新型コロナウイルスの感染拡大により終電時刻が繰り上がりました。JR東日本や東京メトロなどの発表では、元々2021年春には終電・始発共にダイヤの改正が予定されておりましたが、一部限定的にダイヤ改正がなされました。
しかし現状のダイヤがこのまま続く訳ではなく、シフトコントロール・経費の問題から春以降は元々予定されていたダイヤでの運行が始まります。
飲食店を経営されている皆様にはやはり終電の時刻が気になるところ、首都圏やその沿線では概ね15分~30分程終電が早まります。
客数の減少・アルバイトの勤怠管理など早いうちに対策を練りましょう。
ここでは予想される飲食店への影響とその対策を考えていきたいと思います。
今春より終電が繰り上がります!!
冒頭でも述べたように2021年の春にJR・私鉄共に終電時刻が繰り上げになります。これは線路の点検や保守を行う作業員の労働環境の改善等を目的としている為です。
一見するとJR山手線の駅で約20分前後の繰り上げ時刻ですので飲食店への影響はさほどないように感じますが、私鉄等への乗り換えをして帰られるお客様には実質30分~40分退店が早くなるとみておいた方が良いでしょう。
JR東日本の発表では新ダイヤでの運行は3月13日(土)からとなっており、残された時間は僅かながら店舗を運営・マネジメントされる立場の方は早急な対応を求められます。
飲食店にはどのような影響があるの?
実際に飲食店にはどの様な問題や影響が出てくるのか、考えられる問題を探ってみたいと思います。
もう1杯が減る⁉
「最後にもう1杯‼」居酒屋などでよく見かける光景ですが、終電が早くなるとこの1杯の出数が減る事が予想されます。
実はこの1杯というのはとても重要で年間すると恐ろしい数字になります。
個人店で考えた場合
1杯¥500-×10名(1日あたりの予想)=¥5,000-×6日(週の営業日)×4週×12ヶ月=¥1,440,000-
店の大きさによって数字は変わりますが積み重なると大きな売上ダウンとなります。
またこの数字が難しいのは新型コロナウイルスの影響による時間短縮要請の陰に隠れてしまう所にあり、時間帯別のドリンク売上を前々年と比べないと来年になるまで気付きづらい所にあります。
〆の〇〇が無くなる⁉
「〆でラーメン」「〆でお蕎麦」これも巷でよく見かける光景です、食事会も終わり胃袋が落ち着くと少し塩気があるものを食したくなります。
繫華街のラーメン屋などでは終電前に混み合う事も多々あります。
これが終電が早くなると減少してしまうのではないかとの見方があります。
先ほどの「もう1杯」の項でも書きましたがラーメン屋・お蕎麦屋などでは影響は更に深刻で、これまで「食事」+「ビール」+「サイドメニュー」とオーダーがあった場合のダメージは計り知れません。
終電で帰宅している社員・アルバイト
1日の営業を終えて終電で帰宅する社員・アルバイトも多いですがそれらの雇用も見直さなければなりません。
アルバイトを早く帰したらその分の作業負担は社員に行きますので社員は電車で帰れなくなり、週の半分はタクシーで帰宅しなければならない…等といった事態は極力避ける必要があります。
始発まで営業している店に人が集中する⁉
これまでもそうであった様に、終電以降は朝まで営業しているお店に人が集まりやすくなるのは変わらない事が予想されます。
ただ急に週末だけでも朝まで営業する等の営業転換はハードルが高いのでご自身のお店にあったやり方を見つけなくてはなりません。
ベッドタウンの駅前店舗には集客のチャンス⁉
帰路につくのが早くなれば自ずと自宅のある駅に着くのが早くなります。
中にはまだ飲み足りないな、もう1杯飲みたいな、というお客様もいらっしゃいますので、その層にアプローチして集客数を増やすチャンスです。
つまりこれまで繫華街でおこっていた現象がベッドタウンに移る可能性が大ですので狙っていきたい所です。
対策を怠ると致命的⁉
前項で予想される問題・影響を上げてきましたが、対策等はないのでしょうか?
ただ何もしないまま時が過ぎて行くのはあまりにも勿体ないので、考えうる対策を練っていきましょう。
もう1杯が減る⁉を補うには
お客様の終電が早まりもう1杯が減るのは致し方無い事ではありますが、売上がダウンした分は別の売上でカバーしていきたいです。
宴会のスタート時間が早まれば問題ないのですが、なかなか難しいので1杯に替わるサービスが求められます。
①デザート等、お酒と一緒に楽しめる商品の開発等で客単価アップを考える。
②お得な「お土産セット」等、帰宅の際に持って帰れるテイクアウト商品の販売。
③「お土産セット」の中に次回来店時に使えるクーポン券 を入れる等して、リピーター確 保への導線を作る。
〆の〇〇が無くなる⁉を補うには
終電で帰る為にラーメン屋・蕎麦屋に行くというお客様も多く、終電繰り上げによる影響で客数が減ると予想されるお店でも何かしらのキャンペーンは必要になってきます。
①2件目のお店ではなく1.5件目として機能させる事で終電間際ではなく、早い時間での集客 に力を入れる。
②1.5件目としてお客様の小腹を満たせるサイドメニュー等の幅を広げる。
③時間の無いお客様も迷わず注文出来るクイックメニューを作る。
(実はお客様が来店されてから又は店外のpopを見ていて一番時間を使うのはメニューを見 て迷っている時です。「ドリンク+タパス1品」等のクイックメニューを作り、券売機で も一番分かり易い場所に設定して迅速な提供を心掛けましょう。)
終電で帰宅している社員・アルバイトの帰宅時間を再度確認‼
社員・アルバイトが終電に間に合わないという事態は避けましょう。
①アルバイトを早く帰宅させると社員の仕事量が増えます。どうしても閉めの作業が終わら ずタクシーでの帰宅になる場合はそのコストと売上が見合っているか判断が必要です。
②コストと売上が見合わないのであれば閉店時間を早める判断も必要です。
③今まで行ってきた閉めの作業は本当に当日やらなければいけないのか?明日に持ち越す事 は出来ないのか?今一度オペレーションの見直しを行いましょう。
始発まで営業している店に人が集中する⁉まずは労働力の確保
始発まで営業するお店自体が減っていく場合、これまで以上に始発まで営業するお店には人が集中する事が予想されます。
①まずは労働力の確保が優先されます。いくらお店を開けていてお客様が来店されても行き 届かないサービスでは顧客満足度が低下して次回以降の来店に期待出来なくなります。
②男女共に深夜の食事や塩分の多い食事等は敬遠される方が増えています。ヘルシーなメニューを考案してお客様が注文し易いようなメニュー作りを心掛けましょう。
ベッドタウンの駅前店舗には集客のチャンスをものにしよう
繫華街の食事会が終わり電車で帰宅しても歩いて帰れるならもう少し飲みたい方はいらっしゃいます、少しでも集客に努めて売上にしましょう。
①お一人様・一見さんでも入り易いお店作りを心掛けましょう。
(この様なお客様はお酒よりも癒しを求めています。お客様の話を聴いてあげるだけでも行きつけのお店の1つに入れるかもしれません。)
②ビール以外での格安セット・ドリンクのみの注文可、等は効果的です。
(ビールは1次会で飲んだので…というお客様は多いです。カクテル・サワー等を少し凝った物にしてみてはいかがでしょうか。ビールよりも利益率が高いのも魅力です。)
③ベッドタウンにあるお店では特に飲食店だけがライバルではありません。帰宅時にコンビニに寄ってお酒やスイーツを買って帰る方も多いです。
テイクアウトの商品等、コンビニに寄って買い物をして帰るお客様の数%でも貴店のお客様にする事が出来れば売上は大きく違ってきます。
最後に・自分を信じている者が勝つ
『自分を信じている者が勝つ』米国の投資家、ウォーレン・バフェットの言葉です。
新型コロナウイルスの感染拡大・営業時間短縮要請・電車のダイヤ改正など飲食店経営者には試練の連続です。
過去に成功を収めた経営者の多くが共通して残してきた言葉は「最後まで自分の事業を信じる」という事でした。
そして地域社会・お客様への奉仕の心を忘れないという事です。
本当に苦しい時期ですがご自身をそして一緒に働く従業員を信じて成して頂きたく思います。