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2023年7月、御茶ノ水駅から徒歩4分の立地に、イタリア料理店「701(ナナマルイチ)」がオープン。
駅からは迷うことなく一本道、ビルの1Fにあります。丸い看板には「701」の文字が。「nanamaruichi」と刻まれた明るい赤色の暖簾と、風に揺れるイタリア国旗が来店客を歓迎します。
その時期の旬の食材を生かすことにこだわりのある701では、日本人の口に合うイタリア料理を、イタリア料理の技法や食材を使って提供しています。今回は、オーナーシェフの直井さんに、お店のこだわりや「701」にかける思い、飲食業界への熱い思いなどをお伺いしました。
701のコンセプト
701のコンセプトは、ずばり「直井さんが作るイタリア料理」。現地のイタリア料理を忠実に再現するというよりも、イタリア料理の技法や食材を用いて日本人が作るイタリア料理に重きを置いています。店名の701が直井さんの苗字に由来することからも一貫したスタイルを感じますね。店名の候補は他にもあったそうです。イタリア語の読み方やナナゼロイチという案もありましたが、今の店名はとても覚えやすくキャッチーで一度聴いたら忘れません。
オープンまでのエピソード
中学の後輩から開店祝いのプレゼント
前々から独立をしたいと考えていた直井さんですが、なかなか希望した物件が見つからずにいたところ、知人に紹介された物件に実際に足を運ぶと、とても素敵なところだったので、御茶ノ水のこの立地に決めたとのこと。まさに運命の出会いですね。
オープンまではとても慌ただしかったそうです。前職のお店で働きながら開店準備を並行し、やっと体が空いた時にはオープンからわずか半月程前のことだったそう!時間的余裕がない中でも、なんとかオープンまでこぎつけることができたのは、これまでたくさんの人とのご縁に恵まれ、助けられてきたから、と直井さんは言います。そのように色々な人の協力を得ることができたのは、直井さんが積み重ねてきた信頼と実績によるものですね。
外観・内観
現在の物件は元々フレンチレストラン。そのため、あるものは活用しつつ、いかに701らしさを出せるかにこだわりました。
外観のドアガラスには、イタリア地図の手書き風のデザインや、店内には開店のお祝いにと後輩から贈られた魚の絵、直井さんがずっと探していたシチリア陶器など、直井さんがイタリアにこだわって集めたアイテムが並びます。
そのシチリアの陶器には、701の文字。実は、イタリアでは、テラコッタ(陶器)を使った番地が家々の壁に埋め込まれているそう。おしゃれですね!
こだわりのお料理
701では、旬の食材を使った季節に最適なコースをご提供しています。
前菜とは言わず、「野菜のお皿」、「魚のお皿」、「お肉のお皿」、「パスタのお皿」というスタイルでメインになる食材を打ち出しています。
日々試行錯誤をしながら、それぞれの食材を最も生かす調理、提供の仕方を追求されているそうです。
野菜のお皿
油を使わずに焼き上げた白茄子がメイン。
ブッラータ、アイコトマト、オリーブ、アンチョビ、フレッシュトマトソース、パルミジャーノ
魚のお皿
炙り太刀魚のパンツァネッラソース
刺身で食べられる太刀魚を皮目だけ炙りパンツァネッラソースで。
パスタのお皿
Cacio e pepe(カチョエペペ)
イタリアの首都ローマのパスタ。イタリア語で「カーチョ」はチーズ、「ぺーぺ」はコショウの意味。「チーズとコショウ」で特徴を端的に表している。
こだわりのドリンク
701のお勧めはワイン。基本的にはイタリアの銘柄で、日本のワインも取り扱っています。現在は限られた銘柄ですが、今後ラインナップを増やして取り揃えていく予定とのこと。
こだわりのデザート
今が旬の桃を使ったパンナコッタとミントティーのジュレ
サービスのこだわり
取材時、オープンして約1ヶ月程のお忙しい時期でしたが、接客についてのこだわりをお伺いしました。
現在は、シェフ2名体制で運営中とのこと。プロのサービスマンのようにはいかなくとも、お客様は701のイタリア料理を楽しみに来て下さっているので、「笑顔」でお出迎え、おもてなしをさせていただくことを一番大切にされているそう。
また、シェフが直接お客様に料理を提供することで、食材の産地や調理法など「一皿になるまでのストーリー」をお伝えすることができるため、料理の説明にもより説得力が生まれます。お客様からも気になったことを聞いてもらいやすく、会話が弾みやすい点は、シェフとお客様それぞれにとっても非常に魅力的です。
イタリア料理の原点でもある地産地消を大切に、一皿にまつわるストーリーを伝えることを大切にしているとお話下さいました。
直井さんのご経歴
701のオープンの前に在籍されていたのは、「アクアパッツァ」という料理を世に広めたことで有名な「リストランテ アクアパッツァ」でした。外苑前にお店が移転するタイミングで、イタリアンシェフの第一人者でもある日髙シェフに、手伝ってもらえないかと声を掛けてもらい、2018年にアクアパッツァに入社。当初は1年程在籍する予定だったそうですが、気づいたら5年も経っていたそうです!
直井さん自身もやり甲斐を感じられていらっしゃったのはもちろんのこと、直井さんがお店に不可欠な人材であったことは間違いありません。
様々な名店で実績を残されてきた直井さんですが、調理師学校を卒業してから入社した、昭和35年創業の老舗CHIANTI(レストランキャンティ)では、西麻布店、六本木店、飯倉片町本店で合わせて10年程、働かれていたそうです。その後、キャンティの総料理長に誘われて、神谷町のラ・ターナ・ディ・バッコに立ち上げから関わり、約13年料理長を務められています。
長年、イタリアンを軸にご活躍されてきた直井さん。実は物心ついた時から、料理人になると決めていたそう。
直井さんのご出身は栃木県だそうですが、料理の道を志すとなった時に直井さんが希望したのは、当時「料理界の東大」と言われていた、大阪あべの辻調理師専門学校でした。家族からは、せめて栃木に近い東京の学校にしてはどうかと言われたそうですが、最終的には希望する進路に進ませてもらうことができ、「大阪での経験は大変良かった」と語ってくださいました。
お店にかける思い
長年、イタリアンの名店で料理長としても実績を残されてきた直井さん。
しかし、お店の看板の下にいると自分の実力ではないような気持ちがどこかにあったそうです。
そこで、701(直井)という名前を背負って、これからは自分が看板となることで、どこまでやれるのか実力を試していきたいという思いもあったそうです。
「今までの経験の答え合わせ」とおっしゃっていましたが、ここから直井さんの益々のご活躍が期待されますね。
飲食業界への思い
長年、従事されてきた飲食業界ですが、未来の飲食業界を明るくするため、労働環境の改善や若手の育成などもしっかり行っていきたいとお話下さった直井さん。
なんと、701では「週休2日制」を採用しているとのこと。
一般的な企業では当たり前のことですが、飲食業界においてはなかなか珍しい取り組みです。しかし、これには明確な意図があります。
年々、少子化で人口がどんどん減っていく中で、飲食業界を希望する若い世代の数も少なくなっています。飲食業界に希望や興味をもち、将来この世界に入りたいと憧れを持ってもらえるように、701では率先して労働環境の整備や、若手のスタッフの育成に取り組んでいきたいと、熱い思いをお話下さいました。
直井さんのように新しい世代や飲食業界の未来をより良くしたいと考えていらっしゃる方がオーナーであれば、若い世代の方に、ぜひ701で働きたい!と思ってもらえることでしょう。そして、701で若手シェフが活躍していく未来が想像できますね。
お店からのお知らせ
701では旬の食材にこだわったコース料理をご提供しています。
詳細はお店にお問い合わせください。
店舗情報
店名: 701(ナナマルイチ)
営業時間:【火〜土】11:30〜15:00 Lo14:00
18:00〜22:00 Lo20:30
定休日:日・月曜日
Tel:03-3525-7107
住所:東京都千代田区外神田2-1-3 東進ビル新館 1F
公式Instagram: https://www.instagram.com/701.ochanomizu/
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