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あんぱんの元祖として知られる老舗「木村屋」が、創業以来初となるクラフトビールをつくりました。
その名も「桜あんぱんビール」。
木村屋を象徴する「桜あんぱん」の世界観を一杯のビールで表現した、これまでにないクラフトビールです。
原料に活用しているのは、あんぱんを製造する際に生まれるパン生地の端材。さらに、あんこや桜の塩漬け、酒粕などを使い、木村屋らしいパンの香ばしさと桜の華やかな香りを引き出しています。
醸造を担当したのは、神奈川県横須賀市のマイクロブルワリー「三浦ペニンシュラビール」。
パンづくりとビールづくり。異なる2つの発酵文化が出会い、どのような一杯が生まれたのでしょうか。
今回は、2026年8月1日から銀座本店2階「喫茶木村家」で提供が始まった「桜あんぱんビール」を取材。開発の背景や原材料へのこだわり、醸造方法、そして実際の味わいまで詳しく紹介します。
あんぱんの元祖「木村屋」が初めてクラフトビールを開発

木村屋の歴史は、明治2年(1869年)にまで遡ります。
明治7年には酒種で発酵させたあんぱんを考案。翌明治8年には、八重桜の塩漬けをあしらった「桜あんぱん」を明治天皇に献上しました。
そんな日本のパン文化を長年支えてきた木村屋が、新たな挑戦として手掛けたのがクラフトビールです。
一見すると「あんぱん」と「ビール」は意外な組み合わせに思えます。しかし、木村屋のあんぱんには創業当時から「酒種」という発酵文化が息づいています。
木村屋の代表取締役社長・木村光伯氏も、今回の開発について「あんぱんがビールになる、と聞くと驚かれます」としながら、木村屋のあんぱんが明治時代から酒種という発酵文化とともに歩んできたことを語っています。
パンとお酒。
実はその根底には「発酵」という共通点がありました。
木村屋の歴史を振り返れば、クラフトビールへの挑戦は単なる異業種への参入ではなく、木村屋が培ってきた発酵文化を新しい形で表現する試みともいえます。
2026年、木村屋が掲げる「日本のパン文化をもっと豊かに」
今回の「桜あんぱんビール」開発の背景には、木村屋が進めるブランド改革があります。
木村屋では長年、銀座木村家と、製造・卸を担う木村屋總本店という2つのブランドが併存してきました。
創業160周年を3年後に控えるなか、木村光伯氏が両社の代表を兼任。「お客様にとっての木村屋とは何か」という原点に立ち返り、2026年4月4日の「あんぱんの日」に店名を「木村屋總本店」へ統一しました。
そこで掲げたパーパスが、
「日本のパン文化をもっと豊かに」
です。
その実践の第一弾として2026年4月24日に発売されたのが「むしケーキアイス」。発売から約1カ月で完売する反響を集めました。そして第二弾として選んだのが、パンメーカーとしては珍しいクラフトビールへの挑戦です。
150年以上にわたりパンをつくり続けてきた老舗だからこそ、パンを「食べる」だけではない、新しい楽しみ方を提案する。「桜あんぱんビール」は、そんな木村屋のこれからを象徴する商品でもあります。
パンの端材を「おいしい一杯」へ。アップサイクルから生まれたビール

「桜あんぱんビール」の大きな特徴のひとつが、あんぱん製造時に生まれるパン生地の端材を原料として活用していることです。
パンを製造する工程では、どうしても生地の端材が発生します。これまで十分に活かしきれなかった素材を捨てるのではなく、もう一度「おいしいもの」に生まれ変わらせる。そこで着目したのがクラフトビールでした。
国内では食品ロスが大きな社会課題となっており、令和5年度の食品ロス量は推計約464万トン。そのうち事業系食品ロスは約231万トンとされています。
「日本のパン文化をもっと豊かに」というパーパスを掲げる木村屋にとって、パンをつくる過程で生まれる素材に新しい価値を与えることも、これからのパン文化を考えるうえで重要なテーマです。
「桜あんぱんビール」は、食品ロス削減だけを目的とした商品ではありません。
端材を「仕方なく使う」のではなく、パンだからこそ生み出せる香りや味わいをクラフトビールの魅力へと変換しているところに、この商品の面白さがあります。
醸造を担当したのは「三浦ペニンシュラビール」

クラフトビールの醸造を担当したのは、神奈川県横須賀市に拠点を置く「三浦ペニンシュラビール」です。女性醸造家たちが手掛けるマイクロブルワリーで、小規模醸造ならではの丁寧なビールづくりを行っています。
パンづくりとビールづくり。
どちらも発酵を扱い、素材のわずかな違いが完成した商品の香りや味わいを左右する繊細な世界です。
今回のコラボレーションでは、木村屋が長年培ってきたパンづくりの文化と、三浦ペニンシュラビールの醸造技術が融合しました。三浦ペニンシュラビール代表の廣瀨静佳氏によると、開発で難しかったのは、あんぱんらしい香りを残しながら、料理を邪魔しない軽やかな味わいに仕上げることだったといいます。
試作を重ねながら、パンの風味、桜、塩味のバランスを細かく調整。「桜あんぱん」という個性を感じさせながらも、クラフトビールとして一杯を無理なく楽しめるバランスへと仕上げていきました。
「木村屋のおいしさを、そのままビールへ」

今回の取材で特に印象的だったのが、原材料へのこだわりです。
目指したのは、
「木村屋のおいしさを、そのままビールへ」
という味づくり。
主な原料には麦芽やホップだけでなく、木村屋のあんぱんを製造する際に生まれるパン生地の端材、あんこ、桜の塩漬け、酒粕などが使用されています。さらに、口当たりをなめらかにするためにライ麦モルトを採用。木村屋の香ばしいパン生地、あんこのニュアンス、桜あんぱんを象徴する八重桜の塩漬け。それぞれの要素を一杯のビールの中で表現しています。
単純に「あんぱんをビールに入れた」という商品ではありません。木村屋の桜あんぱんを構成する要素を一つひとつ紐解き、それをクラフトビールという別の飲み物として再構築しているのです。
パン生地と麦芽を一緒に直火で煮込む。独自の醸造工程

製造方法もユニークです。
まず、ライ麦モルトとベースモルト(大麦)を、あんぱんのパン生地と一緒に直火で煮込みます。ここに、あんこを加え、発酵。さらに桜の塩漬けや酒粕を加えながら、木村屋らしい香りと味わいをつくり上げていきます。
パン生地を単なる副原料として加えるのではなく、麦芽とともに煮込むことで、パン由来の香ばしいニュアンスをビールへ。そこにあんこ、桜、酒粕といった「桜あんぱん」を連想させる素材を重ねています。
パン、あんこ、桜、酒粕。
原材料だけを聞けば、かなり個性的なビールを想像するかもしれません。ところが完成した一杯は、意外なほど軽やか。その背景には、何度も繰り返された細かな味の調整がありました。
最大の難関は「桜の香り」と「塩味」のバランス
開発において特に難しかったのが、桜の塩漬けの使い方だったといいます。
桜あんぱんらしさを表現するためには、桜の香りは欠かせません。しかし、桜の塩漬けを増やせば香りが強くなる一方で、当然ながら塩味も強くなります。
桜を印象的にしようとすると、ビールとしては塩味の立った尖った味になってしまう。反対に塩味を抑えようと桜を減らせば、今度は「桜あんぱんビール」らしい香りが弱くなります。
そこで試作を重ね、塩味を必要以上に主張させず、桜の香りとパンの風味を両立できるポイントを探っていきました。クラフトビールとしてのおいしさを成立させながら、一口飲んだ瞬間に木村屋の桜あんぱんをどこか感じられる。この繊細なバランスこそ、「桜あんぱんビール」の味わいを支える大きなポイントです。
実際に飲んでみると、桜とパンがふわり。驚くほど軽やかな一杯
「桜あんぱんビール」は、ホワイトビールらしい軽やかな飲み口が印象的です。グラスを口元へ近づけると、まず感じられるのはふんわりとした華やかな香り。口に含むと、パンを思わせるやわらかな香ばしさに、桜の上品な香りが重なります。
「あんぱんのビール」と聞いて想像するような甘さの強い味ではありません。むしろ、すっきりと軽やかで、食事と一緒に楽しみたくなる仕上がりです。
アルコール度数も4.0%と比較的穏やか。ライ麦モルトによるなめらかな口当たりもあり、クラフトビール特有の強い苦味が得意ではない人にも比較的親しみやすい印象です。
桜の香りを感じたあとに、パンを思わせる風味がふわり。飲み進めるほどに「確かに木村屋らしい」と感じられるのが面白いところです。
あんぱんとビールだけじゃない。「食中酒」として楽しめる一杯
「桜あんぱんビール」で木村屋が目指したのは、インパクトだけを狙ったクラフトビールではありません。
大切にしたのは、木村屋の料理に自然と寄り添うこと。
桜やパンの個性を持ちながらも、香りや塩味が強くなりすぎないよう調整されているため、料理と一緒に楽しめる食中酒に仕上がっています。これは、醸造を担当した三浦ペニンシュラビールが試作段階から重視したポイントでもあります。
クラフトビールというと、ホップの強い苦味や濃厚な味わいを想像する人も多いかもしれません。一方、「桜あんぱんビール」は、あくまで軽やか。普段あまりビールを飲まない人にも試してもらいたいという木村屋の思いが感じられます。
銀座でのランチや食事の際に料理と合わせて楽しむのはもちろん、「木村屋でしか味わえない一杯」を目当てに訪れてみるのもよさそうです。
150年以上続く老舗が「端材」からつくった、新しい木村屋の味
明治2年創業の木村屋が、初めて挑戦したクラフトビール。
それが「桜あんぱんビール」です。
しかし、今回の一杯を取材して感じたのは、単なる「あんぱん×ビール」という話題性だけではありません。
明治時代から受け継がれてきた酒種という発酵文化。木村屋を象徴する桜あんぱん。パンづくりの過程で生まれる端材を捨てず、新しいおいしさへ変えるアップサイクルの発想。
そして、小さなブルワリーだからこそできる繊細なクラフトビールづくり。
それぞれが重なり合うことで、この一杯が生まれています。
「パンを焼けば必ず出る端材を、捨てずにもう一度おいしさへ。」
150年以上パンをつくり続けてきた木村屋だからこそ、この言葉には重みがあります。
伝統を守るだけではなく、その伝統を起点に新しいパン文化をつくっていく。「桜あんぱんビール」は、そんな木村屋の現在地を象徴する一杯なのかもしれません。
2026年8月1日から、銀座本店2階「喫茶木村家」で提供されています。銀座でランチや食事を楽しむ際には、木村屋のあんぱんから生まれた新しいクラフトビールを味わってみてはいかがでしょうか。
「桜あんぱんビール」商品情報

商品名: 桜あんぱんビール
ビアスタイル: ホワイト
特徴: パンと桜が香る、軽やかな食中ビール
アルコール度数: 4.0%
提供方法: 樽(生)からグラスに注いで提供
価格: 1,100円(330ml)
主な原料: 麦芽、ホップ、パンの端材(あんぱん製造時の生地)、桜の塩漬けほか
醸造: 三浦ペニンシュラビール株式会社
提供開始: 2026年8月1日
提供場所: 銀座本店2F「喫茶木村家」※今後、店頭販売も視野に入れて準備中。
店舗情報
店舗名: 木村屋總本店 銀座本店
所在地: 東京都中央区銀座4丁目5番7号
「桜あんぱんビール」提供場所: 2F「喫茶木村家」
運営: 株式会社銀座木村家
創業: 明治2年(1869年)
※営業時間や定休日などの最新情報は、来店前に公式情報をご確認ください。
公式サイト:https://www.kimuraya-sohonten.co.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/kimuraya_ginza1869/
Google:https://share.google/P2tSRBWiHzS8MrsA5
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