コロナ収束後でも経営可能な飲食店ビジネスモデルへの転換がひとつ鍵を握ります。その中にキャッシュレス化対策も含まれます。今後人件費の削減、業務効率化、衛生面の対策、日本人のライフスタイルの変化を考えるとキャッシュレス化の流れにどのように対応していくかも重要なポイントになると考えられるからです。今回、こちらの記事では日本、そして飲食業界におけるキャッシュレス化の流れについてまとめていきたいと思います。
日本のキャッシュレス化の現状
直近のキャッシュレス事情
日本では主にクレジットカード、電子マネー、そして最近普及が進んでいるQRコード決済がキャッシュレスの主流になります。日本ではもともと現金主義であったこともあり、キャッシュレス化は進みずらい環境でしたが、政府主導の制作もありキャッシュレス化が進みました。
また、政府主導の「最大5%分ポイント還元」施策を通して、QRコード決済サービスを提供する企業も大規模なPRを行った結果もできていると考えられます。しかしながら、アリペイ、ウィーチャットなどのQR決済が決済の主流になった中国を比較するとまだまだ、遅れをとっているのが日本の実情になります。
今後、マイナンバーカード連携のマイナポイントやJPQR(統一QRコード)の普及も今後のキャッシュレス化推進の鍵を握ると思われます。
5%還元の効果
6月末にクレジットカードや電子マネーなどでの買い物客に、最大5%分のポイントを還元する政府の事業が終了しました。消費税増税による個人消費の減退を食い止め、併せてキャッシュレス決済を普及させる政策でした。
メディアなどの発表によると2016年に20%だったキャッシュレス決済の比率は26・8%に伸びたと公表されています。「けん引役」である訪日客が新型コロナウイルスの影響で激減してしまった点が1つ残念な点ですが、確実にキャッシュレス化の波はきています。
政府はキャッシュレス決済比率を25年までに40%へ引き上げる目標を掲げています。今後も国内の消費者や参加する中小店舗にとって納得できる戦略がなければ、この伸びも失速してしまう可能性がありますので、政府の施策に注目しつつ、各企業、業界のキャッシュレス化の動向をチェックしていく必要があります。
QR決済サービス提供会社の状況と今後のサービス内容
ここでは、現在注目されているQR決済サービス提供会社の今後の動向について取り上げておきたいと思います。
QRコード決済の利用状況
PayPayが48.7%で最も利用されている状況。続いて楽天ペイ。
決済サービスの支持を得るための鍵は「手数料」設定にあります。現時点では決済手数料の無料期間が長い、「PayPay」「LINE Pay」が優位です。また無料期間が終了したあとの手数料も現時点ではLINE Payが最も低い2.45%です。
今後PayPayを運営するYahooとの経営統合があるのを考えると、「PayPay」「LINE Pay」が最も強力なQRコード決済になると考えられます。
他社サービスでは楽天とJR東日本が連携するため、suicaつながる楽天ペイの利用が拡大すると考えられます。
結果、中国と同じように『PayPay』『楽天ペイ』の2強の時代に突入していくことが予想されます。
最新キャッシュレス情報(JPQR・マイナポイントについて)
JPQR(統一QRコード)
QRコードを統一することで、中小小売店のQR決済導入を後押しする「JPQR」が開始されています。これまで、一部地域でのトライアルを実施し、現在導入事業者の申し込みを受付している状況です。しかしながら、まだまだ認知度が低い状況で導入はあまり進んでいないように思われます。
また、QRコードを統一することで、店舖側の対応を簡略化する目的ではありますが、契約内容やキャッシュフローの異なるQR決済サービスを増やすことで結果、管理の手間が増えることにもなるようです。
認知されるまでに時間がかかると思われ、それまでにQR決済事業者の統廃合が進むとなると、導入する必要性には疑問もあるようです。
マイナポイント
マイナポイントとは、個人のマイナンバーカードに紐付けた決済サービスを使うと、25%の還元が得られるポイントになります。
2020年9月から21年3月までの7ヶ月間実施される制度になります。また、このマイナポイントに紐付けられる決済サービスは1つのみのため、選ばれるよう決済サービス事業者側も上乗せ特典などの用意しているようです。
ユーザーとしては2万円支払いすると最大5000円の還元を受けられるため、とてもお得です。この制度を通してさらにキャッシュレス化が促進されると考えられます。
対象となる決済サービス一覧
https://mynumbercard.point.soumu.go.jp/service_search/
※画像は一部サービスを抜粋
飲食店におけるキャッシュレス化の必要性
日本のキャッシュレス化の現状と今後の動きを把握しましたので、飲食業界でのキャッシュレス化について考えていきたいと思います。
キャッシュレス化のメリット
現金管理作業の削減
店舖経営における重要な作業として、1日の売上を確定させるレジ締め作業があります。これまでは会計ジャーナルの数字とレジ内の現金を合わせる作業に時間を取られていましたが、キャッシュレス化により数える現金が少なくなります。そもそも、人的現金受け渡し作業が減ることで、会計ミスが減少しますので、運営側にとってはとてもメリットがあります。
経費管理の簡略化
クレジットカード、電子マネー、QR決済などデータ間取引になり、詳細な情報が会計情報に反映されます。可視化されることで、経費管理も簡略化され、不正防止にもつながります。
衛生管理の向上
硬貨、紙幣には雑菌がついており、衛生上触れることを正直避けたいものではあります。新型コロナウイルスの影響で非接触決済が重要視され、より一般的になりました。今後もコロナの感染症対策は継続されますので、より非接触型決済が普及していくと考えられます。
キャッシュレス化のデメリット
決済手数料の負担
一般的に3〜5%の決済手数料が発生します。利益率の低い飲食店において、この決済手数料はできれば節約したいところかと思います。現状では、政府主導の施策などもあり、決済手数料を削減できており、導入が進んでいますが、そのような施策、補助がなくなった場合は利用を避ける店舖も増える可能性はあります。
現金化までのタイムラグ
クレジットカードを中心に、キャッシュレス決済は一般的に決済後1週間〜1ヶ月(事業者との契約による)後に入金される仕組みになります。日々、食材仕入れなどに費用が発生する現金商売の飲食店にとってはリスクのある決済になります。現在は改善され提携銀行などを使用することで入金時期を早めることも可能になります。またコードQR決済については最短翌日入金も可能になっています。今後キャッシュレス化の推進により、かk事業者共に入金サイクルの変更もあり、より店舖にとって利用しやすい仕組みに変化することが予想されます。
飲食店のキャッシュレス化(DX含む)に関する事例
びっくりドンキー新業態『ディッシャーズ』
注文&決済端末の導入
びっくりドンキーを運営する株式会社アレフの新業態。テーブルに設置されたタブレット端末から自分好みに自由に注文可能。また、会計は設置された精算機で実施する。運営スタッフの少人数化も可能になり、かつ感染症対策にもつながる非接触型の店舗オペレーションになっている。
補足事例
高輪ゲートウェイの無人店舗『TOUCH TO GO』
引用元:株式会社TOUCH TO GO https://ttg.co.jp
レジ決済不要の無人店舗
山手線の親駅「高輪ゲートウェイ駅」にオープンした無人店舗。話題になったAmazon Goのように画像認識技術を活用し、会計作業を不要にし、自動決済で運営されている店舗になります。
最後に
飲食店におけるキャッシュレス化の必要性について考えると、今後は必ず必要になります。
店舖のデジタルトランスフォーメーションが進み、現在開発されいる最新テクノロジーが普及時期に入ると、少ない人材、少ないコストで効率的な店舖経営が可能になります。それによりアフターコロナの社会に適した店舖が続々と生み出されると考えられます。
ただ、忘れてはいけないこととしては店舖での顧客体験を最も重視することです。美味しい料理を魅力的な空間で、居心地の良い接客でもてなすことは外食の価値の1つだと思います。その本質的な価値を低下させてしまっては意味はありませんので、顧客への価値をより高めること、そのために、よりより店舖、事業を継続的につくるために、キャッシュレス化を含むDXを推進することが大切だと思います。
現時点での予想として、QR決済サービスについては生活に浸透しつつあります。また一般生活者の利用サービスも「PayPay」や「楽天ペイ」などに絞られつつあります。まずは、日々の社会動向を見ながら、ユーザーの支持の高いサービスなどを導入していくことが良いかと思います。
今後も飲食店経営のDXにつながるサービスをご紹介していきたいと思います。宜しくお願い致します。
今回、キャッシュレス化についてご紹介させていただきましたが、飲食業界の今後のテーマであるDX(デジタルトランスフォーメション)についても引き続きご紹介していきたいと思います。