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近年、テイクアウトや自炊といった食事の摂り方だけでなく、選ぶ食材・食品もともなって変化が見られています。そうした今、“食”への意識に一体なにが起きているのか?飲食店で取り入れるべき食材や料理カテゴリーといった傾向を掴みながら、飲食店のメニュー開発に活かしていきましょう。
食への関心や嗜好の変化
生活の変化から食事に関しての変化は?
昨年から新型コロナウイルスに関したニュースが引き続き流れる生活。コロナとの共存生活となり自分たちが想像していたよりも在宅期間が伸び、その間に世間の生活行動や自分たちの食事に関して見直した方が多いといわれています。
食事を準備する手間を省けたり、バリエーションを欲していたなど飲食店でのテイクアウト・デリバリー利用の増加が目立った傍ら、時間ができたことから自炊をする方も多くなりました。自分で作ることで改めて、自分がどんな食材を頻繁に選び食べているか・好んでいるのかといった傾向がより分かりやすくなり、関心を持つきっかけに。
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000547.000000624.html
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000547.000000624.html
20代〜60代の男女2000人に調査し、食事で重視していることには「バランスの良さ」が最も多い結果となりました。外出や運動量が減ったことで“コロナ太り”なんて言葉もでき、これを機に身体の免疫力をつけねばと食の他にランニングや筋トレを始めた方も多く見られ、改めて“健康”が大切だと気づいた様子が伺えます。
海外での変化は?
カンボジアではコロナをきっかけに健康を意識したという声が聞こえるという。もともと数年前から、近隣国から輸入される野菜に農薬過剰問題が起きたことから、“オーガニック”を意識する国民が過去より増えていますが、カンボジア政府も農業に対して重要視しているため、今後健康を意識した製造が多く流通しそうです。
参照:https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2021/0302/6084737f0dafcb42.html
フランスでは毎日の生活に欠かせないパンを自宅で作る方が急増。日本で言うご飯のような食品であるため、買い物が自由に行き来できない期間やはり手作りをする習慣が根付いたよう。
参照:https://webfrance.hakusuisha.co.jp/posts/3652
国内外でも似たような傾向が見られます。比較的、オーガニックや食に意識の高い海外ではともなって自身らの健康に対して意識も高めでした。今から近い将来にかけて、日本でもそうした姿勢がより親しまれていくようになりそうです。
食の安心・安全はどのポイントで感じているのか
自炊するにあたって気になるのが、使用する食材の情報。これは飲食店で食事をする際やテイクアウトに関しても、どこで・どのようにして作られている食品なのかは知っておきたいところ。みなさんは自店でどの範囲まで提示していますか?利用者であるお客さまが安心して食べられるお店や食材のポイントとはなんでしょうか。
食品添加物の有無
食品の製造過程で加えられる“化学調味料”・“保存料”・“着色料”などといった添加物。「無添加」や「オーガニック」という言葉がメジャーとなり、体質的に避けている方もいれば身体の健康を考えて慎重に買い物や外食をされる方も多くなっています。ただ、全ての添加物が悪というわけではありません。自店で取り扱う食材に含まれていたとしても、しっかりとどういった添加物なのかは把握しておきたいところ。
また、野菜・肉など栽培や育成過程での農薬・飼料に関しても同じことが言えます。食材選びの際、目を通す点はどこまで行き届いていますか?
食品トレーサビリティ
生産、加工、流通といった段階的な流れを把握するトレーサビリティ。万が一食中毒など何か問題が起きた時にはもちろんですが、自分たちが口にするものがどのような過程を経て飲食店まで届いているのかは気になるところ。自身のメニューへのこだわりとともに、食材の背景もお忘れなく。
国産
同じ食材を外国産と国内産を比較すると、一般的には国産に安心を覚える方も多い印象。国産だから絶対安心!とまでは言えませんが、国内で作られることで新鮮さであったり、社会的な面を見てポジティブな意見ではあります。「〇〇といえば△△県産!」というようなブランドの意識も根付いています。
注目されている“健康”を意識した食材
では“健康”と聞いたとき、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか?近年注目されているもの、改めて話題になっている食材をチェックしてみましょう。それらを意識的にメニューに取り込むことで、味わいだけでなく健康にも配慮された食事は今後リピートされやすいはずです。
植物性食品
肉や卵といった動物性の食材を使わないベジタリアン食品は、一部の方向けのイメージだと捉えられる印象でしたが今では関係なく、幅広い方が選ぶようになりました。一般的によく耳にするのは大豆を使用した「ソイミート」や穀物で作られたミルク「オーツミルク」など。動物性のものが入らないことで体への負担が減り、不足しがちな栄養素を補えるといったメリットがあります。また、現代では動物性食品を生産することで生じる環境負担に配慮できることから植物性食品に切り替える方も少なくはありません。欧米食が流通し今や当たり前の食事となっていますが、本来日本人は穀物や野菜をメインとした食事をとるベジタリアンと言われています。
良質な油
身体にとっても“脂質”は大切なエネルギーの一つ。食材から摂る脂ももちろんですが、調理するにあたってどの食用油を使用するかも大事なことです。飲食店で食べる、外食だからこそ上質な食事を食べたいお客さまからは期待される部分でもあります。いくつかご紹介します。
亜麻仁オイル
亜麻仁オイルはアマ科の植物“アマ”の種子を搾ってできた油。特有の香りが少しあります。身体を正常に動かす上で必要だけれど、体内で作り出すことが出来ない脂肪酸を豊富に含んでいるため注目されています。熱に弱いので加熱するよりも、ドレッシングなどに使用すると比較的栄養素を壊さず摂り入れやすくなります。
オリーブオイル
果実から搾り作られるオリーブオイルは体の酸化を防ぎ、腸内環境を整えてくれるなどの働きがあります。一言で言ってもさまざまな種類が出回っていますが、フルーティーな香りや風味、効果を活かすにはフレッシュな「エクストラバージンオリーブオイル」がオススメ。
グレープシードオイル
ブドウの種から作られるオイルはサラッとした香りや味にクセがなく、加熱をしても成分変化が少ないことからあらゆる料理に使いやすい油の一つ。過剰摂取が好まれないリノール酸を多く含んでいるため使用する量には注意が必要とも言われていますが、ビタミンを多く含むなど健康や美容に特化していると言われています。
発酵食品
醤油や味噌、麹など日本において伝統的な食べ物に多く挙げられる発酵食品。微生物によって食材の栄養素をより身体が吸収しやすくしてくれたり、旨み成分や体内の免疫力をも高めてくれます。健康食事方法には欠かせない食品です。その土地の気候や原料、特産物によりさまざまな発酵食品が出ていますが、自店の地域ならではの食品を使用したり、昔ながらの食事を意識したメニューも現代には必要かもしれません。また、オリジナルの発酵食品を使用したメニューを作ると話題性を掴めることも。
注目されている料理カテゴリーや動き
普段使用頻度の低い食材や調味料を使うことで、マンネリ化した自宅での食事に変化を。自炊に注目された料理カテゴリーが、自店でのメニュー開発にヒントがあるかもしれません。
アジアンフード
香り・味わい・彩とインパクトのあるエスニック料理が注目されるように。自炊が増え、毎日メニューを考え作るなかで、味に変化をつけたくなるなどレシピが頻繁に検索されたと言われています。非日常的な食事は気分転換にぴったり。
台湾料理
ルーロー飯・まぜそば・火鍋・豆花・台湾カステラというようにメインからデザートまで親しまれています。日本人の舌に合う味わいが多く食感が特徴的、ヘルシーな食材を使用していることにも印象が良い。使用頻度の高いスパイスに「八角」がありますが、新陳代謝を高めて冷えにも良し、ストレス減少効果もあると謳われています。
タイフード
味わいだけでなく美容にも良いと言われているタイフードは、女性を中心に注目されています。よく出てくる食材「パクチー」には抗酸化作用をはじめとした効果を持ち、タイだけでなくさまざまな料理に使用。他にもミネラル豊富さ・風邪予防など持つ「レモングラス」などがあります。
また調味料には「ナンプラー」が有名ですが、その独特で不思議な味わいに魅了される方も!
これらは女性を中心に人気が高まっています。海外で使用されている調味料を手に入れやすくなったこともあり、自宅で挑戦する方が急増。組み合わせによって味わいが変わる「スパイスカレー」もともに話題となっています。
SDGsを意識した食材活用
今後どの業界でも外せないワード、「SDGs」に関した取り組みをしている場所から食材を仕入れることも視野に入れておきましょう。取り組みの一部を挙げてみます。
食品ロス
お店や家庭で出てくる食品ロス。食べ残しや調理中に切り端など、余分に処分してしまうことを見直して作る食事は栄養面はもちろん、無駄をなくすというお店の取り組みとしてポジティブな印象を受けます。これはメニューだけでなく、別の形でもアピールができると好ましいですね。
認証がついた食材
自然環境も視野に入れて育てられた食材。現代では有機JAS認証や魚介類でいえばMSC認証といったパッと目でわかるマークがつけられています。もちろん認証がなくとも、環境や人に配慮がなされた栽培方法・取り組みもあります。信頼あるパートナーから、確かな“安心”ができる食材を仕入れてお客さまに提供したいもの。
まとめ
今後外食やテイクアウトを利用の際「美味しい」という味わいの他で差をつけるなら、健康的であること・将来を見据えた作り方をしている食材を扱うことはマストになってきます。ジャンクフードの一つ、ハンバーガーにもそうした動きをよく目にしますね。食の見直しを実践される方は老若男女関係なく増え、関心を抱いている方も高まっている今、心身ともにヘルシーさを考えたメニューを飲食店側から率先して提示していきましょう。
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