2023/09/27:新しい情報・事例を追加しました
新型コロナにより、飲食業界も厳しいビジネス環境を強いられていますが、新しい事業や取り組みにチャレンジする事例が増えています。その中で、特に注目を集めているのが「クラウドファンディング」です。
日本でもサービスの認知が進み、多くの企業で利用されるようになりました。飲食業界でも活用が進み、資金調達をはじめ、テストマーケティング・新規顧客獲得・ファンづくりのなどに利用されています。
今回は日本でも重要なサービスとして浸透しきたクラウドファンディングについてご紹介していきたいと思います。
クラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは、「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語です。
「インターネットを介して不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達する」ことを指す言葉になります。
ビジネスにおける資金調達といえば、一般的に金融機関からの借入や関係者・ベンチャーキャピタルによる出資などが主に考えられます。
クラウドファンディングは、そういったこれまでの資金調達にはない「手軽さ」や「拡散性の高さ」、「テストマーケティングにも使える有用性」といった点が魅力的な新たな資金調達の仕組みになります。
「こんなモノやサービスを作りたい」「世の中の問題をこう解決したい」といったアイデアや想いを持つ人は誰でも“起案者”として発信でき、それに共感し「応援したい」「モノやサービスを試してみたい」と思った人は誰でも“支援者”として支援できる、双方にとっての手軽さがクラウドファンディング最大の特徴になります。
現在の日本でも広く浸透し、一般的なサービスになりました。
また、昨年のコロナをきっかけに、経営が厳しくなった飲食店や新しい事業展開に取り組む飲食店が積極的に活用する流れがきています。
今後の飲食業界では、必要不可欠なサービスになる可能性があります。
クラウドファンディングの仕組み
クラウドファンディングの仕組みにはいくつかあります。
ここでは一般的な2つの方法をご紹介します。
購入型
「購入型クラウドファンディング」とは、起案されたプロジェクトに対して支援者がお金を支援し、支援者はそのリターンとしてモノやサービスを得る仕組みのクラウドファンディングです。
支援者は起案者がリターンとして設定した商品やグッズ、サービス等を購入するような感覚で支援することができます。購入型クラウドファンディングには「All or Nothing型」「All In型」といった2種類のやり方があり、起案者はどちらで資金調達をおこなうか選ぶことができます。
「All or Nothing型」は、募集期間内に目標金額を達成した場合のみプロジェクトが成立します。
「All In型」は、目標金額に達していなくても、一人でも支援者が出ればプロジェクトの成立が認められます。ただし、掲載時にプロジェクトの実施を確約する必要があるため、内容によって利用できない場合があります。
寄付型
寄付型クラウドファンディングとは、起案されたプロジェクトに対して支援者がお金を寄付をする仕組みのクラウドファンディングです。
リアルな場でおこなう寄付と同様で、商品やサービスなどのリターンは基本的に発生しません。プロジェクトによっては、お礼として手紙や写真を受け取ることができます。被災地の支援など社会貢献性の強いプロジェクトが多いことが特徴です。
引用元:https://camp-fire.jp/crowdfunding
クラウドファンディングのメリットとデメリット
メリット
従来の手段では資金調達が難しかったものを、クラウドファンディングによる調達可能性が広がったことは大きなメリットと言えます。また、市場に製品が出回る前にユーザーの反応を知ることができるため、テストマーケティングの場として活用することもできます。
デメリット
クラウドファンディングの実施方式によっては、目標金額に達成せず資金調達できない可能性があります。クラウドファンディングを始める前に、プロジェクト成立確度はどれくらいか、成立させるためにはどれくらいの人から支援を見込めそうか、それ以外に資金を集める方法はないか、といった情報を事前に調べておくことが重要です。
引用元:https://camp-fire.jp/crowdfunding
クラウドファンディング実施の流れ
基本的なクラウドファンディングの流れは、先に紹介した分類に限らず共通しています。ここでは、起案者と支援者それぞれの流れを簡単に説明します。
起案者の場合
- 1. 掲載したいクラウドファンディングサイトを検討
- 2. 必要に応じて担当者と相談しながら、クラウドファンディングのプロジェクトページを作成
- 3. プロジェクトページ完成後、公開して資金調達をスタート
- 4. 募集期間中はさまざまなプロモーション活動をおこない、プロジェクトページを拡散
- 5. 集まったお金で、プロジェクトを実行
支援者の場合
- 1. クラウドファンディングサイトでさまざまなプロジェクトを閲覧
- 2. プロジェクトページの内容やリターンの詳細を確認
- 3. 募集期間内にクラウドファンディングサイト上で支援(決済)
- 4. 募集期間終了後、活動報告などでプロジェクトの進捗を随時確認
- 5. リターンが予定通り届くかどうかを確認
起案者にとっては、一番最初におこなうクラウドファンディングサイトの検討が重要になります。サイトによって支援の集まりやすいプロジェクトテーマが多少異なるため、自分のプロジェクトとの相性をチェックしてみるといいかもしれません。
支援者にとっては、プロジェクトの内容・リターンをしっかりと確認することが重要です。また、サイトにどのようなテーマのプロジェクトが多いのか傾向を確認しておくと、自分が応援したいと感じるプロジェクトに出会いやすくなるかもしれません。
※引用元:https://camp-fire.jp/crowdfunding
クラウドファンディングのおすすめサイト(主要サイト)
ここでは、クラウドファンディングで有名なサイトと、初めて取り組むユーザーにおすすめの情報をご紹介させて頂きます。実施をお考えの方は、まずは、こちらでご紹介したサイトで検討してみてはいかがでしょうか。
CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
日本最大級のクラウドファンディングサービスの一つで、飲食店関連のプロジェクトを始め、幅広いジャンルのプロジェクトを掲載しています。また「CAMPFIRE」内には、「3rd Table(サードテーブル)」という飲食店の新たな挑戦に特化したクラウドファンディングサービスもあります。手数料は「CAMPFIRE」と同じだが、独自の審査基準を設けているのが特徴です。
プロジェクトの立ち上げが比較的しやすく、スピード感持ってプロジェクトを実施したい事業者に向いています。
・手数料:17%(手数料12%、決済手数料5%)
・公式サイト:CAMPFIRE
Makuake(マクアケ)
「Makuake」は、元はサイバーエージェント傘下で事業として立ち上がったクラウドファンディングになります。ネット広告事業との繋がりもあり、PR力の高さも特徴になります。プロジェクトの立ち上げには審査が必要になり、スタートまで2〜3週間以上を要します。その分、キュレーターという担当者のサポートもあり、プロジェクト内容のブラッシュアップが可能になります。
専門家のサポートのもと、じっくりとプロジェクトを練り上げ、成功確率があげたいと考えている事業者に向いていると考えられます。
・手数料:20%(決済手数料5%含む)
・公式サイト:Makuake
READYFOR(レディーフォー)
「READYFOR」は2011年3月にスタートし、日本で初めてのクラウドファンディングサービスとして立ち上がりました。日本最大級の規模をもつサービスの1つです。
サポート体制がしっかり整っているのも特徴です。掲載手数料は無料で、成功に応じて手数料が発生します。プランは、基本的なサービスを揃えた「シンプルプラン」と、専任の担当者が付く「フルサポートプラン」から選択ができます。
掲載プロジェクトは社会貢献につながるようなプロジェクトが多く、支援要素が他サービスよりも多い印象です。そのため、プロジェクト内容としても、社会的な価値が強いものとの相性がよくなります。
・手数料:シンプルプラン12%(運営手数料7%、決済手数料5%)
・フルサポートプラン17%(運営手数料12%、決済手数料5%)
・公式サイト:READYFOR
クラウドファンディングのおすすめサイト(掲載手数料0円)
うぶごえ
掲載手数料0円でクラウドファンディングが実施できるサービス「うぶごえ」
パートナーと呼ばれる購入者からシステム使用料をもらうことで運営されているクラウドファンディングです。オーディション「THE FIRST」のプロジェクト実施が有名なサイトです。上記で紹介したメジャーなクラウドファンディングでは手数料が20%近くかかるところ、0円でできるため、初めてクラウドファンディングを実施される方にはハードルが低いものになっています。
・手数料:0円
・公式サイト:うぶごえ
補足情報
redish
引用元:公式サイト
レストラン専門のクラウドファンディングサポート企業になります。クラウドファンディング掲載用のプロジェクト・ストーリー作り、PR支援などを実施してくれます。結果、高いプロジェクト成功率と目標達成率を実現しています。
クラウドファンディング事例(hibana/ROD MARKETING)
ここではhibana(株式会社ROD MARKETING)でプロジェクトを支援した、飲食店に関わる主な事例をご紹介させて頂きます。
うなぎ量深
hibanaを運営する(株)ROD MARKETINGがクラウドファンディング実施をサポートしたプロジェクトです。茨城県笠間市にあるうなぎの名店「量深」が開発した、これまでにない新しい「冷凍うな丼」の販売と医療従事者への差し入れを行った事例になります。詳細はこちら(量深のうなぎ元気玉)
笠間マロン堂
笠間の栗を贅沢に使用した「栗スイーツ」のオンラインショップ立ち上げのプロジェクトです。商品開発〜販売まで一気通貫でサポートしております。生産者、製造会社、販売店舖との連携も行った六次産業を事業化した事例でもあります。詳細はこちら(笠間マロン堂)
新店舗のオープンと会員獲得
6curry
https://www.makuake.com/project/6curry/
新商品の販売(テストマーケティング・PR)
Mr.cheesecake
https://www.makuake.com/project/mrcheesecake/
新規プロジェクト(ECサイトオープンなど)
we are the farmの産直EC
https://www.makuake.com/project/we-are-the-farm-ec/
飲食ビジネスで最も話題作りがしやすいが上記としてあげられます。コロナ禍で飲食業界は厳しい状況を強いられていますが、新しいチャレンジに取り組む際にはクラウドファンディングを活用することは効果的と言えるでしょう。
リターン事例
- 商品のお返し(配送)
- 限定コース予約権(来店)
- イベント参加(体験)
リターンについては、プロジェクトに関わるモノや体験をリターンとしてお返しすることが重要になります。基本的なものとしては上記があげられます。地道に支援者を増やすためには①、②が重要となります。一方で高額支援用に貴重な体験リターンも用意して置くことで、ファンに刺さる場合もあります。しっかりリターンの質を高めて置くことは成功への重要な要素になります。
失敗例
- 商品、店舖、プロジェクトに魅力がない
- PRを積極的にしない(サイト任せ)
- 魅力の足りないリターン設定
主な失敗要素として上記の内容をあげました。結論としては、プロジェクトの事前作り込みと実行者の熱量が重要になると考えられます。支援者も話題性がある、多くの人が注目しているプロジェクトに目が行きますが、インパクトのないプロジェクトには引かれないものです。プロジェクト開始時点で目標設定金額を達成してしまうくらいの、事前準備が必要かと思います。
まとめ
今後、クラウドファンディングは飲食ビジネスを発展させる重要な役割を担うと考えられます。
価値のあるプロジェクトには注目とお金が集まり、ビジネスが加速します。結果、良いビジネスが生まれます。一方で、安易な気持ちでスタートしたプロジェクトは成功しません。そして、本当に価値のあるビジネスだけが生き残る形になります。現代のビジネスは誰でも簡単に立ち上げやすくなったものの、事業主の事業に対する思い(熱量)が本物かどうかをすぐに見破られてしまう環境にもなりました。
これまで飲食業界で地道にスキルを磨いてきた方にとっては、光が当たる重要なきっかけになるサービスかと思います。ぜひ、新しいビジネスを作るためのスタートに活用されることをおすすめしたいと思います。