近年よく話題に上るようになった「SDGs(エスディージーズ)」。概要はなんとなくわかるけど、実際のところどうなっているのか分かっていないという人も多いでしょう。この記事では、「SDGsとは何か」や「歴史や成り立ちについて」、「飲食店では何をやるべきか」等について解説していきます。
SDGs(エスディージーズ)とは
SDGs(エスディージーズ)とは Sustinable Dvelopment Goals の略で「持続可能性のある開発のゴール」のこと。”国連の持続可能な開発のための国際目標”であり、17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)からなります。
詳細は下記
1. 貧困をなくそう
2. 飢餓をゼロ
3. すべての人に健康と福祉を
4. 質の高い教育をみんなに
5. ジェンダー平等を実現しよう
6. 安全な水とトイレを世界中に
7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
10. 人や国の不平等をなくそう
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任 つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう
15. 陸の豊かさも守ろう
16. 平和と公正をすべての人に
17. パートナーシップで目標を達成しよう
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/statistics/index.html
SDGsの歴史
ここでSDGsの成り立ちについて見ていきましょう。
【1990年代】
主要な国際会議で「国際開発目標」が採択される
【2000年9月】
ニューヨークで開催された「国連ミレニアム・サミット」にて国際ミレニアム宣言が採択される
【2001年】
上記2つが統合されMDGs( Millennium Development Goals )がスタート。達成すべき具体的な数値目標ができ、2015年が目標達成期限となる。(これがSDGsの前身となる。)
MDGsとは 〜8つの目標〜
極度の貧困と飢餓への対策、致命的な病気予防、すべての子どもへの初等教育普及を始めとする開発優先課題に関し、普遍的な合意に基づく測定可能な目標 のこと
1. 極度の貧困と飢餓の撲滅
2. 初等教育の完全普及の達成
3. ジェンダー平等推進と女性の地位向上
4. 乳幼児死亡率の削減
5. 妊産婦の健康の改善
6. HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
7. 環境の持続可能性確保
8. 開発のためのグローバルなパートナーシップの推進
外務省ホームページより
【2012年】
リオデジャネイロで開催された、国連持続可能な開発会議で議論が発生。
【2015年9月】
国連にて193カ国全会一致でSDGs(Sustainable Development Goals)が採択される。
2016年から2030年までに達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成される。
~SDGsの目的~
2030年を年限とし、地球上の「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現。
国連開発計画 駐日代表事務所より
SDGsはどんな取り組みがある?(飲食店事例)
1.「SDGsを掲げる大衆居酒屋が登場。天ぷらとおでんで持続可能に。」
東京・上野にオープンした「SDGs(持続可能な開発目標)」を掲げた大衆居酒屋「天ぷらとおでんからのSDGsなお店」。同店ではSDGsに対して下記の取り組みを行っている。
- 誰でも出来るようなスタイルで若者や障害者を含む全ての人たちに、働きやすい仕事を提供する
- 規格外野菜の活用や第一次産業で生産・出荷されるものを活用する
- 「TABETE」を利用し、フードロス削減に取り組む
- 「海洋プラスチック問題」などに考慮し、再使用が可能なカトラリーを活用する
2.「コメダ珈琲、積極出店で売上高16%増。サステナブル豆の調達で、社会貢献も意識。」
コメダ珈琲を運営する株式会社コメダホールディングスは、世界でサステナビリティ活動をリードする農産物事業会社から、珈琲豆の調達を始めている。
SDGsの今後
SDGsを使いこなす企業が、勝ち抜き、躍進する
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/dtc/sdgs-outline.html#
飲食店でもできるSDGsへの取り組み
飲食店でもできるSDGsへの取り組みは何があるでしょうか。下記の4つが考えられそうです。
- プラごみの削減
- フードロス対策
- サステナブル フード(フェアトレード製品)
- 働き方改革
それぞれについて解説していきます。
プラごみ0へのアプローチ
「飲食店=エコ」を考えた際、真っ先に思い着くのはプラスチックゴミの削減では無いでしょうか。
すでにファミレスやカフェではプラスチック製のストローを廃止した店舗も多く見かけます。最近ではスターバックスで全店舗が紙ストローになったことが有名ですね。マイボトルやマイバックが主流になってきた中、これからはマイストローも流行するかもしれません。またお店でストローを使用する場合は紙製のものにするなどの工夫が必要になるでしょう。
食品ロスを無くそう
本来食べられるのに捨てられてしまう食品を食品ロスといいますが、世界では、毎年生産される食料40億トンの内、1/3 にあたる13億トンもの食材が捨てられています。
出典|国連食糧農業機関(FAO)「世界の食料ロスと食料廃棄(2011年)」
日本は賞味期限・消費期限にとにかく厳しい国ですが、「少し過剰じゃないか」と思うことはありませんか。
今では飲食店で食べ残したものを廃棄するのが当たり前になってきています。しかしアメリカではフォーマルなレストランでも、食べきれなかったものを持ち帰る習慣があります。TO GO BOX(トゥーゴーボックス)、DOGGY BAG(ドギーバック)と言ってお店が持ち帰り用の箱や袋が用意してあるのです。日本では「食べ残しを持って帰ることは恥ずかしことだ」と思う方も多いかもしれません。が、このSDGs活動の一環で環境省が発表した試みmottECOです!
mottECO とは環境省が主導で企画しているドギーバックのアイディアコンテストで選ばれた名称のこと。上記のような容器のデザイン案から実際の容器の形が決まる。
まだスタートし始めたばかりのこの取り組みは確実に飲食業界の方達は知っておくべき情報です。
フードロス対策サービス
【GURU+(ぐるたす)】余ってしまった食品を、消費者に届けるフードロス対策サービス
「もったいないフードロスを、嬉しいに変えるプラットフォーム。」を掲げ、店舗で余った食品をWeb上で出品し、消費者とマッチングするフードロス対策サービスです。
https://gurutas.jp/forshop/lp_a.html
世界的に問題になっているフードロス。
この問題に特効薬はありません。
ですが、ちょっとずつ良くしていくことは可能です。
「GURU+(ぐるたす)」は様々な理由により余ってしまった食品を、WEBサイトを介して、「もったいない」と意識する消費者に販売し、フードロスの削減に貢献するマッチングサービスです。引用:余ってしまった食品を、消費者に届けるフードロス対策サービス GURU+(ぐるたす)
https://gurutas.jp/forshop/lp_a.html
登録費用・掲載費用は無料、販売手数料は販売額の5%ということで比較的導入しやすく、フードロスが発生しそうなときだけ出品すれば良いので、コロナ禍で時短や休業・フードロスのリスクが高い昨今にもマッチしたサービスと言えます。
※2021年11月現在、販売成立5件までは販売手数料も無料。
フェアトレード
日本は多くの製品を輸入に頼っていますが、その裏では過酷な環境で安い賃金で雇われた労働者によって作られた製品が多くあります。品質がいいのに労働者へのコストカットをして私たち消費者が安く手に入れることが出来ることがまさにアンフェアであることを考えないといけないのです。フェアトレードはこのような矛盾が無いように労働者と消費者への公平性を保っていることを証明する為のマークでもあります。
国際フェアトレード認証ラベル
The FAIRTRADE Mark
この他にも国際フェアトレードマーク以外の各団体が設ける規定をクリアしたものに与えられるマークがたくさんあります。
ブルーボトルコーヒーやスターバックスではフェアトレードの豆でのコーヒーを提供していることをアピールしています。一般的なコーヒー1杯の価格を考えるとブルーボトルコーヒーやスタバのコーヒーってちょっと高いなって思うこともありますが、フェアトレード目線で考えると納得できますよね。
食から考えるSDGs
〜飲食店に是非やって欲しい取り組み〜
フードロスを減らすことやエコな視点からテイクアウト容器や袋は再生可能材料を使用するなどいくつか思い付くものありますよね。実は他にも是非取り入れて欲しいことがあるんです。
それはヴィーガンメニューの追加
なぜか・・・
世界の温暖化ガス排出量のうち18%は家畜産業が占めているのです。(これは輸送手段による排出量を遥かに上回っている)温暖化以外にも資源浪費や動物の犠牲など考えさせれる問題が多くあるのです。また家畜産業の実態を描いた衝撃なドキュメンタリーも今話題になってます。(見るのには覚悟と勇気がいりますが)
つまり私たちが普段食べることができる食肉がスーパーや飲食店に出回るまでには多くの環境汚染と犠牲があることからは目を背けてはいけないです。まず始めやすい1つのSDGsとして是非ともヴィーガンを取り入れることについて考えてみましょう。
ヴィーガン食ってハードル高い!?
エコ活動が盛んなヨーロッパには多くのヴィーガン向け商品やレストランがあります。比べて日本はまだまだなんですがここ最近大手チェーン店でもヴィーガンメニューが出てきているのです。
ドトール「全粒粉サンド 大豆ミート」、バーガーキング「プラントベースワッパー」、モスバーガー「MOS PLANT-BASED GREEN BURGER(グリーンバーガー)」、ロッテリアの「ソイ野菜ハンバーガー」、フレッシュネスバーガー「THE GOOD BURGER(ザ・グッドバーガー)」など動物性肉をメインに扱っていたお店からもついにプラントベースのメニューが追加されてきています。
スターバックスでは2030年までに乳製品の提供をやめ植物性のミルクやクリームを使った商品を提供すると発表しています。
SDGsでさらにヴィーガンが注目されてきたこともあり企業側は取り組む姿勢を見せるこでイメージUPにもつながりますね。
参考
以下http://veggiemonday.japanteam.net/より
1人1人が週に1日菜食にすると、どれほど環境負荷を減らすことができるか、皆さんご存知でしょうか?実は、1人が1年間毎週1日お肉をやめるだけで、車の走行を1,700km節約したのと同じ効果があるのです。これは400kgの温室効果ガスを抑制するのと同じです 。1) 21世紀の今、最も簡単で最も効果が高く、そして誰にでもできる地球を守る方法、それが菜食なのです。
2006年、国連は「畜産が環境汚染の最大の要因となった」と発表し、デブア国連事務局長は、環境汚染を防ぐために『週一ベジー』を提案しました。 その後欧米の各地で週一ベジーデイ運動が起こり、 都市や学校が次々に『菜食の月曜日』を導入し始めています。
さあ、私たちも週に1日菜食を取り入れて地球を守りましょう。
ポール・マッカートニー氏からのメッセージ
さいごに
飲食店のSDGsへの取り組みはその他にも考えられます。生ゴミをまったく出さないようにするために「コンポストを用いる」など。しかしすぐに始めるのはお店によっては難しいことかもしれません。
今後さらにSDGsへの取り組みが進んでいくことでしょうから、今から少しづつでも自店でできることを取り入れていくことをおすすめします。
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