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コロナや不況、物価高騰、人員不足など、飲食店には事業拡大や経営を困難にする要因があります。安定的な経営を行うために、資金のサポートを受けられるチャンスがあることをご存知ですか?この記事では、飲食業界で活用できる補助金・助成金8種類について、目的別に解説します。もっと事業を拡大したい・人員を確保したい・IT化を取り入れて効率的な営業をしたいなど、目的に応じて補助金や助成金を申請することができます。費用面のサポートを受けて、自店をより発展させたい経営者・オーナーはぜひチェックしてください。
補助金・助成金の定義
飲食店が申請できるお金には、補助金・助成金があります。最初に、それぞれの意味と申請する際の注意点について解説します。
補助金とは?
補助金とは、国や自治体が特定の政策目標のために、事業者や個人をサポートするお金です。管轄団体に申請すると活動費の一部が支給されるという形で返済義務はありません。
補助金の種類は多く、金額も数百万円から数千万とさまざまです。申請には事業計画書が必要で、審査基準は厳しい傾向にあります。また、補助金を受け取るタイミングは政策目標のための活動完了後となるので、先払いが必要という点にも注意してください。
助成金とは?
助成金とは、国や政府による公的経済支援です。事業者や個人事業主の業務改善・採用や研修などが目的で、規定の条件を満たせば受給可能です。管轄の団体へ必要書類を提出し、審査にクリアすると支給という形になり、返済義務はありません。補助金と比べて審査通過の可能性は高いと言えるでしょう。
申請する際の注意点
補助金も助成金も、申請すれば必ずしも受給できるとは限りません。特に補助金は審査に必要な手順や書類を不備なく揃えなければ審査が通らない可能性が高い点に注意が必要です。また、受給タイミングも自店で立て替えたお金を後から補填してできるのか、あらかじめ受け取れるのかも重要なポイントです。
自治体によって申請方法や審査基準が違うので、事前に各ホームページなどをチェックしておきましょう。
事業規模を拡大したい店舗向け
事業規模を拡大したい飲食店は、以下の補助金の活用がおすすめです。それぞれの特徴や注意点を把握しておきましょう。
事業再構築補助金
公式サイト:https://jigyou-saikouchiku.go.jp/
コロナで落ち込んだ事業の再構築を目的とする補助金です。中小企業や個人事業主が対象で、現在取り扱っている事業の再構築だけでなく、新規事業の拡大にかかるお金もサポートされます。賃上げやサプライチェーン強化費用など種類は幅広いですが、すべての補助金申請において事業計画書を提出しなければなりません。
また、補助金を受け取るには補助事業終了後に平均成長率の増加が必須となるため、実現可能な事業計画を立てる必要があります。
小規模事業者持続化補助金
公式サイト:https://s23.jizokukahojokin.info/index.php
働き方改革やインボイス制度導入などの制度変更に対応するため、小規模事業者が申請できる補助金です。小規模の基準は業界によって異なりますが、全従業員が5人から20人までと定められています。
補助金の使い道はツール購入から外注費用まで幅広く、適切な販路拡大に見合った枠で申請しましょう。17回目の公募を行う可能性もあるので、こまめに全国商工会連合会のホームページをチェックしてください。
事業継承・引継ぎ補助金
公式サイト:https://jsh.go.jp/
中小企業が事業を継承する際に発生するコストを支援する制度です。事業継承のための謝金・旅費・外注費など、幅広いシーンで活用できます。
最新の公募は10次で、2024年7月31日で締め切られます。年間公募回数は国の予算によって影響するので、次回の公募がいつになるかは明確ではありません。こまめにホームページで確認しましょう。
システムやITを強化したい店舗向け
キャッシュレスやネット予約などが主流になった昨今、飲食店においてもシステムやITの強化は必要不可欠です。ここではシステムやITを強化したい店舗向けの補助金について5つ解説します。
IT導入補助金
公式サイト:https://it-shien.smrj.go.jp/
ITツール導入・インボイスシステム導入・電子取引に関するインボイス対応・セキュリティ対策を目的とした補助金です。さらにサプライチェーンによる生産性向上という5枠から申請できます。IT導入による業務改善など目的が明確であれば、交付申請してみましょう。
金額は5万円から3,000万円と幅があり、いずれの枠であっても交付確定前に購入・導入したITシステムに関しては補助金対象外となる点に注意してください。
業務改善助成金
中小企業・小規模事業者が最低賃金を上げて生産性をアップさせるための助成金です。運用元は厚生労働省で、賃上げに必要なシステムや設備投資に対してサポートしてもらえます。新しい機材設備や研修、コンサルによって最低賃金を上げる場合はぜひ申請しましょう。
ただし、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額がを50円以内に収めなければなりません。申請前にわざと賃下げをするなどの行為は禁止という点に注意してください。
また、助成金額は60万円から600万円の範囲で、賃上げ額によって30円・45円・60円・90円のコースにわかれています。
ものづくり補助金
公式サイト:https://portal.monodukuri-hojo.jp/
中小企業・小規模事業者が働き方改革や賃上げ、インボイス制度などさまざまな制度変更に対応するための補助金です。応募できるタイミングは3~4ヵ月に1回程度で、1回あたり期間は1ヵ月程度です。19次の公募を開始する可能性もあるので、ものづくり補助金のホームページでこまめにチェックしましょう。
申請にあたっては事前にgBizIDプライムアカウントの取得が必要となる点や、電子からのみ申請可能な点などに注意してください。
インバウンド対応力強化支援補助金
公式サイト:https://www.tcvb.or.jp/jp/project/infra/welcome-foreigner/
外国人観光客の増加にともない、東京都の飲食店や宿泊施設、免税店などを対象としたインバウンド対策の補助金です。観光事業関連は1,000万円、それ以外の事業は300万円が上限となります。
ただし、東京都にある企業や店舗すべてが申請対象となるわけではありません。各種広告やホームページ、室内に設置しているテレビが多言語に対応している必要があります。その他外国人客への受け入れ体制が整っているなどの条件が求められます。
東京観光財団への郵送またはホームページから申請できます。
中小企業省力化投資補助金
公式サイト:https://shoryokuka.smrj.go.jp/
中小企業・小規模事業者の省力化を目的とした補助金です。IoTやロボットなどの導入によって人の労力や時間をカットして、生産性を上げるためのサポートです。人手不足を解消したい中小企業は、ぜひ申請しましょう。
カタログに登録された製品を選び、企業の従業員数に応じた上限額が補助されるという仕組みです。補助上限額は200万円から1,500万円ですが、実際に補助されるのは2分の1の額である点に注意してください。
電子申請に必要なgBizIDプライムアカウントを取得したあと、カタログから欲しい製品を選択します。その後、その製品のメーカーと共同で事業計画を練り、申請企業と一緒に申請するという流れです。
まとめ
- 補助金や助成金は事業計画書などの書類が必要で、必ずしも審査に通るわけではない
- 各補助金・助成金ごとに上限額や申請方法が異なる
この記事では、飲食業界で活用できる補助金・助成金8種類について、目的別で解説しました。今回紹介したもの以外にもあるので、ぜひ有効活用してください。ただし、受け取るには、条件や審査をクリアしなければなりません。現状や目的を明確にして、受給できる可能性をアップさせましょう。
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