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フードデリバリーや冷凍食品の進化などにより、いつでもどこでも手軽においしい料理が食べられるようになりました。これからの時代、ユーザーは飲食店に「おいしい」だけじゃない、リアル店舗ならではの価値を求めます。
なかでも今回は、異業種の要素をうまく取り入れ、オリジナリティを確立し人気を集めている「飲食店×異業種」なお店をご紹介します。
飲食店×異業種のメリット・デメリット
まずは、飲食店と異業種を融合させる際のメリット・デメリットをお伝えします。
メリット
- 差別化しやすい
- テーマが統一しやすい
- 食事目的以外のユーザーも集客できる
デメリット
- 飲食以外の営業許可が必要な場合も
- 大型施設(後述のプラネタリウム、サウナなど)の導入はコストがかかる
- 業種によっては時間や場所が限られる
異業種を取り入れると差別化がしやすく、お店をPRするときも「〇〇をやっているお店なんだ」とユーザーの記憶にも残りやすくなります。また、食事目的以外のユーザーも集客できるので、これまでリーチしなかった層にもアプローチできるのがメリットです。
反対に、大型施設を設置する異業種を取り入れる場合は導入コストがかかります。業種によっては飲食以外の営業許可などが必要なため、運営面でのハードルが高いのがデメリットです。
体験型やコンセプト、オリジナリティ溢れる面白いお店たち
ここからは、実例の紹介です。既存の施設と飲食店を組み合わせたお店、異業種を取り入れ新たな体験を生み出すお店など、やり方はさまざま。独自のアイデアでオリジナリティを確立し、人気を集めるお店たちをご紹介します。
【プラネタリウムバー】プラネタリウム×バー
キャンドルのやわらかい光に照らされた店内、明かりが消えると、天井に満天の星空が映し出されます。薄暗い空間でゆっくりくつろぐバーと、星空を観察するプラネタリウムの組み合わせはありそうでなかったアイデアです。
数種類のプラネタリウムを用意し、毎日2時間に1回オーナーによる星空解説が行われます。大人の憩いの場であるバーと、子供のころ誰しも足を運んだことのあるプラネタリウムの組み合わせに心動かされる大人は多いはず。
【AQUA RESTAURANT & BAR LUXIS(ラグシス)】水族館×イタリアン
食べログ ラグシスより引用
吹き抜けの開放的な店内、その壁一面を覆い尽くす巨大な水槽のあるレストラン。水槽の中ではウミガメやサメが優雅に泳ぎまわっています。水族館に併設されたレストランやカフェはありますが、巨大な水槽のあるレストランはなかなかありません。
水槽のあるレストランという意味では水族館併設のお店と同じですが、水族館のお店はファミリーが楽しめるカジュアルな雰囲気が多いのに対し、革張りの椅子やシックなテーブルなどが並ぶラグジュアリーな空間。大人が楽しめる雰囲気を演出しています。飲食店×異業種の組み合わせだけでなく、お店のテイストや雰囲気も含めればその可能性はさらに広がります。
【Aoyama Flower Market】花屋×カフェ
Aoyama Florwer Makert TEA HOUSE 公式サイトより引用
フラワーショップ「青山フラワーマーケット」が運営するカフェ。温室をコンセプトにした店内には、色とりどりの季節の花が壁一面に飾られています。室内に陽光が差し、花の香りに包まれた空間で食べるカフェメニューはほかとは一味違った体験になること間違いなし。
店内を見渡して、好みの花を探すのもいいですね。気になる花があったら隣のフラワーショップで購入できる、カフェと花屋さんの相乗効果が期待できるお店です。
【エディブルフラワー研究所】花(エディブフラワー)×バー
花屋×カフェとはまた違った、今度はエディブルフラワー(食べられる花)とバーのお店です。まだあまり認知度は高くないエディブルフラワーのお酒やスイーツなどは、どれも色鮮やかでアートのように美しいものばかり。
新たな食文化の先駆者的なお店として認知してもらうことができたら、テレビやSNSなどの拡散効果も期待できます。
【Artbar Tokyo】アート×バー
アートバー東京公式インスタグラム より引用
アートを鑑賞できるバーといえばほかにもありそうですが、ここはお客様自らがアートを楽しめるお店です。飲み放題のワインとおつまみを楽しみながら、キャンバスに思うがままに絵を描ける素敵な体験ができます。
飲食店よりアートの要素が強いですが、バーという要素があることで普段アートに触れる機会が少ない人でも気軽に足を運べる雰囲気を作っています。ちょっと敷居が高くて挑戦しづらい、というお店は飲食の要素を取り入れることで新たな集客を望めるかもしれませんね。
【CAFe:MONOCHROME】映画×カフェ
モノクロで統一された店内のスクリーンで映画を上映するカフェ。プリンやシフォンケーキ、ラテなどあらゆるメニューがモノクロで統一されており、まるで白黒映画の中に入り込んだような気分になれます。
映画だけでなくアート・音楽・映像などクリエイティブな刺激を受けられる空間です。若者の街・渋谷の中心から少し離れた、大人も楽しめる落ち着いたお洒落エリア「奥渋」にあるお店ならではのハイセンスな雰囲気はとても魅力的です。
【シネコヤ】映画×本×パン
シネコヤ公式インスタグラム より引用
映画×カフェの次は映画×本×パンのお店です。映画をテーマにした本や雑誌、昔懐かしいパンフレットなどが並び、パンやデザート、コーヒーを楽しめます。大型の映画館では上映していないニッチな作品も取り扱っており、レトロな香りが漂うお店です。
ゆったりとしたソファでくつろいで映画を鑑賞できるので、映画館の雰囲気が苦手な方でも気負わず映画を鑑賞できます。映画は小説が原作になることも多く、ユーザー層が似通っているため刺さる人にはグッと刺さるコンセプトです。
【RPGレストラン】VR×レストラン
RPGレストラン公式サイトより引用
渋谷に期間限定(※現在は終了しています。)オープンしたVRとレストランを融合させたお店。VRゴーグルで勇者や魔法使いなどRPGゲームのキャラクターに転生し、ゲームの世界の中に登場するようなメニューがラインナップ。VRの動きに合わせて料理が口に運ばれ、まるで本当に未知の世界の料理を食べているような感覚になります。
大掛かりな施設やゲームを必要とするため飲食店メインでの実用は難しいかもしれませんが、VRの動きに合わせて実際に口に料理を運ぶというのはとても面白いですね。
https://rpg-restaurant.ultratour.art/
【恵比寿サウナー】サウナ×そば
恵比寿サウナー公式サイト より引用
サウナが併設しているそば屋。完全個室のプライベートサウナは1人でゆっくりと、少数の友人と人目を気にせず楽しめる空間です。サウナでととのったあとは下の階でそばと日本酒を楽しむ。
スーパー銭湯の楽しみ方を恵比寿らしいリッチな空間にランクアップしたようなお店です。カジュアルな雰囲気のお店や業態に上品さをプラスしてイメージチェンジ。反対に、上品なお店をカジュアルにして新たな客層を狙うなどもアリ。アイデアの幅が広がりそうです。
食×食の変わった組み合わせのお店も
飲食店と異業種を組み合わせたお店を紹介しましたが、食×食でも個性あふれるお店をご紹介します。
【よもだそば】そば×カレー
よもだそば公式サイト より引用
東京や名古屋に数店舗を展開するお店。そばとインドカレーという組み合わせに思わず目が留まります。自家製生そばとさっぱりしたつゆと骨つき鳥もも肉をじっくり煮込んだ本格スパイスカレーの組み合わせはほかではなかなか食べられません。
インドカレーにはそばに使われるダシが入っており、意外な組み合わせこそ新たなメニューが生まれるキッカケになるかもしれません。
【スシコーヒー】寿司×コーヒー
寿司コーヒー公式インスタグラム より引用
大阪にお店を構える、寿司とコーヒーを提供するお店。なかなか予約が取れない完全予約制の人気店です。マグロ、タイ、エビなどの本格的な寿司から名物・鯖サンドなどオリジナリティ溢れる創作寿司も提供しており、食後にお茶ではなくコーヒーを飲むという新しい体験ができます。
固定概念を覆す組み合わせは、お客様の心に残る特別な体験になります。
https://www.instagram.com/sushicoffee/
【かんたんなゆめ】和菓子×お酒
かんたんなゆめ公式インスタグラム より引用
日本の伝統的な和菓子・練りきりとお酒を楽しめるお店。「和菓子に触れる機会の少ない人にも知ってほしい」という考えで和菓子のイメージと離れたバースタイルで運営しているのだそう。
洋菓子店のようにイートインのある和菓子屋は少なく、お茶屋さんなどでアルコールが提供されてることも少ない。お土産や贈り物で買うことはあっても、買ってその場で食べることはあまりない、和菓子の魅力を伝えたいという意思が伝わります。
https://www.instagram.com/kantan.na.yume/
まとめ
一度聞いただけで印象に残る、個性豊かなお店を紹介しました。どのお店も、料理がおいしいだけじゃない、そのお店に足を運ばないと味わえない価値を提供しています。異業種やコラボ、コンセプトなど、食×〇〇を考えるときはぜひ今回紹介したオリジナリティあふれるお店を思い出してみてください。
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