ここ最近ではコロナ禍での飲食店客の行動変容について各社がデータを出すようになりました。この記事ではそれをまとめて、結果的に全体感として、飲食店客の行動がどう変化しているのかを見ていきたいと思います。
マクロの動き
コロナ禍での飲食店客の行動変容を見ていきましょう。
まず、Googleトレンドで「ランチ」と調べてみました。データで見て分かる通り、緊急事態宣言が出ている4、5月は直近1年間で過去最低の水準でした。この期間ではほとんどの人たちが自宅待機をしていた期間の為、仕方のないことでしょう。唯一、以前からテイクアウトやデリバリーを実施していた大手企業であるマクドナルドや吉野家は、コロナ禍で一旦売上等に落ち込みはあったものの、その後は盛り返しています。
続いて「ディナー」でも見てみましょう。こちらは年末年始の宴会需要が落ち着いた後、検索ニーズは緩やかに推移していましたが、コロナ感染のニュースや緊急事態宣言の発令等で3月後半〜5月の終わりにかけてこちらも直近1年間で最低値となっています。
やはり緊急事態宣言下・自粛期間の影響は大きく、多くの飲食店が影響を受けたことはこのことからも明らかです。
そして次に国内飲食大手の吉野家とマクドナルドの業績をみてみましょう。まず吉野家では、緊急事態宣言後は売上に多少の影響を受けています。しかし下げ幅は他業態と比べ大きい訳ではなく健闘しているといえます。
【吉野家】
吉野家HDの取り組み施策です。
施策①【テイクアウト・デリバリーの強化】
元々テイクアウト販売も行っていたことから利便性は変わりませんが、新たにデリバリー店舗の拡大やテイクアウト用の商品開発に注力することにより、市場シェアのさらなる拡大を狙っています。
施策②【冷凍牛丼】
狙い:冷凍牛丼の販売により内食需要を押さえる。今後はチルド弁当の開発にも着手するとのこと
続いてマクドナルドの業績推移をみていきましょう。
【マクドナルドの4ヶ年業績比較(6月)】
マクドナルドHDでは、コロナ禍にある2020年6月でも直近4ヵ年の同月比で高い数値を出しており、業績の好調さが伺えます。背景には緊急事態宣言下におけるテイクアウト・デリバリーニーズの高まりが考えられます。また、いち早く感染症対策に着手してきた成果もあるでしょう。
自粛期間中の人々の動き
続いて自粛期間中に外出の制限を余儀無くされていた方達は、飲食店に対してどのようなことを思っていたのでしょうか。ホットペッパーグルメ総研が調べたデータによると、自粛中の人々の志向は下記のようになっています。
【自粛中に人々が飲食店に対して感じていたこと】のデータ
ホットペッパーグルメ総研調べ
問い. 自粛生活中、外食においてどのような体験が恋しかったですか?
- 自炊では難しい料理を食べること 38.2%
- 食事相手との会話 37.2%
- 食べたいものを食べたいタイミングで注文し食べること 35.2%
上位3項目では、やはり飲食店へ行く体験というものを恋しく感じている人々が多い、我慢していた人が多いという印象を受けます。
緊急事態宣言後(6〜8月)の飲食業界全体の動き
そして緊急事態宣言が空けた6月以降はどのようになっているでしょうか。
データで見るとおり回復基調にはあるものの、一部店舗では依然として厳しい状況が続いていることでしょう。多くの店舗では、団体客の来店が減り、来店客は少人数化しています。またテレワークの普及による影響でオフィス出勤者が減り、その影響でビジネスマンの来店も減少しています。
※Table check調べ
飲食店側では、「キッチンシェア」や「ゴーストレストラン」が隆盛。売上確保のため、もしくは完全な状態で店舗を運営することが難しいお店の形態変更として等、試行錯誤している様子がうかがえます。
ここで多くの人はコロナに対する恐怖感から、常にマスク着用、3密回避等の行動を意識しています。飲食店側では常に換気やアルコール消毒等の対策が必須になっています。
今後もこの傾向が続き、店舗側は常に感染リスクの回避に専念しなければならないでしょう。
今後の思想の変化
このコロナ禍において、飲食店へ行く機会は依然と比べ大きく減少しました。ですので、今後は多くの人にとって飲食店へ行くことが依然と比べて「貴重な機会」となることでしょう。店舗側はそのことを十分に理解し、お店でできることを精一杯行う必要があります。
各種感染症対策は必須で行った上で更なる付加価値を出していかなければ、今後の継続は難しいでしょう。
そして人々のこれからの傾向
<TORETA発表の外食回復の「3条件」>を見ていきましょう。
【外食回復の「3条件」】
① ディナーよりランチ
コロナ禍で、比較的「蜜」になりやすいディナーよりもランチ需要が高まっています。ランチであれば少人数かつ短時間で済ませることができるためコロナ感染のリスクが低くなるからでしょうか。
② オフィス街より住宅街
緊急事態宣言後は自宅勤務や時差通勤が増え、より自宅にいる時間が長くなった人が多いのではないでしょうか。東京23区のデータでは、オフィス街よりも住宅地の飲食店のニーズが高まっています。これらの傾向は今後も継続すると予想されています。
③ 多人数より少人数
コロナ感染のリスクが高い多人数での会食、飲み会等の機会は圧倒的に減りました。その代わり夫婦やカップル、少人数での友達との会食等の機会が増えています。こちらもコロナに配慮した傾向でしょう。特に〜5人くらいまでの人数が増えています。
最新情報(9月以降の動き)
最近ではGo to eatキャンペーンが始まったこともあり、世間は少し緩和ムードになりつつあります。この機会に少しでも失ってしまった顧客の戻りを期待したいものです。
お店でできることとして、各感染症対策や最大限のもてなし等を行い、「お店のファンを増やすこと」に注力しましょう。行動が今よりも緩和されれば、人々はまず以前から懇意にしていたお店にいきたいと思うはずです。その時に「選ばれるお店」になるためには、今から行動に移さなければなりません。
その際に新しいことを始めようとするお店も多いでしょう。新しいことを始めるにしても今やITツールの活用は必須になっています。本サイトや弊社でもお店づくりのサポートとなる情報を発信していきますので、今後の参考にしていただけると幸いです。
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さいごに
直近のニュースでは徐々に人々が戻ってきていてイベントなどの客席稼働率も50%まで緩和されるなど、多くの人々の行動が緊急事態宣言後と比べるとだいぶ緩やかになってきています。
今後は新しい行動様式にいち早く対応できたお店、サービスが生き残る時代です。
昼ランチ時の集客・テイクアウト販売許可、夜はいかに少人数客を取り込めるか=ファンを作れるかが課題になってきますので、しっかりと考え対策をとりましょう。また、店内飲食のみの営業では厳しい反面、新たな収益チャネルを生み出す必要があります。お店でしっかりと対策を取って、万全の状態でファンを迎え入れましょう。