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【2022年、飲食店で働く人のリアルな声】飲食業界の「今」と「これから」

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新型コロナウイルスの感染拡大から2年以上の歳月が経過しましたが、この間に緊急事態宣言・蔓延防止措置等の発出で飲食店には営業時間の短縮要請や酒類提供の自粛要請が出るなど、これまで飲食店を経営してきて経験した事がない事態に陥りました。

飲食店を経営していて、コロナ渦でどの様に過ごしたか、そして今後の飲食業界はどの様に変化していくのか、実際に飲食店を経営されている方にお話しを伺い、飲食店の今とこれからを考えていきたいと思います。

渋谷のリスニングバー「One Trick Pony」のコロナ前

東京都渋谷区道玄坂にあるリスニングバー(レコードをかけ、お酒と食事を楽しむ)「One Trick Pony」は2018年10月にオープン。競合店がひしめく渋谷でコツコツと客足を伸ばして、約1年で集客を安定化させました。

2019年の年末シーズンには企業や団体の忘年会など、貸切利用が増えてお店としての方向性が固まって来ていました。

2020年1月、新型コロナウイルスの国内での感染が確認されたが、お店の売上は引き続き好調で「コロナウイルス」はまだまだ対岸の火事といった認識でした。

2020年2月、少しずつ客足が遠のき始め「これはまずいかも」と認識しお客さんを呼べるイベンターに依頼しイベントを企画もしたが、思うように集客が出来ず2022年3月にはただただニュースを見て情報を収集するしかすべがなくなりました。

3月末には「ロックダウン」という聞きなれない言葉を耳にするようになり、日本でも実施されるのではないかと議論が活発化していきました。

その際に、自分のお店ではどうしていいのか分からずに、以前働いていたバーのオーナーに相談に行った所、オーナー自身も「渋谷で50年お店をやっているが、経験がない事なので確かな事は言えないが、お店を開けるという状況にはならないと思うよ。」とアドバイスを貰いました。

2020年4月、1回目の「緊急事態宣言」が発出されました。沢山のお客様に「お店はどうするの?」と質問を受けましたが先輩経営者のアドバイスに従い早々に休業すると発表しました。

ほぼ全てのお客様に休業の判断を支持して頂き「また落ち着いたら飲みに来るよ。」とのお言葉を頂戴致しました。

この時にはまだ「コロナ渦」がこれほど長引くとは余り考えてなかった気がします。

渋谷のリスニングバー「One Trick Pony」のコロナ渦

「緊急事態宣言」の発令後、多くの企業ではリモートワークへの移行が進められましたが、飲食店ではリモートワークは難しく急に働き場所を失った喪失感に襲われました。

また、売上が0になるという事で賃料の支払い・自身の生活費など途方に暮れました。

自宅に籠ってしまうのは良くないと思い、毎日お店へ行き窓を開けて換気をし、お店の掃除をしていました。

そのうちに休業要請に従ったお店には「協力金」という形で保証金が出るというニュースで一安心したのと「家賃支援給付金」が10ヶ月保証されたのは本当にホッとしたというのが本音です。

渋谷の坪単価は約32,000円です、「One Trick Pony」でも年間400万円近くの家賃を払っていますので、コロナがどうなるかはまだ読めないけど少なくとも10ヶ月はお店を維持出来ると考えたのを覚えています。

ここでまた先輩の経営者に相談に行きました、給付金の申請方法等の相談に行ったのですがその時に「給付金は雑所得になって、税金の支払い義務が生じるから無駄遣いはしない方がいいよ。」と言われました。

元々、無駄に使う気はありませんでしたが改めてお店の必要経費にのみ使おうと気を引き締めました。

渋谷のリスニングバー「One Trick Pony」のコロナ渦2

テイクアウト・デリバリーなど飲食業界でもコロナ渦での経営戦略が模索されるなか、「One Trick Pony」にもデリバリーを始めないかというお話しが沢山来ました。

店主自身は料理の仕事もしてきて海外のキッチンでも働いていたので、お店で料理を提供していましたが、キッチンが狭く弁当・デリバリーを行うには食材を大量に保存するスペースがない事、またデリバリーの手数料が個人でやってるお店にはハードルが高く感じ、デリバリー参入は諦めて違った形でお店をグレードアップしようと考えました。

渋谷のリスニングバー「One Trick Pony」のコロナ渦3

「緊急事態宣言」が延長されるなか、今しか出来ない事をしようと考え店内やテラス席の改装をしようと考えました。

いつか通常通り営業が出来るようになり、お客様が戻ってきた時にはこれまで以上にくつろいで頂ける空間を作ろうと考えました。

また、これまで以上に食事の大切さを痛感し知識を増やす時間に当てました。

料理本を読み、食材を購入して試作を繰り返し、手打ち蕎麦の教室にも通いました。

渋谷のリスニングバー「One Trick Pony」のコロナ渦4

少しずつコロナ渦での規制も緩和され始め、「酒類の販売を停止すれば決められた時間まで営業可能」などのように、お店を開けれるようになってからはランチ営業なども始めました。

元々コロナ前は間借りで昼間貸していたので、ランチ営業に移行することは難しくはなかったのですが、自分が感じていた以上に出社している人が少ない事を知りました。

それでも、いつ「緊急事態宣言」が明けて通常営業が出来るようになるかも分からずアルバイトをしたくても出来ない状態が続きました。

2022年、時短要請の解除から

2022年3月に「蔓延防止措置」が解除され、ようやく長いトンネルを抜けた感じがしました。この2年間の間にも解除されていた期間もありましたが、またいつ発令されるか分からない状態でした。

「今回ばかりはもう発令される事はないのではないか。」という安堵と同時にお客様は戻ってきてくれるのかという不安が大きかったです。

2022年、時短要請の解除から2

時短要請が解除されて迎えた2022年4月は正直厳しいものでした。やはり2年以上に及ぶ「ステイホーム」の習慣は簡単に変わる事はなく、渋谷の街にもなかなか人は戻って来ませんでした。

5月の前半には大型のゴールデンウイークがあり、路面の居酒屋など食事がメインで老若男女問わず入りやすい雰囲気のお店には少しずつお客様が戻って来ている印象でした。

5月後半よりbar等の主に二次会利用がメインのお店にもお客様が戻り始め、6月に入ると懐かしいお客様もご来店下さるようになりました。

渋谷の街から見る「今後の飲食店経営」

渋谷という街は少し特殊で、昔から音楽やファッションを始めとしたアンダーグラウンドのカルチャーが育ちやすい街です。地形的にも渋谷駅を中心に谷になりそこから円形状に街が広がっている為、スクランブル交差点に見るように駅中心に人が集まりやすく、渋谷区としての観光戦略が立てやすい街作りになっています。

さらに100年に一度と言われる再開発が進んでいる事から、渋谷から人が急激に居なくなるということは考えづらいです。

渋谷の街から見る「今後の飲食店経営」2

6月前半頃に仲の良いキャバクラのキャッチと話しをしましたが、「蔓延防止措置」が解除されても終電を逃して深夜まで飲むという30代以降のお客様は戻って来ていない、と話していました。

もしかしたらその時間帯のお客様はもう戻らないのではないかと思います。

今後barを含め二次会メインのお店では、1次会や1.5次会など食事もしっかり取れるというのが1つのキーワードになるのではないでしょうか。

また人気店にはこれまで以上に人が集中して、そうでない店との差はさらに開くと思います。

渋谷の街から見る「今後の飲食店経営」3

集客が厳しいお店が何も出来ないかと言うとそんな事はなく、人件費・原材料費の徹底的な見直しと「人気店にはない独自のサービス」を産み、お店のファンを増やしていく事は可能だと思います。

特にデジタル技術を積極的に採用していくことで、大幅なコストカットが出来ると考えます。

小さな個人店でも「ミニマムな貸切利用」やボトルキープなどの特別感のあるサービスも有効に思います。

渋谷の街から見る「今後の飲食店経営」3

テイクアウト・デリバリーはどうなるか?テイクアウトは今後も需要はあると思いますが、ライバルがコンビニになるので価格では対抗できません、コンビニにはない商品・オーガニック・手作りなどがキーワードだと思います。

デリバリーは一部の人気店を除いて撤退するのではないでしょうか、一番は手数料の問題と、デリバリー業界も競争が激化しすぎてサイト内で注目を集めるには知名度と工夫が必要ですので、そこに時間を取られるならばお店へ直接ご来店頂くお客様への満足度を上げる努力をするように考える方が多いと思います。

渋谷の街から見る「今後の飲食店経営」まとめ

やはり個人店ではニッチなお店作りと、snsなどの戦略を明確にしていくことだと思います。

一般的なお店作りでは大手には敵いません、コラボカフェの様に狭い分野や個性に特化した尚且つ支持層が多いお店作りが必要かなと思います。

またz世代は飲食店などの情報収集をほぼsnsで行いますので、z世代をターゲットにするのであればsnsの活用は必須だと思います。

一時期ほどインフルエンサーは儲からなくなってきていると言われますが、インフルエンサーの多くは発信力より高い情報収集能力を持っています。

彼等の情報網にキャッチされるお店になればz世代へのアプローチの最短距離ではないかと思います。

しかしインフルエンサーに注目を集めるお店作りは正直、大手など予算を割けるお店には敵いません。

小さい個人店などはインフルエンサーが人には教えたくない「通うお店」などのブランディングも面白いのではないかと思います。

またコロナ渦でECサイトでの販売に参入しやすくなったのは飲食店のメリットだと思うので、大いに活用していけたらと思います。

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  • 記事を書いたライター
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Mas

鹿児島県出身。18歳で上京後、俳優業の傍ら様々な飲食店で働く。30歳で俳優を廃業。新天地を求めて海外を放浪。帰国後はレストランへ就職、海外での経験値をあげたいと思いレストランの海外勤務地への転勤に立候補。ミラノでの3年のレストラン業務を経験後に独立・開業。バーオーナー/飲食店開業コンサルタント・マーケティング支援/ライター/メディア運営

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