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秋冬になると旬を迎える食材が豊富となり、またそれら旬の味覚を使ったスイーツや鍋といった秋冬ならではの料理に注目が集まります。この時期限定のメニューを提供する飲食店も多いでしょう。
とくに、健康意識が高まっている昨今は、「温活」といった生活習慣を見直すキーワードやヘルシーで栄養素の多い食材に関心が寄せられています。
そこで、本稿では秋冬に注目したい食材と2023年秋冬のトレンドを紹介します。珍しい食材も紹介しますので、より目新しいメニューで注目を集めましょう。
秋冬に食べるといい食材は?栄養価の高い旬の定番食材をご紹介
旬の食材は、その時期しか食べられないという付加価値を感じることができ、また収穫時期で採れやすいことから価格を抑えて仕入れることができます。しかし、それだけではありません。旬の食材は、なんといっても栄養価が高いことが特徴です。
秋が旬の食材
例えば、秋の食材のサツマイモは、糖質で身体を温める効果が期待でき、腸内環境を整える食物繊維も豊富です。かぼちゃも身体を温める効果が期待でき、抗酸化ビタミンがバランスよく含まれていることから、美容にも嬉しい食材です。どちらもスイーツだけでなく、料理の中でも使い勝手の良い食材です。サンマは、疲労回復や肌のターンオーバーを助けるビタミンB2が特徴的です。
冬が旬の食材
冬の食材のなかでも、冬野菜の多くはβ-カロテンやビタミンC・Eが多く含まれ、風邪や冷えなどから身体を守るため積極的に摂っていきたい食材になります。大根はさまざまな栄養価が高い野菜で、冷え改善や解熱効果が期待でき、体調がすぐれないときに摂りたい食材です。ほかに、カリフラワーは色によって多く含まれている栄養価が違うので、ストレスや病気への抵抗力を高めるビタミンCが豊富な白以外にもさまざまな色つきカリフラワーを使ってみてください。
調理法にご注意
上記で挙げた以外にも、身体を温めて血行を促進してくれる食材として、ショウガや唐辛子、シナモンなどのスパイス類が秋冬におすすめの食材です。ただし、食材によっては、調理方法で栄養が減ってしまったり、栄養が変化したりするものもあるので、調理方法と食材の組み合わせをよく考えて活用しましょう。
2023年秋冬に食べたい!旬の珍しい食材
秋冬に旬を迎える食材の中でも、珍しいものをご紹介します。
見た目が特徴的なものも多く、目にも美味しい食材で、お料理を彩ってくれるでしょう。また紹介しているなかには、見た目だけでなく、他よりも栄養価が高い食材もあります。注目して見てみてください。
宿儺かぼちゃ(すくなかぼちゃ)
岐阜県飛騨高山地方で栽培され、8〜10月まで収穫される「宿儺かぼちゃ」は、普通のかぼちゃとは見た目が大きく異なり、ヘチマのように薄緑色の細長い瓜型のかぼちゃです。「宿儺」という名前は、岐阜県飛騨高山地方の伝説に登場する「両面宿儺」がモチーフになっています。
見た目だけではなく、味も普通のかぼちゃとは異なります。普通のかぼちゃよりもオリゴ糖・ショ糖を多く含んでおり、果物にも似た甘みが特徴。口当たりもなめらかなので、スイーツにもおすすめです。煮物にもしやすく、ホクホクとした味わいも楽しめます。皮の薄さから扱い方も簡単です。
菊芋(トピナンプール)
11〜12月頃が旬の「菊芋」はその栄養価が特徴的です。菊芋には「天然のインスリン」と呼ばれる、血糖値の上昇を緩やかに抑えるイヌリンという成分が多く含まれています。イヌリン以外にも塩分の摂りすぎを調整してくれるカリウムが多く含まれており、健康に気を付けている方には嬉しい食材です。
サクサクとした食感が特徴の菊芋ですが、加熱するとほくほく・ねっとりとした芋らしい食感になります。しかし、加熱しすぎるとイヌリンの成分が減少してしまうので、加熱するなら短時間で加熱できる揚げ物にするのが好ましいでしょう。
紅芯大根(こうしんだいこん)
11月頃に旬を迎える「紅芯大根」は、名前の通り中身が紅く色づいている大根です。赤みの正体は目の働きを補助することで知られるアントシアニンで、抗酸化作用にも役立ちます。また、原産の中国では「心里美(シンリメイ)」と呼ばれ、見た目の美しさからお祝い事の際に食されることも多かったそうです。
紅芯大根は一般的な大根と異なり、辛味が少なく、生のサラダにしても美味しく食べられる大根です。秋冬の寒い時期、スープや鍋で食べると出汁に赤みが流れ出し、見た目にも美しい料理が完成します。火を通しても赤みが抜けすぎず、食材の魅力をそのままに食べられます。
カーボロネロ(黒キャベツ)
カーボロネロとは、12〜3月に旬を迎えるイタリア原産の野菜で、日本では「黒キャベツ」と呼ばれています。肉厚な部分はキャベツに似ていますが、形は細く、ほうれん草にも似ています。青汁などで有名なケールの仲間でもあり、カリウム・カルシウムなどのミネラル類とビタミン類が豊富で、健康意識が高まる今、注目したい食材です。
原産地のイタリアでは、生のままでは繊維が硬いため、火を通して食べられています。ペペロンチーノなどのパスタにも使われ、トマトベースのスープに豆など他の野菜と一緒に煮込んだ煮込み料理にも相性が良いです。葉野菜ではありますが、しっかりとしているので、炒める・焼く・煮る、どの火の通し方にも向いています。
釈迦頭(シャカトウ)
11〜2月に収穫時期を迎える釈迦頭とは、台湾で愛されている果物。お釈迦様の頭にそっくりの見た目が、日本で「釈迦頭」と呼ばれる由来となりました。釈迦頭には、美容に嬉しいカリウム・マグネシウム・食物繊維・ビタミンB2などが他の果物よりも何倍も多く含まれています。
ごつごつとした見た目に反して、甘い味わいが特徴の釈迦頭。熟すとあっという間に身が崩れるほど柔らかくなってしまうため、冷凍でしか日本に輸入することは出来ませんが、台湾ブームが続く今、是非取り入れたいフルーツです。
氷魚(ヒウオ)
鮎(アユ)の稚魚として滋賀県琵琶湖の冬の湖魚を代表する氷魚。まるで氷のように透き通った見た目をしているため「氷魚」と名付けられました。例年12月初旬に漁が解禁されて、3月頃まで漁獲されるヒウオは冬の琵琶湖だけの旬の味覚です。
主に滋賀県内で流通してきた氷魚ですが、近年では首都圏や京阪神の飲食店でも提供される機会が増え、通信販売を行う店舗も増えています。2022年12月には都内百貨店での販売も行われました。調理法としては、釜揚げされることが多いですが、アヒージョや、パスタ・ピザなどイタリアンに活用してもぴったり合います。
「旬の食材」✖「温活」がキーワード!トレンドを分析して秋冬のメニューに取り入れよう
2023年のトレンド鍋に「とろみ鍋」が選ばれました。「とろみ鍋」とは、食材やスープにとろみをつけることで、鍋の保温力を高め、身体をあたためるだけでなく冷めにくくする鍋のことを指します。
具材では、秋が旬のきのこやとろろ、チーズでとろみをつけることができ、スープや出汁もあんかけにすることでとろみがつきます。旬を迎えるかぼちゃやサツマイモなどの芋類を取り入れても、でんぷん質でとろみをつけることもできます。上記で紹介した食材のなかでは「宿儺かぼちゃ」「菊芋」はとろみのもとになり、「紅芯大根」は鍋を華やかに彩る食材としてぴったりです。
トレンド鍋に「とろみ鍋」が選定されたポイントは、近年注目される「温活」です。
エアコンやストーブなどの外からの力ではなく、身体を内側から温めて、自らの力で基礎体温を上げる健康維持のための活動である「温活」。
「とろみ鍋」以外にも、スープや煮物、辛味・スパイスが効いた料理が「温活」におすすめです。
是非「旬の食材」✖「温活」というキーワードに注目して、メニューに取り入れてみてください。
まとめ
ここまで、秋冬に旬を迎える食材と、2023年秋冬に注目したいトレンドをご紹介しました。健康意識が高くなっている近年、栄養価が高い食材や、健康に効果が期待できる料理が注目され、トレンドに上がっていることが分かります。
本稿が、これから秋冬に向けた期間限定のメニューを考えている飲食店の方に、より健康的で秋冬の特別感を得られるようなメニュー作りに役立つと幸いです。
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