この記事の読了時間は約5分です。
AI・ロボットなどの技術の進化はあらゆる業界のあり方やビジネスモデルを変えつつあり、その変化は飲食業界にも及んでいます。中でも接客ロボットは大手飲食チェーンが積極的に導入し、街中でも目にする機会が増えてきています。今回はそんな接客ロボットの様々な種類や実際の導入事例をご紹介します。
接客ロボットとは
名前のとおり接客をするために開発されたロボットのことで、配膳や会話などの機能を持ち、より身近に感じられるように親しみやすくデザインされているのが特徴です。接客ロボットの中でも代表的な6つをご紹介します。
Pepper(ペッパー)
2014年に誕生した身長121cmの人型ロボット。商業施設やお店で見かけることも多く、一番馴染み深い接客ロボットではないでしょうか。顔認識・感情認識の機能を搭載し、話しかけてくる人と目線を合わせて人間のような動きをします。つぶらな瞳、繊細な手指など、より人間らしさを感じるデザインが特徴です。(画像引用:SoftBankより)
CORON(コロン)
身長約29cmの小型ロボット。ピンクシルバーのボディと背中に生えた小さな羽がトレードマークです。タッチパネル付きで日本語、英語、中国語対応が可能。音声コントロールで注文やお客様の要望を聞いてくれます。受付での外国人対応やテーブルでの注文など、訪日客への対応が期待できます。(画像引用:CORONより)
Siriusbot(シリウスボット)
身長約94cmの自立走行ロボ。タッチパネルや音声操作で施設内の情報を表示し、目的の場所まで案内してくれます。センサーで障害物を感知して器用に避けて進むので、人の居る店内でも安心して利用可能。商品に付けられたRFIDタグを読み取る「在庫管理機能」も搭載しています。(画像引用:パルコより)
unibo(ユニボ)
「世界初の個性を学習するパートナーロボット」がコンセプトの約32cmの小型人型ロボット。顔がモニターになっており感情豊かな表情を見せてくれます。高性能の音声認識機能でのコミュニケーションが得意です。(画像引用:unibo公式より)
BellaBot(ベラボット)
中国の大手ロボットメーカーPuduが開発した配膳ロボット。愛嬌のあるネコ型デザインはただ配膳するだけでなくお店のマスコットにもなりうる存在です。見た目のかわいらしさだけでなく、360度センサーで障害物を感知し器用に避けながら配膳をこなす優秀さも兼ね備えています。(画像引用:USENより)
KettyBot(ケティーボット)
中央に配置された大型のディスプレイが特徴的な配膳ロボット。より見やすい案内・広告表示が可能です。優れたAI技術によってお客様の案内、対話などのコミュニケーションが可能。イエロー、ホワイトの明るいカラーリングが親しみやすさを感じさせます。(画像引用:USENより)
メリット・デメリット
メリット
・人件費削減に繋がる
・他言語対応でインバウンド対策
・注目度アップ・集客効果
デメリット
・導入コストが高い
・対応の幅が限られる
・ロボットに対して苦手意識を持つユーザーへの懸念
こちらの記事も読まれています。
店舗事例
さまざまなメーカーが個性豊かな機能・特徴をもった接客ロボットを展開しています。お店の規模やコンセプト、用途により必要な機能・特徴は異なります。次に、実際に接客ロボットを導入している飲食店をご紹介します。
ガスト(すかいらーくグループ)
ガスト・バーミヤン・夢庵などを運営するすかいらーくグループは、2022年に全国各地の2000以上の店舗にネコ型配膳ロボット「BellaBot(ベラボット)」を導入しました。配膳の助けをしてくれるだけでなく、料理を運んでくる姿がかわいらしいとSNSでも話題を呼んでいます。
機能だけでなく愛嬌のある見た目は家族で利用することの多いファミリーレストランにピッタリなロボットと言えます。この先もデザイン性の高いロボットが登場する可能性は高いです。
Future Lab HANEDA
羽田空港に隣接する複合施設「羽田イノベーションシティ」内にあるロボット・レストラン。調理から配膳までをロボットが行う実験的な施設で、ロボットが料理をお皿に盛り付けたりドリンクを注ぐ姿も観察できます。
ロボットの実証実験という側面もあるのでロボット自体が好きな人の興味もひくコンテンツ性があります。今後は接客だけでなく厨房でもロボットの活躍が期待でき、一部をロボットに任せて重要な工程は人の手で行うなど、人とロボットが共生する未来は近いかもしれません。(画像引用:Future Lab HANEDAより)
牛角(コロワイドグループ)
牛角・しゃぶしゃぶ温野菜などを運営するコロワイドグループはUSENの配膳ロボット「Servi(サービィ)」を導入しています。ピーク時に活躍する最大5台同時に活動できる機能や音声やセリフの設定、移動スピードの調節など、細かい設定が可能。
時間帯やお店の雰囲気によって使い分けられます。複数台同時稼働により、急きょ人員が足りなくなったときなどのヘルプにも重宝します。
焼肉の和民
ワタミ株式会社の運営する「焼肉の和民」で「KettyBot(ケティーボット)を導入しています。来店したお客様を席に案内し、食事コースやメニューを解説し、用事が済むと案内ポイントへ帰って行きます。混雑時など対応が追いつかないときにスムーズに案内してくれます。
さらに大型のディスプレイを活かし、バーチャル配信アプリ「REALITY」と提携し、人気配信者が接客を行うなど新たな取り組みも行っています。看板娘という言葉がありますが、人気配信者が集客を担う時代が来るかもしれません。
板前バル
関東を中心に店舗を展開する和食バルはおもてなしロボット「CORON(コロン)」を導入しています。各テーブルにコロンが設置されており、ピーク時など店員がなかなか注文を取りに行けないときにお客様が気軽に注文できるようになり、円滑な営業を手助けしています。
外国語対応なので和食・寿司など外国人観光客に人気のある業態と相性が良いです。
また、コロンのほかにも日本酒ソムリエAI「KAORIUM for Sake」を導入しています。1万データ以上の日本酒の風味や特徴を把握し気分や味を伝えると最適な日本酒をチョイスしてくれます。こうした機能は普段お酒を飲まない方が好みのお酒を見つけるキッカケになるかもしれませんね。
まとめ
接客ロボットの種類、メリット・デメリットから実際の導入事例までご紹介しました。一部のチェーン店や大型店舗が導入し話題を呼んでいますが、ほぼ全ての飲食店に1台接客ロボットが居る未来も遠くはありません。一口に接客ロボットと言っても機能や特徴はさまざま。導入する際はお店のテイストや目的に合った接客ロボットを選びましょう。