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前編では、グルメ漫画の魅力や、飲食店に関わる方だからこそ、グルメ漫画を読んで学べるものや得られるものが多いことをご紹介。また、「実在の店舗をモデルにしている作品」・「料理人をテーマにしている作品」・「作中に登場した料理のレシピが知れる作品」が登場しました。
後編では、前編に引き続き、飲食業界で働く人に読んでほしいグルメ漫画をご紹介します。具体的に経営のヒントになるグルメ漫画や料理や食の知識の幅を広げてくれるグルメ漫画を紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
経営のヒントになるグルメ漫画4選
グルメ漫画のなかには、メニュー開発の参考になるのはもちろん、経営スタイルやお店のコンセプトの参考になるものもあります。
ここからは、経営のヒントになるグルメ漫画を4選ご紹介します。ぜひ、お店作りの参考にしてみてください。
深夜食堂
営業時間は深夜12時から朝の7時頃まで。新宿の路地裏にある、そんな「めしや」を人々は「深夜食堂」と呼びます。メニューは豚汁定食と酒類が数種類のみで、あとは作れるものならなんでも作ってくれるのがマスターの営業方針。今日も「深夜食堂」を訪れる人々が頼む料理の物語を垣間見るうちに、優しく夜が明けていきます。
「作れるものならなんでも作る」というマスターの営業方針をまねするのは、なかなか難しいものがありますが、新宿という夜の仕事をされている人が多い土地で、営業時間を深夜12時から朝の7時頃までとしているのは、場所に合った見事な経営の仕方です。店の場所、その地で働く人々、そこに帰ってくる人をきちんと理解し、求められる料理やサービスを見極めるのは飲食店経営においてもっとも大切なことでしょう。
29時の朝ごはん~味噌汁屋あさげ~
歌舞伎町で朝の5時に開店する定食屋「あさげ」。メニューは日替わりの味噌汁とおにぎりのみ。店を訪れる訳ありなお客様たちも、幼い頃から夜の街で生きてきたアリスとうららが作る味噌汁に癒されます。作中には、日替わり味噌汁のレシピも掲載しています。
メニューは一品だけ、という強気な姿勢。しかし、夜の街の朝ご飯という部分が、歌舞伎町で働く人々の需要と供給にあった経営スタイルと言えます。幼い頃から夜の街を見てきたアリスとうららだからこその経営スタイルかもしれませんが、馴染みのない土地で飲食店を開く場合は、その街のことをしっかりと調査することが大切です。
たまこ定食 注文のいらないお店
元病院の調理師だった三浦珠子は、突然亡くなった父親が残した「たまこ定食」を続けることに。珠子の、お客様ひとりひとりの体調や症状に合った料理を出す方針に、昔の常連客も次第にたまこを慕い、「たまこ定食」には珠子に料理を作ってもらいたいお客様が集まるようになります。
「たまこ定食」にはメニューがない代わりに、お客様ひとりひとりに合った料理を提供する経営スタイル。作中に登場する同業者からも、理想的と評されるほど。握手するだけでその人が必要な栄養が分かってしまう、という珠子の特殊能力があってこその経営スタイルですが、そんな経営スタイルでもお客様が慕う珠子のサービス精神には注目です。
パパと親父のウチご飯
突然、元交際相手から子どもを預けられた整体師の千石哲と、離婚して子どもを引き取った編集者・晴海昌弘のルームシェア生活が舞台。家事に不慣れで、子どもとの仲もいまいちな父親2人が、料理を通して子どもたちとの絆を深めていきます。
子どもに料理なんて作ったこともなかった父親2人が、料理教室に通いながら、次第に子どもが喜ぶ料理を作れるようになっていきます。子どもメニューの開発はもちろんですが、子どもが喜ぶサービス、子どもを持つ親ならではの悩みなどが描かれているので、親子連れをターゲットに飲食店経営を考えている方は参考にしてみてください。
料理の幅を広げてくれるニッチなグルメ漫画3選
専門的すぎるものは、自分や自身の店にはかけ離れていると思っていませんか。実は、専門的でニッチな作品こそ、食材や調理方法のアレンジが豊かなのです。きっと、料理や食の知識の幅を広げてくれるでしょう。
ここからは、知らない世界を見せてくれる、そんなグルメ漫画を3選ご紹介します。
いぶり暮らし
同棲して3年が経つ頼子と巡は、週で唯一休みが被る日曜日に「燻製」に挑戦します。燻製初心者の2人が、さまざまな食材をさまざまな燻製方法を用いて調理していくグルメ漫画です。
餃子、チーズケーキ、海鮮丼に納豆まで。最初は卵の燻製に四苦八苦していた2人でしたが、次第にさまざまな食材に挑戦していきます。おつまみ、メイン、デザート…形を変えて活躍する「燻製」。料理のひと工夫に「燻製」を取り入れるのも面白いアイデアになりそうです。
サチのお寺ごはん
名前通り幸の薄かった過去のせいで、毎日を諦めて過ごしていた臼井幸(うすいさち)は、ひょんなことから出会った縁泉寺の坊主・源導さんから精進料理を振る舞われます。それをきっかけに幸は、精進料理から幸せ探しの生活を始めます。分かりやすいレシピも掲載。
精進料理、と聞くと馴染みもあまりなく、肉や魚を使わず植物由来のものしか使われないことから、健康にいい料理というイメージがあります。健康志向の方に好まれる印象を持ちますが、漫画で出てくる精進料理は、どこか懐かしい故郷の味を思い出させるものばかり。都会暮らしに疲れてしまった人は、思わず食べたくなるのではないでしょうか。精進料理は、昨今の動物性食品を控えるような飲食トレンドにもマッチしており、日本らしい料理を求める海外の方からも好まれるでしょう。
山と食欲と私
自らを「単独登山女子」と呼ぶ日々野鮎美、登山の際に美味しいものを食べるときこそ、鮎美の至福の時。山で出会った人々や景色とともに、今日も美味しい山グルメを堪能します。
アウトドアグルメはワイルドな見た目やシンプルな調理方法が魅力。とくにその見た目は、テーブルやSNSの写真に映えること間違いなし。実際に登山をしなくとも、お店で山グルメやキャンプ飯などのアウトドアグルメを食べられたら、アウトドアをしている気分に浸れ、お店のコンセプト作りにもバッチリです。
まとめ
ここまで、食べているだけでなく新たな気付きを与えてくれるグルメ漫画の魅力や、経営のヒントや新しい知識といったグルメ漫画から得られるものを解説しながら、実際に飲食店で働く方におすすめしたいグルメ漫画を紹介してきました。
グルメ漫画は、飲食店に関わるすべての人にとって料理への情熱や仕事への意欲を刺激し、新たなアイデアや成長のヒントを提供してくれる、素晴らしいインスピレーションの源となります。もし、飲食店で働いていて、伸び悩んでいたり、壁にぶつかったりしたときはグルメ漫画を手に取ってみてください。きっとあなたの味方になってくれるはず。
また、物語としてもどれも面白い作品なので、「勉強や仕事のため」と気負わずに、楽しみながら読んでみてくださいね。
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