コロナ禍にして飲食店に求められる“食”は、提供の仕方をはじめさまざまな変化をもたらしてきました。そうしたなかで、今年の下半期にトレンド入りするフードやドリンクにはどんなものが上がってきているのか?また、この上半期に注目されたものはなぜ話題を呼んだのか少しおさえて予想をチェックしていきましょう。
改めて上半期に注目されたものとは?
今年も下半期に入ったところですが、まだまだ上半期にブームを巻き起こしたフードやドリンクは引き続き熱が冷めていない様子。
ブリオッシュ生地のパンに生クリームがサンドされた「マリトッツォ」はインパクトのある見た目と、日本人好みのシンプルでフワフワな食感であること。馴染みがあるけれどこれまでになかったものとしては親近感の湧くスイーツでした。アレンジも効きやすいことも飽きの来ない理由の一つ。
大手企業によるビールとまた違う、小規模生産された風味個性豊かな“クラフトビール”が人気となってるなか「クラフトコーラ」も更に注目度が上がっています。クラフトならではの作り手のオリジナリティあふれる一杯に、大量生産にはない魅力を感じる方が増加。素材を一つ一つ確かなものを選び使われるところにも(有機や無添加、国産など)“何を口に入れるか“気にする方が多くなった今、好感度は高い。
他にも上半期でブームとなったもの・この下半期で流行りそうなものは、見た目とあわせて生産背景が大切なブームのポイントとも言えそうです。
2021年秋冬のトレンド 〜フード編〜
それでは下半期のトレンド予想をチェックしてみましょう。今年全体を通して注目されるフード&ドリンクに関した記事も過去に掲載していますので、あわせてご覧ください。
リンク先:
https://biz-hibana.com/2021summer-trend/
代替えツナ/代替えエビ
引用:
https://www.oreno.co.jp/2021/05/14/oreno_zaiakupan202105
動物性肉の代替えにも注目された、100%植物由来の原料で作られている「ソイミート」。日々の食生活に取り入れやすくなった今、今度は魚介の代わりとなる「代替えツナ」や「代替えエビ」が登場。それぞれ海藻や大豆をベースにして作られ、食感や味わいは本物と変わらないほど。
酪農産業と同じように、環境面において問題視されてきた汚水や廃棄物などを考慮し、持続可能な漁業を進めるにも欠かせない食品になってきます。
CBDオイル(カンナビジオール)
ココナッツオイル・亜麻仁オイルなど、健康面を考慮して良質な油を積極的に摂る方が増えました。その中でも最近ではCBDオイルが注目!
大麻の茎や種子から抽出されるオイルで、香りや香りは少し植物の青っぽさがあります。ストレス緩和や体調の不具合にも効果的とされ、心身ともに健康を促す高品質な食材とも言われています。摂取方法の一つにはコーヒーに入れて提供するお店も。
ライスブラン(米ぬか)
お米で言えば玄米が完全栄養食とされていますが、日本のスーパーフードとしては「米ぬか」も忘れてはいけません。
ビタミン・ミネラル・食物繊維をはじめとした栄養価に優れ、体の糖化にも効果的。保存もききやすく料理にも使いやすいパウダー状のものが出ています。美容の点でも特化しているため、女性客の多いお店や集客を狙うならライスブランは加えてみるのもヒントに。
また、精米時に廃棄されてきた米ぬかの新たな使い道を見つけることでアップサイクル食品に。環境への配慮もできるというサステナビリティさに重宝される食品になっていくかと思います。
マヌルパン
引用:
https://www.oreno.co.jp/2021/05/14/oreno_zaiakupan202105
ニンニクがたっぷり入った韓国発のパン。
マヌルとは韓国語でニンニクを指しているそう。よく日本のパン屋に並ぶガーリックトーストとは異なり、ニンニクだけではなく中身にはクリームチーズが入ったクセになる逸品。甘塩っぱい味付けはハズレがない模様。有名パン屋がこぞって販売しつつも、色々なレシピが公開されているので自宅で手作りする方も。
ドムドムバーガー
参照:
他のバーガーチェーンにはまずない独創的なオリジナルメニューを提案している「ドムドムバーガー」。
実は1970年に開業し昨年創業50年を迎えている国内初のハンバーガーチェーンです。再ヒットのきっかけに登場した「丸ごと!!カニバーガー」はネーミングの通り、インパクトあるボリュームがうけてブランドが再熱。ハンバーガーだけでなく、手がけた女性社長にも注目されるように。コロナ禍でデリバリーを導入する店が増えたなかドムドムバーガーでは“楽しさ”を与えられるメニュー作りに力を入れたそうで、自店がどんな方向性でいきたいかを守り貫いたことに成功のヒントがありそう。
シカゴピザ(ディープディッシュピザ)
パイのように生地に深みがあり、大量のチーズがつめられた「シカゴピザ」。
その名の通り、アメリカ・シカゴで主流のピザで、厚みはおよそ3センチ以上はあるのがなんとも印象的!生地は比較的サクッとしたクリスピーなもの、一般的なアメリカンピザやナポリピザとは具材の乗せ方が異なり、どろっとたっぷり敷かれたチーズの上にトマトソースや具材で並べられます。見た目のインパクトにはインスタ映えはもちろん、チーズ好きにもたまらない一皿。
2021年秋冬のトレンド 〜スイーツ編〜
卵をふんだんに使用した濃厚バニラ系スイーツ
シャーベット系のさっぱりしたものよりも濃厚な甘さが好まれる予想。
市販で並ぶスイーツにも、いっときは入手困難とされた赤城乳業の「かじるバターアイス」や上半期に引き続き「マリトッツォ」の進化系が登場するなど、やはりバターやカスタード、生クリームなどの乳製品が強い。
さつまいもスイーツ
秋から冬にかけて栗やかぼちゃが並び、食べたくなる味わいにはさつまいももそのうちの一つ。
干し芋・スイートポテト・芋けんぴと種類も多く、飽きることない定番のおやつです。また、芋の品種によりその特徴を活かして作ることで味に変化をつけやすい。さつまいもスイーツは特に女性に人気があり、最近では「冷たい焼き芋」が話題になっています。温かいままでは糖度が増しやすく、脂肪をためやすいとなるところ、冷やされることで低GI食品化するなどダイエットにも効果的というのも人気の秘密?
ショートケーキ缶
引用元:
https://www.instagram.com/p/CRPEoPtpJrh/?utm_medium=copy_link
北海道と都内にお店を構える夜パフェ専門店“ ”から登場した「ショートケーキ缶」。
蓋を開けるとびっしり入れられた北海道産の生クリームが顔を出し、柄の長いスプーンですくっていきます。ぎゅっと詰められているためスポンジの食感が気になりますが、フワフワのまま。甘酸っぱさが特徴的な国産いちごを使用し、甘みのバランスがとれているそう。ショートケーキの他にはマダガスカル産のバニラビーンズが香る「プリン缶」も販売中。
進化系プリン
喫茶店メニューに外せない“固めプリン”はまだまだブームが続きそう。
シンプルなまま提供するお店もあればマリトッツォにプリンを挟んでみたり、味わいにスパイスやエスプレッソを加えてより個性を引き出すなど自店ならではの“自家製プリン”を提供する飲食店もより増えそうな予想。
エディブルフラワー(食用花)
パッと見た目の華やかさに料理の見栄えも変わりやすい「エディブルフラワー」。
季節感を引き出せることや食べられることで、花の種類によっては栄養価も期待できるものあると言われています。肉や魚のメイン料理に、デザートやドリンクに添えて既存メニューのイメージチェンジに使用しても面白いかも。また、使用するにあたっては有機栽培されたものであることが欠かせないポイント。低農薬で育てられたものもありますが、食に安全性を求める現代に“オーガニック”で育てられていることはかなりの高評価!
フルーツ大福
引用元:
https://www.instagram.com/p/B4GeFvHhiS_/?utm_medium=copy_link
八百屋が手がけた大ぶりなフルーツが挟まれたフルーツサンドがまだまだ人気を呼びつつ、「フルーツ大福」も目立ってきました。
フルーツ大福としては“苺大福”が存在していたものの、パイナップルやメロン、柑橘類などバリエーションの豊富さといったこれまでの和菓子にはない瑞々しいフルーツとあんこの組み合わせが話題に。大福を割った断面図の美しさにもSNSにて投稿されることもしばしば。またあんこの代わりにクリームチーズやアイスクリームなどといった洋菓子と思わせる大福も続々と登場してきました。
2021年秋冬のトレンド 〜ドリンク編〜
シードル
りんごを醸造させて作られるシードルは甘口から辛口、発泡度合いも種類さまざま。
青森や長野などりんごの生産地では醸造所が増えてきたり、実は国内のシードルはここ数年で品質が上がっているとのこと。アルコールでありながらさほど度数も高くなく、りんごの栄養価によって疲労回復作用や気になるプリン体もほぼゼロと言われています。ワインよりも比較的飲みやすく、手がける醸造家によって味わいや定義が多様にある“クラフトシードル”はその個性的な魅力にクラフトビール好きの方にも人気が高い。
モクテル
「mock=似せた」と「cocktail」を合わせた造語「モクテル」はノンアルコールの意味。
イギリスが発祥だそうで、現地では専門店があるほどの人気ぶり。コロナ禍で飲食店が一定期間アルコールの提供にストップがかかり、ノンアルで食事を楽しむ方が増えましたね。今だからこそ流行り、今後も新たな文化として馴染んでいきそうな予感。味わいはシンプルなジュースとは違い、複雑なフルーティーさと洒落た見た目をもつ遊び心が満載な一杯。自店のオリジナリティが生きるドリンクです。
甘酒
美容効果に期待できながら腸内環境が整えられるとともに、免疫力も高めてくれるという発酵食品。
体調管理に重々気をつけたい今、摂ることの大切さが改めて認識され“飲む点滴”と言われる「甘酒」をドリンクメニューに追加するお店も少しずつ増えてきています。甘酒には酒粕から、または米麹から作られるものと二つの種類がありますが、前者はアルコールを含むのに対して後者はアルコールが含まれていないため、お子さまや妊婦の方にも提供可能。ドリンクとしてそのままでもスムージーにしても、甘酒を使ったドレッシングや漬け込み料理、甘酒スイーツにはプリンやケーキ、パンケーキなどと幅広く活用できます。
まとめ
過去に注目されているフードやドリンクといえばネーミングや見た目にインパクトが強いものが多い印象でした。
今年は健康的であること、さらには持続可能な食材や食品であることがキーワードに。
加えて、国内ならではの”日本食”にも改めて目が向けられている印象も感じます。
ご紹介した玄米・甘酒・米ぬかなど古くから伝わる食品など遡って調べてみると、今後のトレンド傾向を掴めるヒントがあるのかもしれません。