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神楽坂の隠れ家のような空間に、2024年10月リニューアルオープンを果たした和食居酒屋「ゴカイドコロ」。60種類以上もの日本酒とこだわり抜いた土鍋ご飯をメインに、四季折々の味わいを提供しています。今回は、店長の都筑さんにインタビュー。お店の立ち上げからオープンに至るまでの経緯、店舗運営に込められた想いまで深掘りしました。
リニューアルオープンの背景
「居酒屋以上、割烹未満」をコンセプトに掲げるゴカイドコロ。敷居は高すぎず、でもクオリティには一切妥協しない姿勢が、早くも支持され始めています。以前はまぐろが名物の海鮮居酒屋として営業していましたが、いろいろなご縁が重なり今回のリニューアルに至ったそうです。
そのきっかけとなったのは、唎酒師(ききざけし)の資格を持つ知人との出会い。お互いの日本酒への情熱や料理へのこだわり、目指す方向性が一致し、共同運営という形で新たなスタートを切ることとなりました。
今回のリニューアルで、都筑さんは初めて割烹料理に挑戦することに。包丁の扱い方から調理、盛り付けの技術に至るまで、妥協のない姿勢で試行錯誤を重ねたそうです。特に器選びでは、お店へ直接買いに行き、料理との相性を考えながら一つ一つ吟味。お店作りの細部へのこだわりと、ひたむきな情熱が感じられます。
店名「ゴカイドコロ」の由来
「ゴカイドコロ」というユニークな店名の由来は、お店がビルの5階にあることと「御会」(宴会の場)を掛けたもの。お客様が5階に集まり、美味しい日本酒や土鍋ご飯を囲んで楽しい時間を過ごしてほしいという願いが込められています。
その願いを叶える基盤となったのは、都筑さん自身が紡いできた「ご縁」の力でした。実は、このお店そのものが人との繋がりから生まれたのです。
ご縁が繋いだ新たな挑戦
前店の海鮮居酒屋も含め、都筑さんが神楽坂に出店した背景には、人とのさまざまなご縁が深く関わっています。
当初は都内各地で物件を探していましたが、知り合いの方がたまたま神楽坂の飲食店で腕を振るっていたのだそう。都筑さんは、そのお店や他の飲食店にも足を運ぶたび、町の魅力に惹かれ神楽坂での出店を決意。神楽坂は日本酒のニーズが高いため、ここで挑戦したいという想いが共同運営者の唎酒師と一致し、店舖のリニューアルに至りました。
名物・土鍋ご飯の極み
出汁とお米が織りなす贅沢
ゴカイドコロの看板メニュー「土鍋ご飯」は、出汁の味に徹底的にこだわった自信作。土鍋ご飯の命ともいえる出汁のレシピ開発には、オープン前から何度も試作を重ねて苦労したのだそうです。
試行錯誤の末、出汁の深みと香りが引き立つ理想の味にたどり着き、今ではお客様から美味しいとの声も多数。お店自慢の名物として提供されています。
さらに、土鍋ご飯の美味しさを支えるのが特別な「お米」。なんと、契約農家でゴカイドコロ専用の田んぼを作ってもらい、そこで育った新潟県魚沼産コシヒカリを直接仕入れています。実はこの契約農家も、スタッフの家族の知り合いという“ご縁”で繋がったもの。ゴカイドコロだけの物語が詰まったお米が、土鍋の中でふっくらと炊き上がります。
蓋を開けた瞬間に広がる、出汁の芳醇な香りとホカホカの湯気。和牛といくらを贅沢に組み合わせた土鍋ご飯や、朝採れ天然鯛の半身を炊き込んだ土鍋ご飯など、大人の心をときめかせるメニューが揃います。
「出汁とご飯、そして季節の食材が織りなす贅沢な組み合わせを楽しんでいただけたら」と語る都筑さん。その言葉通り、季節ごとに変わる旬の食材を使った土鍋ご飯も、訪れるたびに新たな楽しみを届けてくれるひと品です。
季節の味が楽しめる一品
第二の名物・おばんざいやお造りも、四季折々の旬の味が魅力です。毎日その日に採れた新鮮な食材で献立を決めるため、スタッフも当日までメニューは分からないのだとか。
おばんざいでは、春菊とキノコの胡麻和えやナスの揚げ浸しなど、季節感あふれるひと品が登場します。日本酒のお供にぴったりで、竹のお盆に美しく盛り付けられた和風のビジュアルも魅力です。
お造りも、毎朝豊洲市場から届く鮮魚を店内で捌くことで、季節ごとの奥深い味を提供しています。日ごとに変わる、まさに一期一会の味わいはゴカイドコロの醍醐味。
「特にこれという食材にこだわるのではなく、季節の味、その日だけの美味しさを楽しんでほしい」と話す都筑さん。「季節フルーツの白和え」や「本日のおでん」など、その日の食材が楽しみになるメニュー構成も魅力です。
他では味わえない日本酒の魅力
神楽坂には日本酒を扱うお店が多い中、ゴカイドコロは日本酒ツウも唸る希少な銘柄や幅広いラインアップで差別化を図っています。
全国各地から厳選した日本酒は、常時60種類以上も並びます。唎酒師の知識を活かし、料理とのペアリング提案に注力することで、日本酒初心者から愛好家までもが楽しめる場を提供しています。
さらに、「うちに来たらぜひ日本酒を飲んでいただきたいですが、他のお酒も一つ一つこだわっています」と語る都筑さん。静岡県産の茶葉を使った緑茶ハイや自家製レモンサワーなど、どれを選んでも妥協のない一杯が楽しめます。
大人が寛げる空間づくり
神楽坂通りには大きな看板を置くスペースがないため、お店の目印はあえて控えめ。ビルの案内板には、手書きの店名だけがシンプルに掲げられています。「お店を見つけた時のワクワク感も楽しんで頂けたら」という都筑さんの狙いも、お店の個性が引き立つポイントと言えるでしょう。
ビルの5階へ上りお店に入ると、木を基調とした和モダンなデザインが広がります。浮世絵風の絵画や盆栽がさりげなく飾られた落ち着きのある空間は、大人がゆったりと過ごすのにぴったりです。5階の大きな窓から神楽坂の街並みを眺めながら、日本酒や土鍋ご飯をゆっくり楽しめます。
さらに、食材の美味しさや生産者のストーリーを丁寧に説明する接客も、ゴカイドコロの大きな魅力。
「僕たちの役目は、一つ一つの食材に込められた思いをお客様にしっかり伝えることです。ご縁で繋がった生産者の素晴らしい食材をきちんと伝えることで、その価値をお客様に感じていただきたい」と都筑さんは語ります。
今後の展望
今後も引き続き、日本酒の美味しさと奥深い魅力を、より多くの人に伝えていきたいのだそうです。そのために、唎酒師の知見から日本酒のペアリング提案に力を入れつつ、今後は日本酒イベントの開催も計画中。酒蔵の方をお店に招き、お客様が製造工程やこだわりを直接聞ける場を作ることで、日本酒ファンが楽しめる場所となるでしょう。
将来的には、神楽坂で日本酒をメインとした他の業態も増やしていきたいのだそう。「神楽坂という場所で挑戦し続けることも、今後の目標の一つ」と都筑さんは語ります。
「このお店は、友人や知人とのご縁で形になった場所。だからこそ、みんなで話し合いながらいろいろな技術や知見を取り入れ、より楽しいお店を作っていきたい」と語る都筑さん。その言葉に込められた人と人との繋がりを大切にする姿勢も、お店の温かい雰囲気を生み出しています。
神楽坂の街に溶け込みながら、日本酒と土鍋ご飯という独自の個性を発揮するゴカイドコロ。ここでしか味わえない魅力を、ぜひ感じてみてください。
店舗情報
店名:ゴカイドコロ神楽坂店
住所:〒162-0825 東京都新宿区神楽坂2丁目11 第83東京ビル5F
電話番号:03-6265-3070
関連サイト:https://tabelog.com/tokyo/A1309/A130905/13301858/
公式Instagram:https://www.instagram.com/5_kaidokoro/
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