5/26 記事の追記を行いました
2020年に国内での感染が確認されてから感染拡大を起こした新型コロナウイルスとの戦いから一年半が経過しました。東京オリンピックは1年延期の後、無観客での開催を余儀なくされ新聞・ネットニュースでは「コロナ 失業 倒産 借金」等のネガティブな記事が多くなってきました。
誰も予想出来ない状態のなかでお店を閉店・店舗数の縮小をお考えの方もいられると思います。長期化が予想されるコロナウイルスとの戦いの中で飲食店の見通しを考えました。
閉店・縮小をお考えの方やコロナ渦での来年以降の戦略をお考えの方は是非ご一読ください。
2021年の年末のお客様の動向は⁉
今年1年は東京都等では時間短縮要請が出ていない日が数日しかない等、昨年以上に厳しい経営が続いています。では昨年の今頃はどうだったのでしょうか?2020年の9月15日にそれまで飲食店へ出されていた時間短縮要請が終了し、10月からはgo to eatが開始されました。
10月は様々な店舗のデータを見ても概ねコロナ前と変わらない客数まで回復して、年末への期待感が持てました。
今年の年末はワクチン接種率が上がってきてはいますが、大人数での宴会等は開催し辛い状況は変わらず、宴会需要は戻らないでしょう。
またこれから行われる衆議院議員選挙の行方次第では政府のコロナ対策の指針が大きく変わる事も十分に予想されます。
では今年の年末を乗り切るには?
中国ではロックダウン以降に外食にかける平均単価が上がりました。これまで月に何度もしていた外食を回数を減らして一回の食事を贅沢にという心理が働いたからです。
日本でも同じ様な現象が起こる事は十分考えられます、中小規模の飲食店としては大人数の宴会のお客様を狙わず、少ない人数でプレミアムなコースを楽しめる等の客単価をあげる戦略が必要です。
2022年以降の飲食業界動向推察
新型コロナウイルスの経済に与えた影響は深刻で数年は回復しないと言われ、飲食業界では今までのようには戻らないと言われています。
今冬には社内留保(会社の貯金)が底をつく企業が増えるとされるデータがあります。そうすると企業は借入を行うのですが、今は国民政策金融公庫ではコロナ特別貸付等の融資を行っていて実質複数年無利子・返済猶予で借入を行う事が出来ます。
企業としては返済猶予の期間中に高額家賃・人件費率等の採算が取れない店舗は閉店せざるを得ない状況へ追い込まれます。
また個人店では現在、時間短縮要請に伴う協力金で辛うじて経営を続けているお店もありますが、協力金の支給が終わり通常通り営業出来るようになってから直ぐに客足が戻る事はありません、お店としての体力・貯蓄のないお店は閉店を余儀なくされます。
個人店・複数店舗を持つ会社が生き残るには?
来年以降の飲食業界を生き残る為の大きなキーワードは3つあります。
・地域に密着した他にないオンリーワン
・DX化の加速
・Z世代
地域に密着した他にないオンリーワン
飲食業界は冬の時代に入りますが、全ての飲食店が無くなる訳ではありません。
お店の商圏で競合を作らない事が大切で、例えば焼肉屋がジェラート屋を始めても構いません、サブスク型の焼肉屋があってもいいです。
これまでのやり方に固執するのは危険で、その地域で貴店しか味わえないフードやサービスを提供するお店を目指したいです。
DX化の加速
利益を上げようと考えると売上を上げるか、支出を減らす事が一番の近道です。
売上を上げるのは一長一短では難しいので支出を減らす事が急務になります。家賃・光熱費等の固定費を減らす事は出来ないので、人件費等を削るしか有りません。
DX化を進めれば自ずと人件費の削減になりますのでhibana内にある飲食店×DXの記事も併せてご参照ください。
hibana -ヒバナ- | 飲食業界専門のビジネス情報サイト (biz-hibana.com)
Z世代
今後飲食業界に限らず消費者ターゲットはミレニアル世代・Z世代と言われる世代になります。特にZ世代は物心ついた時から身近にsnsに触れてきたソーシャルネイティブと言われ個人単位での情報発信能力が桁違いです。
良い事も悪い事も発信されますが、Z世代をターゲットにする事も数年後を見据えて大切になります。
海外飲食店の現在
欧米等、感染がピークアウトしつつある国では飲食店への時短要請等が条件付で緩和され始めています。
しかし、客足がコロナ前まで戻っているお店は少なく、店内での営業を広げながら引き続きデリバリー・テイクアウトを継続しているお店が多く今後数年はこのやり方がスタンダードであるという見方が大方の予想です。
日本でもこの1年半年でデリバリーサービスを展開する会社が多く参入しましたがネックはやはり高い手数料にあり、2020年5月にニューヨーク市ではフードデリバリーのアプリ等に手数料の上限を20%までとする法案が可決されました。
しかしアプリを管理する会社が、運営コストを考えると30%が妥当だと反発を強めていてまだまだ議論の必要性があります。
日本、特に人口密度の高い都心部では飲食店の数が多いので高額なデリバリー商品よりもテイクアウトや近くのお店へ足を運ぶ消費者が増えると予想できます。
その際にはキャッシュレス決済による非接触型の店舗である事もお客様から選ばれる理由の一つになります。
また営業を再開したお店でも、コロナウイルスの影響で従業員を解雇したお店では人手不足に陥るという事態が起こっています。
自分のお店は大丈夫⁉閉店・縮小の前兆とデッドライン
経験として「何だかまずい状況かも…」「暇な日が続くなぁ」等、これまでの経験で焦りを感じる経営者は少なくありません。
そんな時こそ客観的にご自身のお店の状況を俯瞰で捉える事がとても大切です。
継続か撤退か…とても難しい判断になりますが、経営者が下さなければならない重要な決断です。
お客様目線で見るお店のデッドライン
・料理、ドリンクの提供に時間がかかる
・sale、値引きが多い
・snsの更新が滞っている
料理・ドリンクの提供に時間がかかる
飲食店で接客と並ぶほどお客様からの不満が起こりやすいポイントです。
提供時間が遅いという事は売上予測がついていない、前年のデータ等を参考にしていない等の原因が考えられます。
ある程度予測がついていれば人件費を増やしてでも対応出来る体制をとる等の対策をとる事が可能です。
sale、値引きが多い
お客様としては有り難い事ですが、裏を返せばsale・値引きをしないと売れないという事になります。
定価で購入したお客様には不満が残るし、安さで勝負するとセンターシステム制を導入している大手には敵いません。
一時的に忙しくはなりますが利益が薄いので従業員が疲弊し離職率が高くなります。
snsの更新頻度が減る
今やsnsは繫盛店を作ろうと考えたら必須のツールです。更新頻度が大幅に低下しているという事はそこまで手が回っていないという事です。
これまでの投稿頻度から大幅に減るようならレッドゾーンだと考えられます。
記事参照:飲食店がつぶれるときの前兆とは | みずほ銀行 (mizuhobank.co.jp)
経営状態で見るデッドライン
・来客数0の日がある
・ターゲット層の変化
・組数の変化か利益率の減少か
来店客0の日がある
オープン直後なら客数0の日もあるかと思いますが、数年営業を続けてきていて0の日が数日続くと危険な状態だと危機感を強めた方がよいです。
原因としては近くに似たようなお店が出来た、価格で負けている、クオリティで負けている等、様々な原因が考えられますがお店としては最も分かりやすいボーダーラインだと考えられます。
ターゲット層の変化
お店はターゲット層に合わせてメニューを構成します。ファミリー層・サラリーマン・OL・年代、等その層は多岐にわたりますがこれまで来店頂いた層と変化があったら黄色信号です。
曜日・時間帯・暦などの要因もありますが、その変化にはなにかしらの原因があります。
近くの大手企業が移転した、店舗への導線が工事で塞がれている、大手の社宅が引っ越した等々、いち早く状況を把握する為に周辺のリサーチを始めましょう。
組数の変化か利益率の減少か
組数の多少の増減は致し方無いですが、利益率が下がるのは危険な警告です。
利益は増減するものですが売上から必要経費を引いた利益率が下がった時、その原因が売上なのかを判断する事が大切です。
売上が下がっての利益率の低下は連続しない限り許容範囲ですが、売上をキープしての利益率の低下は無駄な支出が働いています。
売上前年比予測、人件費、価格変動による仕入れの見直し等、対応戦略を早めに練らないとまずい状況に陥る可能性も覚悟しなくてはなりません。
記事参照:飲食店撤退のサインを分析 閉店の仕方と費用、借金解消対策も解説 – 店サポ – 飲食店 居抜き店舗 専門情報サイト (misesapo.jp)
まとめ(年末から来年度)
記事内でも紹介しましたが今年の年末年始は厳しい売り上げが予想されます。その中で如何にお客様目線のサービスを提供出来るかが来年以降の売上を大きく左右する事になります。
今年の決算では飲食業界の大手企業では大幅な赤字を計上した企業も多くありましたが、コロナ渦での経営戦略が固まりつつあり多くの経営者が来年度が最大の戦いになると語っています。
個人店・中小企業でも同じ事が言えますが大手企業より優れている最大のポイントはフットワークの軽さです。
メニュー構成を考える、食器をグレードの高い物に変える、グラスを変える等々上げればきりがないですが考えた事を直ぐに行動に起こせる事は個人店・中小企業の強みであり、何処にお客様の満足度を上げるヒントが隠されているか分かりません。
今一度お客様が外食をする事の意味を考え直し末永くお客様に愛されるお店作りに励んでいきたいです。