鮮事例
コロナ禍でテイクアウトは大きな武器となっていて、動画を掛け合わせることで、相乗効果が発揮されます。文字だけで伝えるにはボリュームが多くなってしまう内容でも、動画ならだれにでも分かりやすく伝えられます。
例えばテイクアウトの方法や、家での調理のやり方の動画を作れば、これなら出来そうと利用促進になります。
それでは、テイクアウトと動画の活用事例はこちらです。
牛角|テイクアウトの手軽さと調理のコツを伝える
牛角の動画では、持って帰ってからの調理方法やコツを動画で伝えることで、テイクアウトの利用促進をしています。家に持って帰って自分でできるのかが不安な利用者へ、簡易性を伝えて利用してもらうためです。
まずテイクアウトした時の最初の不安が、そのまま焼くだけで食べられるのかです。
そのまま焼けばいいのではなく、ちょっとした調味料を加えて混ぜ合わせる必要があることを、動画を使った方が解りやすく伝えられます。またタレがなくなるまでしっかりと揉みこむアドバイスを入れることで、見た人はなるほどと思うのです。
その次が家庭ではホットプレートで焼くことになるので、ホットプレートで焼く時のコツの紹介です。
牛角の動画では、コツとしてお肉をずらしながら焼くことをおすすめしています。ずらさないとお肉が蒸し焼き状態になりこんがり焼けないそうです。こういったコツを聞いたら試したくなりますよね。
あとは何といっても、きれいに撮った静止画より、焼肉なら油がはじけながら焼けている様子や音、食べているとこを見るだけで食べてみたいと思わせる効果があります。
牛角はテイクアウト利用を促進するために効果的に動画を活用されている良い事例です。
動画制作の基礎
これまで動画の有用性を紹介してきましたが、ではどうやって動画を作ったらいいのかと思いますよね。この動画制作の基礎を学ぶと自分で作成した時だけではなく、制作会社に依頼した時も、作成された動画が良いのかどうかを判断できるようになります。動画を作ったことがない人でも理解できるように解説していきますのでご覧ください。
1. ターゲティングをしっかりと行う
動画を作成する目的を明確にします。
目的が明確になっていないと、中途半端な動画になってしまうからです。メニューのことを知ってほしいのか、デリバリーなどお店が取り組んでいることを知ってほしいのか、動画を作成する目的に応じて内容が変わってきます。
お客さんには中途半端が一番伝わらないということを覚えておきましょう。
2. おすすめ料理や店の特徴を紹介
飲食店を探すのに重要視するのは、やっぱりどんな料理があるのかですよね。この料理があるから食べに行きたいと思ってもらうために、おすすめの料理は動画に載せましょう。ただ料理を映すだけではなく、調理しているとこから動画に入れると見る人の興味を引けます。
また初めてのお店は入りにくいイメージがありますが、お店の特徴や店内の雰囲気が動画を見て分かると入りやすくなります。
3. タイトルに店名、場所等を入れる
動画を見てくれる視聴者はどうやってあなたの動画にたどり着くのかわかりますか。ほとんどの場合が店名や場所で検索して、検索結果にヒットしないと見られません。その為にも動画のタイトルに店名を入れることは重要です。動画を選ぶ時に店名がタイトルにないと、クリックしてもらえません。
また今いる場所で美味しいそうなイタリアンの店を探す時、例えば「渋谷+イタリアン」などで検索します。タイトルに場所を入れていないと、そういった検索需要からの集客ができなくなってしまいます。場所の代わりに駅名を入れるのも効果的です。
4. 清潔で安心できることを強調する
コロナ禍で飲食店を探す時の基準として重要視されるのが、店舗が清潔なのかです。
清潔な環境なのかは動画で伝えやすい内容です。注意点として、動画での店舗と、実際の店舗が違うとお客さんに悪い印象を与えてしまいます。お客さんに信頼してもらえるよう、常に清潔な店内環境にすることが求められます。
まとめ
無料で始められるYouTubeなどがあるので、動画へのハードルが下がってきています。今まではパソコンでしか編集できませんでしたが、現在ではスマホでも編集ができるようになってきました。また、スマホで動画編集を行えば、そのままYouTubeへアップロードできます。
今後も個人店での動画の需要が加速し、動画を活用する事例が増えてきています。以前より動画制作にかかる費用が安くなってきているためです。動画を一度作ってしまえば、文句を言わない優秀な営業マンとして集客してくれるので、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。