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飲食トレンド

【2022年の飲食業界予想】新型コロナ(オミクロン株)の蔓延と外食産業の行方

新年を迎え新たなる気持ちで事業に挑もうとした矢先に、新型コロナウイルス第6波のオミクロン株の感染拡大で飲食業界・観光業界は瀕死の状態に追い詰められています。各種補助金や時間短縮要請による時短協力金等、政府・自治体によるサポートもありますが、連日の報道とこれまで2年にも及ぶ自粛生活で人々の行動心理・消費に対するマインドが変わってきている事は否定出来ません。

今回の記事では大手の飲食サイトや経団連の報告書を基に、コロナ渦での売上推移データを読み解きつつ今後の外食産業の見通しを整理していきたいと思います。

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売上・データで見る2021年の外食動向とコロナウイルス

2020年から続く新型コロナウイルスとの戦いですが、まだまだ先行きは不透明で必ずこうなるとの予測をつけられない状態にあります。

経団連報告書(2020年)より

マクロ経済の現状と見通し

  • 雇用及び所得環境は厳しい状況が続く
  • コロナ渦の影響の大きいサービス産業の企業動向を注視

コロナ渦の影響の大きい産業の現状と見通し

  • 宿泊、飲食、交通、エンタメはコロナ渦の影響を強く受け今後も厳しい状況が続く
  • コロナ渦で構造改革が加速しデジタル関連産業には好影響

景気認識を踏まえた当面(2~3年)の政策課題 

  • 短期的には、感染防止策の徹底を前提としつつ、経済の早期回復・正常化を目指す必要
  • 中長期的な経済社会を展望し、SDGsの実現に向けて、DXの推進、グリーン成長、地方創生を早期に実行
  • 人口減少が続く我が国において、各種政策を実行する基盤の為の、人材力強化と人材の流動性を高める

GDPと消費

  • 2020年4-6月期はリーマンショックを超える規模で落ち込み、2020年7-9月期は回復に転じたものの、4₋6月期の落ち込みの6割弱にとどまる
  • 消費活動は大幅に減退
  • 特に家計消費の約6割を占めるサービス消費の落ち込みが深刻

コロナ禍により著しい業績の下押しに見舞われている産業

宿泊

  • 国内外の移動制限により3ー5月にかけて急減、足もと前年比大幅マイナス

飲食

  • テイクアウトの多いファーストフードの落ち込みが軽微、居酒屋・パブレストラン等は前年比大幅マイナス

エンタメ

  • 2019年過去最高だった音楽コンサート
  • イベントの市場規模は8割減、テーマパークも大幅な赤字

上記が日本経済団体連合会が2020年の12月15日に発表した報告書から特に飲食業界に関わりがある部分を抜粋しました。

経団連報告書2020

報告書「経済・産業の動向と見通し及び当面の政策課題」 概要 (keidanren.or.jp)

経団連報告書(2021年)より

マクロ経済
GDP

断続的な感染の拡大、それに伴う行動制限措置により実質GDPは21年に入り停滞。先進国間の比較では、米国が先行して回復、ユーロ圏も足元で回復ペースが加速しているのに対し、日本の停滞が目立つ。

また、コロナショック直前の消費税率引き上げによる反動減の影響を踏まえると、本格回復には程遠い状況と言える。

消費

特にサービス業については、感染者数の減少とそれに伴う行動制限の緩和、およびgoto事業により2020年末ごろまで回復していたが、再度の緊急事態宣言の発出により、年明け以降低迷が続いた。

サービス消費は消費の約6割を占めるため、その弱さは消費全体に大きな影響を及ぼしている。

今後の見通し

日本経済研究センターの調査によれば、実質GDPについては21年度中に19年度の水準まで回復することは困難とみられている。

また、経団連の主要会員企業に対するアンケート調査では、コロナ前への回復時期について、製造業では「21年中」と回答した企業が過半あったのに対して、非製造業は「分からない、見通せない」との回答が最多となっており、K字回復の様相が今後も継続することが懸念される。

宿泊

延べ宿泊者数は2020年前半に大きく落ち込んだ後、後半にかけて行動制限の緩和等により回復に向かったが、2020年末からの感染拡大を受けた再度の緊急事態宣言により落ち込み、その後も低位で推移している。

みずほ銀行産業調査部によれば、国内宿泊需要は日本人のレジャー目的から回復が始まり、世界規模でのワクチンの普及後にインバウンドの本格的な回復が見込まれる。

他方で、オンライン会議の普及により、出張等のビジネス需要は、コロナショック前の水準まで回復しない可能性が示唆されている。

外食産業

外食産業の中では、ファーストフードが比較的堅調に推移する一方、それ以外の業態は、2020年後半にかけて回復しつつあったが、2020年末以降再び苦戦が続いている。

特にパブレストラン・居酒屋は極めて低位で推移している。

外食産業の主要な上場企業の業績によると、20年度に赤字であった企業も、21年度は黒字化を見込んでいる。

売上予想が回復しない企業においても、収益体質を改善させているとみられる。

エンターテインメント

音楽コンサートとライブパフォーマンスイベントの市場規模は、20年が19年比8割減、21年も同5ー6割減と厳しい状況が続いている。

コロナショック前の水準に回復するのは23年と見込まれる。

上記は経団連報告書2021年の飲食業界に特に関わる部分を抜粋しています。

2020年と2021年の報告書を読み比べると、2020年コロナで打撃を受けた業界の動向を注視する傾向にあり未曾有の事態に経済界も状況の把握を優先・経済へのダメージを最小に抑えるべく活動した事が分かります。2021年の報告書では分析の傾向が強く、また2、3年後を見据えた報告書が上がってきていて、経済界では昨年の早い段階でゼロコロナではなくコロナとの共存にシフトしている事が分かります。

経団連報告書2021

2021年版 経済・産業の動向と当面の政策課題に関する報告書 (keidanren.or.jp)

2022年は外食産業にとって正念場

昨年の企業倒産件数はリーマンショックについで2番目に高い水準となりました。しかし多額の公的資金の投入によって倒産件数を抑制している状態で、その実態はリーマンショックを越えているとも言われます。

特に外食産業は景気の動向に左右されやすい業種でもありますので景気指数の動向にも目を向けていきたいです。

一方でオミクロン株は重症化しづらい、ワクチン3回目接種、飲み薬の開発等、明るいニュースも見られるようになり景気回復に向けて国全体が動き始めています。

gotoトラベル、gotoイートは経済の特効薬となる事は立証されていますが、いつ再開されるか分からないのとgoto終了後に消費を維持出来るのかが課題になります。

またコロナ関連の各種補助金・協力金・助成金も終了していきますので2022年は飲食業界にとって正念場となる事が容易に予測できます。

中食・内食

コロナ渦で飲食業界に与えた一番の変革は中食・内食需要の拡大ではないでしょうか。

大手食品メーカーやコンビニエンスストアなどでは冷凍コーナーを充実させ消費者のニーズに応えています。

2022年も中食・内食の需要は続きますが、個人店・中小企業で参入するにはハードルが高く大手とは異なった戦略が必要になります。

コンビニエンスストア等を覗いて売られていない商品、家庭では作るのが難しい・面倒な商品に的を絞ってテイクアウト商品にすると需要が見込めます。

設備投資・多店舗化

2022年はアフターコロナに向けて飲食業界に限らず設備投資が必要になります。そのためには消費者が何を求めているかを直ぐにチェックする必要があります。

飲食業界では家庭では味わえない料理・ドリンク、目の前で調理して貰って最大限楽しめる料理、自宅のリビングではなくお店の雰囲気を楽しんで貰うロケーション、スタッフとのやり取り等、投資が必要な所は多岐にわたります。

試食会を開く、皿・グラスの見直し、店内内装、スタッフ教育の為に人件費に投資する等、貴店の武器を磨く投資をしておく期間が大切です。

また会社単位で考えると今まで市場に出てこなかった物件が出てくる事も予想されます。

自社の得意な地域にミニマムな店舗での多店舗化しリスクを分散させるのも有効的です。 ただ店舗展開する際は商圏の人の流れや利用客の人数に照らし合わせて同じ様な業態になるのは避けましょう。

店舗の商圏は半径500mと言われています。

借入

コロナ前の売上と売上の内訳(イートイン・テイクアウト・売上時間・客層等)を分析してコロナ前の7割の売上で店舗を維持できるようであれば銀行から借入を行うのも一つの策です。

2022年の飲食経営はいかに利益を拡大していくかより、いかにダメージを少ない状態でお店を維持していけるかにかかっています。

先程の経団連報告書2022にもありましたが、エンタメ業界の回復見通しは2023年と言われています。エンタメと飲食業界はある種連動している所も多いので飲食業界も似た流れになる事が予想されます。

補助金の活用

先日、事業復活支援金の概要が発表されました。こちらは支援金ですので返済の必要はありません。

昨年では事業再構築補助金等、このコロナ渦で国の支援も充実しています。

設備投資などの際には申請できる補助金等がないか必ずチェックし自社の現金を可能な限り貯蓄しておきましょう。

コロナとの共生、アフターコロナを見据えて(2023年以降の飲食店の持つ課題)

2022年1月現在ですが新型コロナウイルスの感染は拡大しており「蔓延防止措置」に伴う時間短縮要請も出されました。

しかしニュースを見ても昨年より経済を回す事の重要性が強調されるようにシフトして来ました。

ウィズコロナ、アフターコロナはもうすぐなのではないかと希望を持てます。

その時に自分のお店はどの様に売上・利益を高めていくか。

いま飲食店経営者に求められる課題を洗い出していきます。

レストランのDX化

飲食店に限らずDX化は必然の流れとなっています。

お会計のキャッシュレス化、モバイル端末でのセルフオーダー、仕入れ発注のデジタル化の構築、テイクアウト・EC利用でのスマホ受発注システム、年度末会計でのデジタル処理など細部に至るまでデジタル化する事が出来ます。

デジタル化する事であらゆる面でのコストカットと経営のスリム化が今後飲食業界で生き残っていく鍵になります。

人手不足

コロナ渦でアルバイトに休んでもらってる、退職してもらったという企業も多いかと思いますがアフターコロナに客足が戻ってきた時にすぐに人手も戻るかと言うと簡単にはいかないのが現状の見通しです。

また日本では少子化が進んでおり実際の労働人口が減少している事も一因です。

アルバイトを探す時に時給がいい、シフトの融通が効く等の労働環境が良い方が応募が多くなります。しかし賄いが美味しい、家族的に付き合える等はスタッフのやりがいに繋がりますので個人店・小規模事業者の方は後者の充実を図るのも大切です。

また先程述べたようにDX化が進むとアルバイトに求める仕事内容も変わってきます、滞りなく指導できるようにマニュアルを作成しておく事が大切です。

SDGs

食品ロスの削減、エコ容器の使用など飲食店に求められる課題も多いので日頃の経営の中で意識を向けておきましょう。

材料費の高騰

原油価格の高騰やコロナ渦での流通トラブルなどにより一部の原材料が値上がりしています。またこの価格は数年は下がり辛いのが予想できます。

販売価格を上げるのか、代替え品を探すのかメニューを見直しておく必要があります。

一方でSDGsにも関わりますが、販売不振により多くの食材が廃棄されているのも事実です。

今廃棄食材を減らそうという運動と共にアプリの開発なども進んできています。安い価格で仕入れられますので上手に活用していくと良いでしょう。

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テイクアウト

まだまだテイクアウトの需要はありそうですがテイクアウトを続ける為に人を採用していては人件費がかさんでいきますので、兼務できる範囲で抑えておいた方が懸命だと考えられます。

また消費者はエコロジーに敏感ですのでエコ容器の採用などを意識しましょう。

マーケティング戦略

自社の商品・サービスをどの様に知って貰い活用して貰うか、会社としての基本方針を今一度見直しておきましょう。

飲食店の販促ではビラ配り・ポスティングもまだまだ有効ですが、snsで集客できる時代でもあります。

自店のコンセプト・ブランディングに沿う形の戦略を練りましょう。

最後に2025年迄の事業計画書を作成

事業目標を立てる事も大切ですが同時にしっかりとした事業計画書の作成が大切です。

1. 3. 5. 10年単位で作るのが理想ですがなかなか先の見通しが難しい時代ですので、今年の計画と来年からの3年間の事業計画書を作りましょう。

計画書がなければ事業を発展させていく事は難しく、経営が危ない等の危機に対して鈍感になりがちです。

この厳しいコロナ渦の中でもご自身で作成した事業計画書が経営の指針になってくれるはずです。

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  • 記事を書いたライター
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Mas

鹿児島県出身。18歳で上京後、俳優業の傍ら様々な飲食店で働く。30歳で俳優を廃業。新天地を求めて海外を放浪。帰国後はレストランへ就職、海外での経験値をあげたいと思いレストランの海外勤務地への転勤に立候補。ミラノでの3年のレストラン業務を経験後に独立・開業。バーオーナー/飲食店開業コンサルタント・マーケティング支援/ライター/メディア運営

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