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【立川 Adam’s awesome PIE(アダムスオーサムパイ)】60年以上前に東京へ信州りんごを流通させたパイオニア企業が、アップルパイ店を始めるまで

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立川に2016年10月にオープンした「Adam’s awesome PIE(アダムスオーサムパイ)」は、創業60年以上の歴史を持つ株式会社根津(ねつ)が経営するアップルパイをメインとしたカフェ業態です。飲食店の経営だけでなく、催事などへの出店やスーパーへの商品の卸し、農家と組んだアップサイクル商品の開発、フランチャイズ事業の展開なども視野に入れています。統括マネージャーの根津祐太郎さんに、会社の創業から「立川」や「アップルパイ」に込められた思いをお伺いしました

創業からのストーリー

株式会社根津(以下、(株)根津)は、根津さんの御祖父様が60年前に創業された会社です。当時は、青果の卸がメインでした。

創業のきっかけとなったエピソードをお伺いしました。

創業者が見つけた信州りんご

根津さんの御祖父様は、長野県の信州りんごと出会います。信州のりんごは、当時まだ東京で流通しておらず、あまり知られていませんでした。しかし、「東京の人達にもこの美味しいりんごを召し上がってもらいたい」と、東京で販売してみるとこれが大好評を呼びます。「お客様に美味しいものを直接お届けする」という手応えを感じた出来事でした

これがきっかけとなり、長野県と姉妹都市であった東京の「立川」で、長野の会社と分社化する形で、(株)根津を創業。青果の卸を主軸に、八百屋やスーパーなどの小売業へも事業を展開していきました。

小売業の転換期へ

しかし、現社長でもあるお父様の代で、小売業に転換期が訪れます。

大手小売業者の台頭により、展開していた10店舗以上の小売事業は徐々に衰退し、八百屋などの店舗を全て閉店し、「青果卸」のみに一本化した事業へと大きく舵を切ります。様々な小売店や学校給食などに青果を提供していくことになりました。

そして、更なる転機として、(株)根津は新規事業を立ち上げます。

小売業に活路を見出せず、現代人の野菜や果物の消費量も減少傾向にある中、素材を「加工」すればお客様に良いものを直接届けられるのではないかと、飲食部門を立ち上げることとなりました「美味しいものを直接お客様にお届けする」という創業者の思いを形にしようと、新たな挑戦が始まりました。

そこで根津さんに白羽の矢が立ちます。お父様より、新規事業として飲食店の立ち上げを任された根津さんは、働きながら学びを深め、オーナーとして「Adam’s awesome PIE」を開業。

左:Adam’s awesome PIE統括マネージャー根津様 右:青果仕入れ担当者様

しかし、実は飲食店でのアルバイト経験なども全くなかった根津さん。開業までの苦労をお聞きしました。

アップルパイができるまで

根津さんは、働きながら専門学校(レコールバンタンキャリアカレッジ)に通い、経営と調理の技術の習得を行いました。そして、ゼロからコンセプトを作り上げます。

調理経験ゼロの状態から商品化、そして開業まで持っていくのは非常に大変なことでした。

コンセプトを考えるきっかけは「青果卸という自分たちの強みを生かす」ことや、「立川という地域を盛り上げたい」という思いです。立川の歴史を調べたところ、立川がある地域は、元々米軍基地となった時代があり、当時の住所はカリフォルニア州だったそうです。

そして、カリフォルニアでも、りんごの生産と加工をして町おこしをしている地域があり、またカリフォルニアは、長野県と立川市と姉妹都市だったそうです。

まさに、点と点が線で繋がった瞬間です。「創業者が惚れ込んだ信州りんごの卸業」と「立川の歴史から得たりんごの加工」という知識を武器に、「アップルパイ」を作ることに

また、ただのアップルパイではなく、青果卸ならではのこだわりとして、林檎の品種ごとにレシピや味を変えて商品開発。創業当時の思いも込めて、林檎を入れる木箱に見立ててパイを四角い形にしました。こうして、数百回の試行錯誤の上、Adam’s awesome PIEの「アップルパイ」が完成しました。

開店後の苦労

無事にオープンまで漕ぎ着けたものの、開店後の客足は伸び悩む日々でした。

当時はまだInstagramなどのSNSも台頭してはいなかったとはいえ、根津さん曰く、四角くて茶色いパイはあまり見た目が映えません。明らかに、お客様が認知している「アップルパイ」と違いました。

青果卸としてりんごの美味しさや種類などを深く知っているからこそ、りんごを生のまま焼き上げ、りんごの食感と香りを残す。りんごを砂糖で煮詰めたたっぷりの甘さを想像しているお客様からすると、「このアップルパイは個性的すぎる」という評判が立ってしまいました

特に一年目が大変だったそうです。出店したエリアは、現在ではGREEN SPRINGS(グリーンスプリングス)もあり非常に活気がありますが、根津さん曰く、開店当時は草原のような場所だったそうです。ビルの2階で看板の規制もあり、あまり通行人へのアピールはできません。

信念を貫き営業

しかし、根津さんのやっていることは、御祖父様と同じ 「お客様に良いものを直接届ける」ことです。飲食業へと「手段」を変えましたが、創業当時の「目的」は変化していません。根津さんは信念を曲げずに営業を続けました。

そして、転機となる出来事が。ある人気テレビ番組で立川を特集した際に、「Adam’s awesome PIE」が取材を受けたのです。すると、なんと放送翌日から客足が爆発的に伸び始めました。アップルパイが甘くない理由や見た目の理由、「青果卸」という強みと「立川」という地域への思いなど、「Adam’s awesome PIE」のオープンまでのストーリーにお客様から賛同が集まりました。やっと地域のお客様に「りんご問屋のアップルパイ」と理解してもらう事ができたそうです。

メディアへの露出というチャンスを掴んだとはいえ、それまでずっと、メインの「アップルパイ」から主軸をずらさずに、営業を続けてきたことが功を奏しました

今では、青果卸ならではの「新鮮で質の良いサラダバー」やハンバーガーにも「焼きリンゴ」を挟んで提供しています。

そして、「立川」という歴史も体現していることから「アップルパイ」は立川市のふるさと納税の商品に選ばれています

今後の展望

コロナ禍を経て、お客様からの評判も好調なので、さらに店舗の顧客満足度を上げていきたいそうです。

また、青果卸の強みを生かして、フルーツや野菜を生かしていくこと、また立川を盛り上げていくことが少しずつできているという自負もあるので、今後も立川の活性化に貢献していきたいそうです。

また、別の地域も盛り上げていきたいという思いもあり、「Adam’s awesome PIE」という仕組みを生かして、別の地域の方にその地域ならではの取り組みも取り入れてもらい、地域活性化に協力できればという思いもあるそうです。

そのため、フランチャイズ加盟店も募集しています

フランチャイズという仕組みを利用してもらえれば、よりスムーズにそれぞれの地域活性化ができるのではないかと考えています

店舗からのお知らせ

Adam’s awesome PIEでは、フランチャイズ加盟店を募集中です

Adam’s awesome PIEの仕組みを生かして、それぞれの地域の特色や個性を生かしながら、地域活性化を目指して、一緒に飲食業界を盛り上げていける仲間を歓迎します!

URL:https://www.adamsawesomepie.co.jp/franchise.html

店舗情報

店名:Adam’s awesome PIE

所在地:東京都立川市緑町4-5コトブキヤビル2F

公式HP:https://www.adamsawesomepie.co.jp/cafe.html

会社情報

会社名:株式会社根津

本社所在地:東京都立川市高松町2-7-11

公式HP:https://www.adamsawesomepie.co.jp/


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