新型コロナウィルスの流行により従来の店舗集客が望めなくなった今、多くの飲食店は売上確保の為に新たな販路開拓を行う必要が出てきました。このような状況の中、注目されているのが「フードデリバリーサービス」。自社で配達員を持たずとも、購入者の自宅まで商品の配達を行ってくれる代行サービスです。
自店の商品を店内以外でも美味しく召し上がっていただく為の販路を獲得しましょう。また、これらの業者を活用する上でのメリット・デメリットも併せてご紹介します。経営判断の一助にしていただけますと幸いです。
フードデリバリーサービスとは
スマホアプリやインターネット上から料理のデリバリーを注文できるサービス。大手チェーンから個人店まで複数の店舗が参画しており、利用者はアプリやネット上で好きな商品を注文できる。
料理の配送は各業者の専属スタッフが行い、自社で配達スタッフを持たない店舗でも気軽にサービスを利用できる。いわば料理の配送代行サービス。最近では配送のみならず、アプリやサイト上で店舗のプロモーションまで行ってくれる業者もある。
フードデリバリーサービスを活用するメリット・デメリット
メリット
1. 新たな販売チャネルの獲得
スマホアプリやサイト上で閲覧しているユーザーに対して、お店の料理のアプローチを行うことができます。デリバリー業者によっては露出方法に差をつけられるので、お店の”こだわり”や”思い”を伝えられることも。また、アプリやサイト上のみの露出では足りないという方は、店頭POPやSNSを活用してみましょう。
2. 顧客への認知〜決済〜配送まで全てアウトソース(外部委託)できる
アプリやサイト上で利用しているユーザーへのアプローチ、商品購入時のオンライン決済、購入者への料理の配送まで全て外部委託することができます。自社で配達スタッフを持たないお店でも、料理を作ってお店に取りに来た配達員に渡すだけ。お店の自慢の料理を購入者の自宅へスムーズに届けることができます。
デメリット
1. 弁当容器等は自店で用意する必要がある
顧客への認知、決済、配達代行までを行ってくれるフードデリバリー業者ですが、デリバリー用の料理や弁当の容器は自店で用意する必要があります。最近では小ロットから依頼できる容器提供業者もある為、複数比較検討してみると良いでしょう。
2. デリバリー業者への一定の手数料が発生する
サービスを導入する上で最も気になるところが、初期費用を含めた「トータルでいくらかかるのか」ということですよね。ほとんどの業者において、1販売ごとに30〜40%の手数料を支払うモデルになっています。初期費用においては業者によりまちまちですが、中には初期費用無料の業者もあるので複数比較してみると良いでしょう。
3. オペレーションの変更を余儀無くされる
サービスを導入し実際にデリバリー商品の注文を受ける際、ほとんどの場合は専用端末もしくはアプリ上での操作が必要になります。普段の業務に加えてこうした対応が必要になる為、いち早く現場のオペレーションを整えなければなりません。
メリット・デメリットまとめ
配達スタッフがいないというお店でも気軽にデリバリーを始められるということで、現在の情勢もあいまって人気を博している同サービス。しかし始めるにあたっては、採算は合うのかというところをきっちり計算したいところ。綿密なコスト計算を行った上でデリバリー商品の販売価格設計を行い、しっかりと売上確保に繋げましょう。
人気のフードデリバリーサービス6選
1. uber eats(ウーバーイーツ)
米ウーバー・テクノロジーズが展開する飲食店の商品配達代行サービス。「フードデリバリーサービス」の先駆け企業でもある。仕組みは「配達パートナー」に登録した個人が、配達を代行するというもの。注文と配達代行はセットになっており、自前で配達ができない個人店などの利用が多い。大手チェーンではマクドナルドや吉野家、CoCo壱番屋などが参画している。東京を中心として関東一円、名古屋、京都・大阪エリア、福岡の都市部でサービスを提供中。「今や路上で配達員を見ない日はない」というくらい我々の生活に浸透している。
対応地域 | 東京首都圏、名古屋、大阪エリア |
掲載店舗数 | 10,000以上 |
初期費用 | 50,000円(タブレット貸与費用・撮影料込み) |
手数料 | ユーザー支払い料金の35% |
導入の流れ | 1. 登録 ↓ 2. 店舗情報の確認 ↓ 3. 契約締結 ↓ 4. メニューの提出 ↓ 5. メニューの撮影 ↓ 6. タブレット端末の受け取りとシステム構築 ↓ 7. サービス開始(掲載開始までおおよそ2週間) |
公式サイト | https://www.ubereats.com/jp |
2. 出前館
日本発日本が誇る規模・利用者数共に最大の出前専門サイト。年間利用者数・月間注文数共に300万以上を誇り、幅広い年代や地域で利用されている。自社で配送スタッフを持つ宅配ピザや弁当、寿司チェーンなどの利用も多い。uber eats(ウーバーイーツ)同様、自社で配達スタッフを持たない飲食店でも加入可能。出前館専属スタッフによる丁寧な配送が期待できる。安定したサービス品質と知名度の高さがウリ。
対応地域 | 全国 |
掲載店舗数 | 22,000以上 |
初期費用 | 20,000円(タブレット端末・メニュー写真は自前で用意) |
手数料 | ユーザー支払い料金の40% |
導入の流れ | 1. 登録 ↓ 2. 契約書類の記入 ↓ 3. データ準備 ↓ 4. タブレットの準備 ↓ 5. 受注テスト ↓ 6. 店舗ページの確認 ↓ 7. 配達企業との顔合わせ ↓ 8. サービス開始(掲載開始までおおよそ3週間) |
公式サイト | https://demae-can.com/ |
3. Chompy(チョンピー)
大手チェーンやファストフード店中心ではなく、主に「こだわりを持つ」個人店を掲載している。お店の料理に関する”思い”や”こだわり”を掲載できることが特徴。
料理だけでなく、お店の外観や内観、調理風景などの撮影も行ってくれる為、「とにかくお店の魅力を知ってほしい」と考えているオーナー様には最適のチャネル。渋谷区周辺に店舗を構えているオーナー様は一度ご検討してみては。
対応地域 | 渋谷区周辺(2020.6 時点) |
掲載店舗数 | 350 |
初期費用 | 初期費用:10万円 (タブレット端末、写真撮影、ページ作成、CS費用等) 同企業他店舗の場合:5万円 同キッチン内での追加業態の場合:5万円 同時に複数店舗スタートの場合:1店舗につき5万円 |
手数料 | 売上の30% |
導入の流れ | 1. 申し込み ↓ 2. メニューの写真撮影 ↓ 3. 営業許可書の提出 ↓ 4. 店舗情報シートの記入 ↓ 5. サービス開始(掲載開始までおおよそ3週間) |
公式サイト | https://chompy.jp/ |
4. fineDine(ファインダイン)
「銀のさら」などを運営する(株)ライドオンエクスプレスホールディングスが運営するフードデリバリーサービス業者。2006年東京都港区白金でfineDine(ファインダイン)のサービスを開始。主に港区周辺で利用されている。登録店舗は大手チェーンやファストフード店よりレストランが多く、利用者には”高級路線”というイメージを持たれている。商品の配達はfineDine(ファインダイン)の自社クルーが行う。
対応地域 | 東京都心部(港区中心) |
掲載店舗数 | 1,000以上 |
初期費用 | 要問合せ 初回登録料には(商品撮影・ECサイト作成)と代行手数料(販促・受注・発注・配送・代金回収等)が含まれる。 |
手数料 | ユーザーの支払い料金の40% |
導入の流れ | 1. 掲載メニュー ↓ 2. メニュー説明 ↓ 3. 販売価格を記入・フォーマット提出 ↓ 4. サービス開始(掲載開始までおおよそ2週間〜1ヶ月) |
公式サイト | https://www.finedine.jp/ |
5. 楽天デリバリー
楽天(株)が運営するフードデリバリーサービス。楽天ポイントが利用できる『楽天経済圏』の一部。掲載店舗数は12,000店以上を誇り、その中でも宅配ピザや弁当などの大手チェーンの利用が多い。配達代行サービスは東京都内23区のみに対応。対応エリアは限定的だが、うまくいけば楽天ユーザーの一定の需要が見込める。
対応地域 | 東京23区のみ |
掲載店舗数 | 12,000以上 |
初期費用 | 48,000円(タブレット貸与費用・撮影料込み) |
手数料 | ユーザー支払い料金の40% |
導入の流れ | 1. 申し込み ↓ 2. メニュー情報提出 ↓ 3. メニューの写真撮影 ↓ 4. 店舗ページの確認 ↓ 5. タブレットの納品と受注確認テスト ↓ 6. サービス開始(掲載開始までおおよそ2週間) |
公式サイト | https://delivery.rakuten.co.jp/ |
6. ごちクル
法人・団体向けのお弁当・ケータリングのデリバリーサービス。ミシュラン2つ星獲得の名店「京料理 たか木」や「なだ万」など有名店や有名料理人のお弁当など、人気の商品が多数。
月間約50万食以上の販売実績、BtoBに特化したフードデリバリーサービスを販路として活用することで、効率的かつ計画的に安定した製造が可能に。少額の費用投資のみで簡単・スムーズにデリバリー事業が始められるのがウリ。
対応地域 | 東京エリアを中心に47都道府県に展開 |
掲載店舗数 | 950以上 |
初期費用 | 要問合せ(少額スタート可能) |
手数料 | 要問合せ |
導入の流れ | 要問合せ 「商品開発」「販路提供」「販売促進」「注文受付」「決済」「配達」をトータルサポート |
公式サイト | https://gochikuru.com/ |
どのようにしてフードデリバリー業者を選ぶべきか
業者により料金や対応力に差がある中、どのようにして業者選びを行うのが適切なのでしょうか。
まず一番気にしたい部分が費用面ですね。利益を出さなければわざわざデリバリーを行う必要がないので、販売手数料含めて「採算が合うのか」というのはしっかりと考えておきたいところ。その他にはその業者の持つ月間利用者数や総取引量も重要なポイントです。「手間をかけてわざわざ出店したのに、そもそも利用者数が少なかった・・」というのはなんとしても避けたい。
今やネット上やSNS等で各業者の評判を調べられますから、これらを積極的に活用してみるのも有効です。まずは現在の主流である「uber eats(ウーバーイーツ)」や「出前館」から始めてみるというというのも一つの手ですが、他にも複数検討してみて是非自店にあったデリバリー業者を見つけてみてください。
今後の飲食店経営について
飲食業界は今、急激な環境変化への対応が求められている
新型コロナウィルスの爆発的な感染拡大により、世界の潮流は一変しました。その中でも特に観光・宿泊業界、飲食業界での被害は甚大です。以前のような誰もが自由に国境や都市、街を行き来できる環境はいつ戻ってくるのでしょうか。それは最前線で動いていらっしゃる専門家の方でさえ予測困難なもの。
私たち飲食業界に携わる者としては、今できることに対し粛々と取り組むしかないと思っています。スピード感のある情報収集、店舗での適切な感染症対策、必要な資金繰り等・・
hibana -ヒバナ- では、『飲食店経営者のための時代を生き抜くためのヒント』を毎月掲載しています。お時間ある際にぜひ他の記事も覗いてみてください。