自店のオリジナリティがしっかり表現され、他店にも劣らないお店づくりとはなんだろうか?その差はなにでつけようか?お客さまのニーズにも応えながら、日々試行錯誤していくなかで、そのなかでも地元の食材を使った「地産地消」を意識したメニュー作りもアイディアの一つ。ここでしか味わえない特産物や、一般的な食材を使いつつ珍しい料理があるなど、全国各地域にはそうした食材があるはず。
自店に取り入れて看板メニューが増えるとともに、地元民から支持を得た、地域に欠かせないお店にもなるきっかけに活かしましょう。
地元食材を扱う魅力
“その地域でとれたものをその地域で消費する”=地産地消。自分たちが口にしている食材が、どこでどのようにして育てられ、どういった経路で手元に届いているのかという透明性がより重要となっている現代。地産地消とはそうした世の中で、消費者や飲食店にどう見えているのでしょうか?
消費者/飲食店の地産地消に対する関心
近年世界的に「食」への関心が高まり、自分たちで調理する機会が増えたことで料理の味わいだけでなく、使用する食材の品質や背景にも以前より目がいくように。
自身や家族の健康を意識して、購入する食材は国産・地元産を優先し、野菜やフルーツを主に手に取る方が多い様子もみられます。特に地元周辺で生産されたものには警戒心がなく、スーパーだけでなく直売所へ足を運んだり、取り寄せる方も増えています。
そうした消費者のニーズに合わせて、飲食店ではメニューを変えたり、扱う食材を見直す動きも出てきています。「産地直送」や「オーガニック」をアピールしたお店もよく目にするようになりました。いわゆる“健康”とはなんだろうか?と考えるようになり、それに特化したメニューを出したことでお客さまからの反応もあり手応えを感じ、定着。料理を提供する側として、仕入れたものの新鮮さや安全性にはより感動するものがあるのではないでしょうか。
地域からの支援がある“地産地消推進”の意識
地域の食材を使用することで各自治体から認識してもらい、公式に紹介をしてもらえたり、給付金が出るなどといったサポートがあるのはご存知でしょうか?それぞれ条件は異なりますが、自店のある地域の“地産地消推進”に関して、例を3つご紹介。
長野県上田市
農畜水産物を通して「食」と「農」を繋ぎ、農業振興と消費者の健康で豊かな食生活の実現を目指して地産地消推進に取り組んでいます。市のサイト内で、地元の食材を扱う飲食店や宿泊施設などを紹介。
リンク先:https://www.city.ueda.nagano.jp/soshiki/nosanmarket/1545.html
宮城県大崎市
県内で行われている“みやぎ飲食店コロナ対策認証制度”に認証されている飲食店の中で、地域産の食材・加工品を使用するお店には給付金がもらえるそう。上限を10万円とし、条件に当てはまる調達経費に使用可能です。
千葉県千葉市
地元で作られている旬な野菜とその時期を紹介しながら、千葉市内で食べられる・買える飲食店や販売所など掲載。消費者と生産者の信頼関係を築けるよう公式ページでは分かりやすく情報がまとめられています。
リンク先:https://www.city.chiba.jp/keizainosei/nosei/nosei/tisantishou_st.html
地元の食材を取り入れるメリットとデメリット
ではもし実際、飲食店にとって地元産の食材を取り入れるとなると、そのメリットとデメリットとは?
メリット
食材の安心、安全、新鮮さがある
一般的な流れでは発注してから納品されるまでに時間がどうしても経ってしまうのに対し、地元産の食材は流通経路も短縮されているので新鮮なまま手元に届き、生産元を見てもどこで作られたものか明確に分かるのが嬉しいところ。新鮮であるということは栄養価もより高いというメリットもあります。“国産”だから安心とは一概に言えなくも、地元で収穫された食材には好印象を持つ方が多いです。
食材の情報収集、生産者とのコミュニケーション
直接やりとりができると、作り手から仕入れる食材の特徴であったり美味しいオススメの調理法など教えてもらえます。また地元で獲れる旬の食材、有名どころは把握できても希少な食材の情報まではなかなか掴みにくいところ。地元の方とやりとりが増えることで、そうした情報をシェアしてもらうことも他店との差を作れるはず。
フードマイレージの削減
各地域から食材を仕入れるにあたって、避けられないのが“フードマイレージ(食糧輸送距離)”。遠方から仕入れれば仕入れるほど輸送手段であるトラックや船などの化石燃料が消費され、コストがかかり環境への負荷もかかってきます。 外国産の食材を国内や地元のものに変えることで持続可能な未来に欠かせない目標を掲げるSDGsにもあるように、現代抱える環境問題にも“地産地消”が生きてきます。近場でのモノのやりとりにより環境へ配慮ができるだけでなく、自店でのSDGsへの取り組みの一つにもカウントされます。
デメリット
仕入れ先の見つけ方、入荷量が安定しない可能性がある
大手の仕入れサイトや市場で買いつける方法とは違い、信頼できる生産者を見つけることはなかなか難しい。現在地元の食材を使う飲食店では、知り合いから紹介してもらう、サイトを通して繋がるパターンをよくみます。近隣の飲食店や販売所で情報を得るなど、自らの働きかけがより欠かせません。
また、必ずしも地元の食材がベストであるとも限りません。旬の食材といっても他の地域のものの方が価格が抑えられたり、品質が優っていることも起こります。更には気候の変化により食材の種類や入荷量の変動も起こりやすいのが特徴的。複数ヶ所で契約するなど、自店がそれらに柔軟に対応できるかも考慮する必要があります。
地産地消・産地直送に特化したサイト紹介
仕入れ方法も今ではさまざまなルートがあり、多様化しています。生産者の方と直接繋がることができるのが好ましいですが、いざ地元産の食材を使用したくともツテがなく、始めづらいという方も少なくはないはず。手始めに、仕入れサービスやサイトを試してみるにも、活用してみてはいかがでしょうか。これをきっかけに地元周辺の作り手を知れるきっかけになることもあります。
SEND
参照:https://send.farm/index.html
スマホからサクッと注文して、毎日当日中に食材を届けてもらえるのが生鮮食材のプラットホーム「SEND」 。全国の生産者が作る食材を取り扱っているので、地元の食材をここで仕入れるのももちろん可能。食材のサイズ感や価格など事前に確認が取れるので発注もしやすいです。それぞれのエリア担当が配送してくれ、どんな食材が欲しいかの要望も受け付けてくれます。
リンク先:https://send.farm/chefs.html
OWL(アウル)
他のサイトと違う点に、各地域の自治体が推薦した生産者のみ掲載されているのが「OWL」。食材の安心安全はもちろんですがこうした生産者をも保証されているのも大切なポイント。また、OWLでは購入前から生産者とメッセージのやりとりができるので、ちょっとした疑問や聞いておきたいことも解消できます。お気に入りの産地を選べ、自店のある地域から選択すれば地元の応援にも繋がります。
リンク先:https://owl-food.com
やさいバス
参照:https://vegibus.com/
商品の受け取りが各地域に設けたバス停にて行われる「やさいバス」。生産者、買い手ともに各々最寄りのバス停に商品を届け、その商品を取りに行くという地域共同配送のシステム。早いと出荷された当日中に届くという新鮮な野菜が手に入り、仕入れコストも抑えられるというので、最寄りにバス停がある飲食店はぜひチェックを。現在は東海、関東地方を主に一部地域で行われています。
リンク先:https://vegibus.com/
REACH STOCK
こだわりのプロ生産者による、高品質な幅広い食材を扱っています。始めるにあたっての初期費用や月額料金も発生しないため、気軽に取り入れやすいです。また、産直取引で起こりやすいトラブルに関してもケアされていのでより安心して利用できるのも嬉しいポイント。専用アプリがあるのでスマホからサクサク発注できるのも便利です。
東京野菜カンパニー
都内で露地栽培で作られた野菜販売しています。農薬をできる限り使われていない安心・安全さがあり、比較的珍しい品種の野菜も取り扱っているので、自店メニューの幅も広げやすいことも。こちらではトライアル配送もされているので、初めてこうしたサービスサイトを受ける方にもオススメです。
※ この他にも「産直サービスサイト」をまとめた記事を掲載しているので、チェックしてみてください。
まとめ
直接生産者と繋がり信頼関係がとれることで、食材をよりうまく活かしたメニューを提供できるのではないでしょうか。それぞれお店のコンセプトもありますが、その中に地元食材を落とし込むことで、“地元産”を意識した取り組みは幅広い可能性を持っていると思います。また、コロナ禍で旅行ができない方にとっては、直産食材を使って各地方の郷土料理を意識したメニューも会話の種になることも。地元生産者との繋がりができ、食材を通してお客さまとのコミュニケーションがとれることで、長くその土地に愛されるお店になれる一つの方法かもしれません。
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