2020年3月末から日本では新型コロナウイルス感染拡大により、大きな社会変化がおきました。
飲食業界では1年の中で重要な時期の1つである「歓迎会・送別会」時期に重なり、予約キャンセルが相次ぎ、店舖売上が激減しました。もう1つの重要な時期である『忘年会』が迫る中、2020年コロナ禍でどのような年末になるのか?そして、飲食店では忘年会に向けてどのうような準備を進めるべきなのかを考えていきたいと思います。
例年の傾向と対策
今年はコロナ禍の中で、忘年会を開催しないと発表している大手企業などもあります。また、公式に発表はしていないものの、大人数での飲み会は引き続き自粛する方向の企業も多いかと思います。
そのように2020年の忘年会に対する温度感が低い中ではありますが、今年の忘年会に向けての準備について例年の傾向を確認し、少しでも今できる対策につなげていければと思います。
1、スタッフの確保
10月〜11月については忘年会に向けての人材獲得の最後の時期になります。
このタイミングでスタッフをしっかり確保し、12月の営業に向けての育成を行います。昨年までは採用難という状況でしたが、2020年に関してはコロナによる飲食店の営業規模縮小により最小限の人材で運営している店舖が多く、飲食業界では例年に比べ採用しやすい傾向にあります。忘年会をチャンスと捉え、2021年に向けて業界停滞の状況下で事業拡大のチャンスと考えた企業は積極的に人材採用に取り組み、出店への準備に当てると良いと思います。
2、コースの見直し
10月〜11月は冬の食材を使用した忘年会向けのプランが各店舗提示するタイミングになります。
今年はソーシャルディスタンスも想定し、通常なら鍋コースをメインにおく居酒屋なども、鍋を避け、個食(小分け)対応したコースを作成するなどコロナ禍だからこその感染症対策を加味したコースを検討する店舖が多く見られます。
一方で、9月以降、またGoToEatキャンペーンもあり飲食店予約が活性化しています。そのため、通常通りの忘年会を想定した店舖もあります。店舖側の意識としては、これまで通り、衛生面の強化をアピールしつつ、通常通りの忘年会を提案するのも正解かもしれません。
3、予約管理
今年は10月からスタートした「GoToEatキャンペーン」もあり、グルメサイト経由のネット予約が好調です。
11月以降キャンペーンポイントが付与されると通常よりもお得に飲食できるユーザーが増え、外食が活発になる可能性が高いです。ポイント付与に合わせて、年末のポイント利用ユーザーの増加が考えられるため、トラブル防止もかねて、今一度グルメサイトにおけるポイント利用の予約処理をスタッフ内で確認しておくと良いと思います。
例年、ネット予約に関するトラブルが発生します。ポイントに関しては、利用した予約にもかかわらず、ポイント分の金額を差し引いたお会計になっておらず、お客様からのクレームに発展するケースがあります。そのようなことが起こらないよう情報共有と対策を昂じることをおすすめ致します。
4、11月〜12月の営業体制の確認
今年は、ソーシャルディスタンスによる料理対応や、席配置などお客様への配慮に注力する必要があります。
少人数で営業する店舖も多く見られると思いますので、年末に向けてのオペレーションをスタッフ間でしっかり共有し、トラブルに迅速に対応できる環境が必要かと思います。今年に関しては、例年以上に店舖のお客様ケアが重要になると考えられます。早い段階から店舖オペレーションを確認し、コロナ禍に来店されたお客様の顧客満足を高め、新たなリピーターにつなげていきたいところです。
お客様ニーズの確認
新型コロナウイルスにより、お店選びの視点として『衛生面への対策』『ソーシャルディスタンス』が確保しやすいお店が選ばれるようになりました。
この傾向は、複数人数集まる飲食シーンであればあるほど高くなると考えられます。例年でも「店舖貸切」、「個室完備」のお店への問い合わせは増える傾向にありましたが、今年の忘年会に関してもその傾向は強まることが予想されます。
また、忘年会時期については大人数予約が増加する傾向にありますが、今年は会社忘年会の未開催や大人数飲食を自粛する傾向が強いため、プライベートの少人数飲み会(2名〜10名前後)がメインになると考えられます。
繰り返しになりますが、「衛生面への対策」「ソーシャルディスタンス」「プライベートの少人数飲食(2名〜10名前後)」というキーワードを念頭において、年末への準備を進めることが重要かと思います。
忘年会関連トレンドチェック
今年最後の贅沢?
今年に関しては、年末の海外旅行という選択肢がないため、年末の娯楽は「国内旅行」or「外食」に絞られる可能性が高いです。またGoToEatキャンペーンも後押しし、より贅沢な外食ニーズが高まることが予想されます。
店舖の対策例としては、ご自宅ではなかなか使用できない贅沢な食材(ウニ・フォアグラなど)を使用した通常コースのワンランク上のプレミアムコースの提案などが考えられます。外食に求める「非日常感」は強まりますので、そこを意識して、店舖の集客戦略を検討していきたいところです。
2020年のトレンド(ソーシャルディスタンス・小鍋など)
ぐるなび 2020年度版『トレンド鍋』
参照元:
PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001007.000001511.html)
ぐるなびによりますと、近年増加傾向にあった「一人鍋」が注目されると発表されました。また、新しい生活様式にそった安心・安全の鍋スタイルとして個々に食べる「小鍋」も注目とされています。実際に昨年から「ひとり焼肉」や「ひとりしゃぶしゃぶ」が注目されたこともあり、今年も注目ワードであることは間違いないと思います。
店舖によっては対策できないところも多いと思いますが、感染症対策も意識して、可能な限り、個食(ひとり一皿)対応を実施することは必要かと思います。
お取り寄せ鍋(おうち忘年会)
今年に関しては、例年以上にご自宅での飲食の機会も増加することが予想されます。今では当たり前になったお取り寄せギフトをはじめ、オンライン飲み会、フードデリバリーなども定番になりつつあります。自宅にいながら、レストランの味を、オンラインでのコミュニケーションを通して楽しむということも年末に向けて活発になるかもしれません。この機会に、ユーザーとの接点を強めるために、テイクアウト・デリバリー・オンラインショップを改めてチャレンジしてみることもありかもしれません。
●ギフトモール
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000048025.html
●テイクアウト&デリバリーBOX
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002098.000005113.html
●オンライン忘年会
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000056097.html
いまからできる対策(まとめ)
ここまで、2020年の忘年会について考えてきましたが、基本的に押さえておくべきことは下記の2点ではないでしょうか?
1、感染症対策+ソーシャルディスタンスの徹底
先ほども述べましたが、衛生面の強化とソーシャルディスタンスへの配慮は引き続き実施する必要があると思います。コロナの第2波が落ち着いたこともあり、世間の意識が低下しているように思えますが、店舖側としては、引き続き高い意識で対応していく必要はあると思います。そのお客様への対応が、顧客満足度向上、リピーターへつながることは間違いないと思います。このような不安定な状況だからこそ、顧客一人一人を大切にする地道な行動が重要かと思います。
2、GoToEatキャンペーンの活用
10月にスタートし、対象店舖のネット予約数は大幅に増加しました。その予約傾向として「新規客」が目立ちます。コロナ禍、そして忘年会などは店舖への信頼感が重要となるため、一度来店した店舖を利用する傾向が強まります。このキャンペーンを通して、より多くの新規客と出会い、次回来店につなげるための施策をすると良いと思います。
具体的には、ネット予約のハードルを下げること、そして、来店された方に次回来店時に使用できるお得なクーポンなどを提供するのも単純ですが、シンプルに効果的かもしれません。
正直なところ今年の忘年会はどのような動きがあるかわかりません。hibanaでは引き続き、忘年会に向けての飲食店の動向をリサーチし、情報を提供していきたいと思いますので、宜しくお願い致します。